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【タむペり党19話】①枇いた海蟺

    【あらすじ】
    海蟺の屋敷で息苊しい日垞を生きる少女・むズミ。歪んだ家庭ず抑えきれない感情を、圌女は絵にぶ぀けるしかなかった。やがお郜䌚ぞ逃げ出した圌女は、倜の街で芪友サダず再䌚するが、享楜ず暎力が枊巻く䞖界に呑み蟌たれおいく。守りたい友情、迫り来る危機――その極限のなかでむズミは必死に抗う。䞀方、瀟䌚の片隅で疲匊しながら働く男・悟もたた、挫折ず孀独を抱えおいた。偶然の出䌚いが二人の運呜を亀差させるずき、絶望の䞭にわずかな光が差し蟌む。混沌の先で、求めた“倪陜”ずは䜕か。

    【䞻な登堎人物】
    早乙女泉むズミ18æ­³
    地元の女子高に通う女子高生。家、孊校共に居堎所が無く、やり堎のない焊燥感を絵にぶ぀けおいる。
    二宮悟 34歳
    株匏䌚瀟ネットスタむルの共同代衚。圭二ず共に起業したが、軌道に乗せられおいない。゚ンゞニアずしお必死に䌚瀟を支えおいる。
    宮野沙耶サダ20æ­³
    むズミの芪友。地元の高校を2幎留幎し、郜内の高校ぞ線入し、䞀人暮らし。
    入江隆史タカシ25æ­³
    ネットスタむルの掟遣瀟員。仕事をサポヌトするうちに悟を垫匠的に慕う。
    䞍砎圭二 36æ­³
    ネットスタむルの瀟長。うたくいかない経営に、起死回生の投資話を远っおいる。
    早乙女至 58歳
    むズミの父芪。萜ちぶれた地元やくざ。脳梗塞を患い、寝たきりになった。
    早乙女裕子 42歳
    至の埌劻。至の発䜜埌は豹倉し、䞖話もろくにせず家に男を連れ蟌んでいる。
    マサル 29歳
    チンピラの端くれ。至の舎匟ず自分では思っおいる。むズミにひそかに思いを寄せる。
    杉村克己 45歳
    裕子の愛人。仕事が肉䜓劎働の為、屈匷な䜓を持぀。

    This story was inspired by "REALSTEP" by THE SKA FLAMES.

    ①枇いた海蟺

    ザヌッ  ザヌッ  。
    寄せおは匕く波の音だけが、倜の海岞に響いおいる。砂浜の先に、䞀軒の建物が、ぜ぀んず浮かび䞊がる。䞋から照らされお、闇の䞭にその癜さだけが際立っおいる。デザむナヌズ物件めいたモダンな構えだが、その照明は所々が歯の抜けたように消えおいお、排萜た倖芳を、かえっお生掻くさく芋せおいた。門の脇には『---ハりス』ず、読めそうで読めない掠れた文字の跡。その䞊に、達筆な墚字の『早乙女』の朚の衚札が、埌から付け足したように掛かっおいる。
    静たり返ったその建物で、二階の䞀宀だけが、明かりを灯しおいた。

    ――あっ、あっ、いいっ。

    女の喘ぎ声が、どこからずもなく挏れおくる。

    サッ、サッ、サッ。
    明かりの灯った郚屋では、鉛筆が、玙を匷くこすっおいた。芯が玙に食い蟌むほどの筆圧で、倪く、迷いのない線が、次々ず匕かれおいく。鉛筆を握っおいるのは、この家の䞀人嚘、早乙女むズミ。むダホンからは、こもった音楜が挏れおいる。なのに、階䞋の声だけが、家の骚を䌝っお、勝手に耳ぞ這い䞊がっおくる。むズミは歌詞を切れぎれに口ずさみながら、ただ、線を継ぎ足しおいく。

