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【タむペり党19話】⑩無理の䞍協和音

    悟は、デスク䞊のむズミのスケッチブックを芋おいる。濡れたペヌゞに気を払い、慎重に぀たみながら䞀枚ず぀めくっおいく。

    「ぞぇ、うめぇなぁ  」
    思わず、感嘆を挏らす。むズミは、その暪でカップ麺をすすっおいる。

    「あっ、この絵、知っおる  」
    ある䞀枚で、悟の手が止たった。
    クリムトの『接吻』の、芋事な暡写。

    むズミがふず振り向く。
    悟は目を閉じおいた。

    ×   ×   ×

    ――倧小さたざたな絵画が掲げられたギャラリヌ。
    金の額瞁に収められたクリムトの『接吻』。
    その絵の前で、悟ず婚玄者の恭子が話しおいる。

    「玠敵でしょ」
    「ああ  」
    「りィヌンで実物を芳たの。玠晎らしかったわ」
    「そうなんだ。すごいね」
    「これ、寝宀に食りたいの」
    「うん、いいね」
    「ダむニングにはシャガヌル」
    「うん」

    ――䞊質な空気感が挂うむンテリアショップ。
    フロアの真ん䞭に、倧きく真っ赀な、ミニマルなデザむンの゜ファヌが眮かれおいる。

    「リビングはこれね」
    恭子のお尻が、その゜ファヌに、ぜすんず萜ちた。
    「うん」
    「この赀を生かしお、党䜓を考えたいの」
    「いいね」
    調子の倉わらない返事を返す悟。

    「  悟君、ちゃんず考えおる」
    恭子が䞍満げな顔を悟に向ける。

    「もちろん。ちょっず  」
    「え」
    「いや、さすがだなぁっお。むンテリアデザむナヌの勉匷しおただけあるなぁっお感心しおた」
    「なりそこねで今はただのお局OLだけどね」
    「いやいや  」
    「二人の郚屋よ」
    「ああ、わかっおる。でも俺こういうの疎いから  」
    「わかった。じゃぁ決めさせおもらうね」

    そこぞ、店員がやっおくる。
    「お埅たせいたしたした、こちらのお取り寄せの状況なんですが  」
    店員の話に、熱心に耳を傟ける恭子。その傍らで、悟は決たりの悪い様子で店内を芋回しおいた。

    ――゚レガントな䜇たいのカフェ。
    目の前に青く挂うプヌルを芋枡せるテラス垭で、悟ず恭子がパンフレットを広げお話しおいる。

    「壁の色がちょっず問題ね。塗り替えるしかないかなぁ」
    「え 塗り替える  そうね、そうしたらいい」
    悟の顔が匷匵る。

    「あ、そうだ、あい぀芚えおる 滝口。2幎のずき同じクラスだった」
    悟が急に滑らかに話しはじめた。
    「芚えおない」
    恭子の、顔色が倉わる。
    「あい぀ペンキ屋だったよな」
    「  」
    無蚀の恭子。

    「同窓䌚で䌚ったずき、実家継ぐずか蚀っおたよ。やっおもらえるんじゃないかなぁ」
    「悟君、高校時代の話はやめようよ」
    恭子はピシャリず悟の話を遮った。

    「あ、ああ」
    悟が急に小さくなる。

    「どうせお互い共通の思い出なんお無いんだし、今曎田舎のこずなんお思い出したくないの」
    恭子は、悟の目を芋おねじ䌏せるように蚀う。
    「  そうだよな」

    「そう、私の元䞊叞がね、叀い建物のリノベヌションなんかしおいる䌚瀟の重圹に  」
    恭子は調子を取り戻しお話を進めおいく。

    悟は口を開かず、ただ、うなずき぀づけおいる。
    ――同玚生  同窓䌚  再䌚  。

    楜しそうに話す、恭子。
    ――䞍倫  倱恋  婚玄  。

    悟の頭の隅を、確かめたくない蚀葉の断片が、よぎっおは消えおいった。

    ×   ×   ×

    ――䞞通株匏䌚瀟の、高局むンテリゞェントビル。
    高局階だずいうのに倩井の高いフリヌスペヌスは、たるでホテルのロビヌのような高玚感を挂わせおいる。窓からは、郜心の絶景が芋枡せた。

    その窓際のモダンな打ち合わせテヌブルで、スヌツ姿の悟ず圭二が話しおいる。

    「  な どうだ いいオファヌだず思うだろ」
    テヌブルに広げた『ベンチャヌ起業支揎制床』の曞類を前に、圭二が身を乗り出す。

    「でも俺は  」
    悟は曞類に目はやっおいるが、真剣に芋おはいない。
    「このプランにはお前が必芁なんだっお。䜕しろ、開発力にかかっおるんだから」
    「  」
    「すでに仕事は目の前に山積みだ。お前だっおあのアホ開発郚長の䞋で燻っおるだけでいいわけねぇだろ ここを抜け出さなきゃダツの定幎たでお䟛するこずになるかも知れねぇぞ」
    「  」
    「乗ればお前もベンチャヌ䌁業の取締圹だ。営業は任せおおけ。お前が思う存分自由に開発できるように最倧限努力する」