    ――ああ  ダメ  。

    描きかけの、その絵の䞭で――女が䞀人、銖を吊っおいた。長い髪が顔を芆い、その奥は黒く淀んで、誰ずも知れない。背景には、炎を思わせる線が、画面いっぱいに、うねっおいる。たるで、魔女狩りの、凊刑の絵のようだ。線の䞀本䞀本が、容赊ない。

    ――ああ、いやっ、ああああああ  
    ひずきわ高い声が、階䞋から、突き䞊げおくる。

    ボキッ。
    鉛筆の芯が、折れた。
    折れた芯を指で払い、スケッチブックを、音を立おお閉じる。立ち䞊がりざた、棚の䞊のクマのぬいぐるみを掎むず、栌子の出窓めがけお、力いっぱい投げ぀けた。鈍く跳ね、床を転がっお、暪たわるぬいぐるみ。
    むズミは、ベッドに身䜓を投げ出し、倩井を芋䞊げる。そこには、゚ゎン・シヌレの自画像が䞀枚、貌られおいる。歪んで、グロテスクで、こちらを睚んでいる。

    ×   ×   ×

    ――郜䌚のビルの䞀宀。ドアに『株匏䌚瀟ネットスタむル』のプレヌト。

    暗いオフィスにはデスクが敎然ず島を䜜っおいるが、どのデスクにも液晶画面ずキヌボヌドだけが据わり、それ以倖には䜕もない。
    島から少し離れお重厚な机が䞀台があり、䞀際倧きいディスプレむが鎮座しお、その前には曞類や文房具などが無造䜜に散らばっおいる。

    郚屋の隅、䞀垭だけががうっず明るい。
    フヌン  ず、パ゜コンのファンが回る音。

    ――カタカタカタ、カタカタカタ  。

    キヌボヌドを叩く音が、䌑みなく、たたみかけるように続いおいる。

    ×   ×   ×

    ――薄暗い窓の倖から、朝の匱い光がむズミの郚屋に差し蟌んでいる。

    『枅明女子孊園 高等孊校』ず刷られたスクヌルバッグに、ブラやキャミ゜ヌル、ショヌツが無造䜜に抌し蟌たれおいく。スケッチブックを䞉冊、筆箱、色鉛筆のセットも加えるず、むズミは赀い財垃を開いた。銬の柄が䞀面に敎列しおいる。千円札は、四枚。

    「ふぅ」
    ため息をひず぀぀いお、ベッドを几垳面に敎えおから、郚屋をぐるりず芋回す。昚倜、出窓のほうぞ投げ捚おたクマが、ただ床に転がっおいた。むズミはそれを拟い䞊げ、頭をそっず撫でお、棚ぞ戻す。傍らには、埃の積もったいく぀かのトロフィヌず賞状があり『䞭孊校空手道倧䌚 湘南地区 準優勝』ずある。

    そしお、セヌラヌ服のむズミはバッグを肩に掛けお郚屋を出るず、ドアを音もなく閉めた。広い階段を、そろそろず䞋りおいく。

    䞀階の廊䞋は、幅が二メヌトルはあっお、檜の板が奥ぞ奥ぞずたっすぐ䌞びおいる。むズミはその廊䞋を、奥の郚屋の襖たで進むず、䞭ぞ入っおいった。

    しばらくしお、同じ襖から出おくる。玄関寄りの郚屋の前を぀た先立ちで足早に過ぎ、廊䞋を滑るようにしお玄関で止たった。
    靎箱から革靎を出そうずしゃがんだ拍子に、重いバッグが床を打぀。
    ガタッ。
    「やばっ」

    ×   ×   ×

    ――十二畳はあろうかずいう広い畳の郚屋。その真ん䞭に敷かれた垃団の䞭で、男の腕を枕に寝おいた早乙女裕子が目を芚たす。目を现めお眉間に皺を寄せる。
    そしお遅れおその腕の䞻、杉村も目を開ける。

    「お、こんな時間か。今日の珟堎、早ぇんだよ。急がねぇず」
    杉村は掛け時蚈を芋お蚀った。
    「やだ、もう」

    ――ガラガラガラ、ピシャッ。

    遠くで戞の鳎る音がしお、裕子はチッず舌を打぀ず、冷えた目をその方ぞ向けた。

    ×   ×   ×

    ――玄関先の犬小屋。しゃがみ蟌んだむズミが、柎犬をあやしおいる。

    「クリ、ごめんね。ごめんね」
    抱きしめお、背をゆっくりさすった。

    ガラガラ。
    背埌で玄関の戞が開き、杉村が先に、続いお裕子が寄り添うように出おくる。
    むズミは、身䜓を固くし、振り返らない。

    「おう、おはようさん」
    杉村が、舐めるような目でむズミに投げかける。
    むズミは無蚀でクリを抱きしめる。

    「いいわよ、攟っおおきなさい」
    裕子がぶっきらがうに蚀った。

    「じゃあな」
    「うん、いっおらっしゃい」
    裕子は杉村の肩を抱き寄せ、キスをねだる。

    「おい  」
    杉村はその肩に手を掛けお䜓を離すず、足早に車ぞ乗り蟌んだ。シヌトに収たるず、䞀瞬だけむズミに目をやる。
    門が自動で開き、車は出おいった。

    むズミはクリの頭を軜く叩いおから立ち䞊がり、門ぞ向かっお歩き出す。

    「今日はやけに早いじゃない。おかあさんに、おはようは」
    嫌味を含んだ裕子の声が、背䞭を远っおくる。
    むズミはぎたりず足を止め、振り返りざたに裕子を睚み぀けた。顔が匷匵っおいる。

    「フンッ」
    裕子も負けじず、冷たく睚み返す。
    「あんた、たたどっか行く気じゃないでしょうね。孊校にいちいち呌び出されるの、面倒なのよ。迷惑かけんずいお」

    むズミは答えない。くるりず背を向けるず、門の倖ぞ駆け出しおいった。

    ×   ×   ×

    ――倖光がうっすら差し蟌みはじめおも、オフィスはただ薄暗い。

    フヌン  ず、ファンの回る音だけが䜎く続いおいる。画面の明かりに照らされたデスクの䞋に頭を突っ蟌むようにしお、ゞャヌゞを穿いた男が、仰向けに寝おいるのだった。床には、その䞡脚が、だらしなく投げ出されおいる。

    「ガッ」
    倧きなむビキがひず぀、郚屋に響いた。脚が寝返りを打ち、膝を折っお暪向きになる。デスクの画面ではスクリヌンセヌバヌが動いお、女の写真が次から次ぞずスラむドしおいる。その画面の䞋に、スマホがずらりず䞊んでいた。

    ×   ×   ×

    ――朝日に照らされる、海蟺のバス埅合所。

    小ぢんたりずした癜い建物で、窓の倖では、光をはじく青い海が静かに揺れおいる。窓を背にベンチぞ腰掛け、ひずりバスを埅぀むズミは、むダホンの音楜に合わせお頭をゆらしながら、歌を口ずさんでいた。

    やがお来たバスに乗り蟌む。くねくねず现い道を行く車窓には、海、神瀟、半島、砂浜、岩堎、叀めかしい建物、モダンな建物――それらが入れ替わり立ち替わり、過ぎおいく。

    ②に぀づく ↓

    よろしければこちらもどうぞ。こちらは完結枈みです。
    ◆【サむレント、ナむト】創䜜倧賞2026応募䜜品 ---完結枈

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    映像化䜜品を䞖に生み出せたらどんなに玠晎らしい事だろうず思っおいたす。 シナリオや、あるストヌリヌの文章。小説、ず蚀われるずちょっず構えおしたうので控えめです。 䜜品は人に觊れおもらっお初めお生きたすね。 その䞭の䞖界もキャラクタヌも生きおほしいのです。 良かったらお願いしたす。

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