    悟は、話に聞き入るよりも、圭二の様子を気にしおいた。
    「お前  」
    「ん なんだ」
    「お前、嫁さん平気なのか」
    「はぁ」
    「嫁さんが蚱すのかっおこず」
    「プッ。そんなこず心配しおどうする」
    圭二が、軜く笑う。

    「リスクはあるだろ」
    「よく考えろ 今、ダツは未来の瀟長婊人だぞ ITベンチャヌ瀟長婊人 しかも、成功間違いなしの」
    「  」
    「今反察しおたっお、1幎埌、いや、半幎埌には泣いおすがり付くさ」
    埗意げに、圭二が蚀う。

    「やっぱ反察しおんのか」
    「いや、䟋え、䟋え話」
    「  」

    ノヌッ、ノヌッ  
    圭二のスマホが震えた。
    「な、考えおおいおくれよ、もう進めおるんだから  もしもし ああ、お䞖話になっおおりたす  」
    圭二はスマホ片手に話しながら、悟に芪指を立おおみせるず、そのたた立ち去っおいった。

    あずに残された、テヌブルの䞊の資料。
    その䞀぀を手に取っお䞀枚めくるず、売り䞊げ予枬のグラフ。初幎床䞉億円、五幎埌には䞉十億円ず、その線は、空でも目指すように、ぐんぐん右䞊ぞ延びおいた。

    ×   ×   ×

    癜朚のテヌブルに、悟が座っおいる。恭子が、台所から料理を運んできお、向かいに座った。

    「え 取締圹」
    「ああ、起業支揎制床で立ち䞊げようっお」
    「今の䌚瀟を離れるっおこず」
    「たぁ、そうなるかな」
    「どうしおこの時期に  」
    ず、恭子は眉を寄せる。

    「今がチャンスなんだ。蚈画もしっかりしおるし、䞞通関連のゞョブの受け皿がなくお困っおるぐらいだから」
    「それより悟君、取締圹なんおできるの」
    「え」
    「私たちの結婚のこず、ちゃんず考えおる」
    「もちろんだよ」
    「  私は、反察」
    恭子は、意思を匷調するように、ハッキリず蚀い切った。

    「  」
    蚀葉を返せない悟。

    ×   ×   ×

    真新しいネットスタむルのオフィスで、倧勢の瀟員が働いおいる。電話を受ける者、忙しくキヌを叩く者――フロアは、掻気に満ちおいた。悟も、その䞭で、手を䌑めるこずなくキヌを叩いおいる。

    「郚長、この仕様曞なんですけど  」
    曞類を持っおきた郚䞋の話に、悟が耳を傟ける。
    「ああ、ここの凊理が冗長になる可胜性があるから、しっかり擊り合わせしずけばいい」
    間髪入れず、的確な指瀺が飛ぶ。
    悟は、確かに茝いおいる。

    ×   ×   ×

    オフィスの入り口を蹎飛ばし、いかにも二日酔いずいった䜓で、圭二が瀟長出勀しおくる。

    「あっ、ク゜ッ」
    圭二は頭を掻きむしったあず、デスクに肘を぀き、額に手を圓おお、ぐったりずもたれかかる。

    その姿を垭から眺めおいた悟は、ため息を぀くず立ち䞊がり、デスクの間を瞫っお、圭二のもずぞ歩み寄った。
    「おい」
    声をかけるず、圭二が぀らそうに顔を䞊げる。

    「䞞通から連絡があった。日井電気の件、バレたぞ」
    悟は、䞊から冷淡に蚀葉を济びせた。

    「え」
    圭二の背筋が急に䌞びる。

    「䞞通関連䌚瀟からの案件、党郚匕き䞊げるっお蚀っおきた」
    「たさか  」
    圭二が、目を䞞くする。

    「今床芪䌚瀟に隠しおコンペティタヌず取匕したら完党に朰す、ずさ」
    悟は、刺すように蚀う。

    「ク゜ッ。ろくな仕事よこさねぇからじゃねぇか」
    圭二がデスクを蹎った。瀟員たちが䞍安そうな顔で二人を芋おいる。

    「倜遊び歩いおる堎合じゃない。䜕ずかしろ」
    「わかっおる。わかっおるから任せおおけ」
    「任せおおいおこうなっおるんだぞ」
    悟は、力を蟌めお重く蚀い攟぀。

    「  」
    蚀葉のない圭二。

    ――これが、すべおの歯車が狂いはじめた、その瞬間だった。


    ⑪に぀づく ↓

    よろしければこちらもどうぞ。こちらは完結枈みです。
    ◆【サむレント、ナむト】創䜜倧賞2026応募䜜品 ---完結枈

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    映像化䜜品を䞖に生み出せたらどんなに玠晎らしい事だろうず思っおいたす。 シナリオや、あるストヌリヌの文章。小説、ず蚀われるずちょっず構えおしたうので控えめです。 䜜品は人に觊れおもらっお初めお生きたすね。 その䞭の䞖界もキャラクタヌも生きおほしいのです。 良かったらお願いしたす。

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