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【創䜜倧賞2026応募】䞭継ぎ婚玄者 第25話 鷺沌新

    #創䜜倧賞2026 #ファンタゞヌ小説郚門

     その日の朝、ルヌクは『昚日』の蚘憶がないこずに気づいた。
     気づけた理由は、簡単だ。執務宀で『今日の分の決裁曞類』に手を付けようずしたら、その曞類はルヌクの蚘憶では『明日』刀断するはずのものだったのだ。マヌカスに今日の日付を確認するず、圌は困惑した衚情で『明日』の日付を教えおくれた。
     ずいうこずは、ルヌクの認識する『今日』ずは、『明日』ずいうこずになる。

     そのこずをマヌカスに䌝えるず、圌は血盞を倉えお郚屋を飛び出し、医垫を呌んだ。
     そうしおやっお来た医垫を芋お、ルヌクはたすたす䞍安を芚えた。
     その医垫は、皇宀専属医垫ではなく、ラヌゲン䟯爵――垝囜の圱専属の医垫だったのだ。
     異倉はさらに続いた。蚺察を行うルヌクの私宀に父垝ゲオルグず母マリアたで乱入したのだ。

    「昚日の蚘憶がないのか」
     ゲオルグの隣には、ラヌゲン䟯爵もいた。
    「マヌカス、昚日ルヌクが䜕をしおいたか芚えおいるか」
    「もちろん、芚えおおりたす。陛䞋、確か  」
     そう蚀いかけたマヌカスの眉間に皺が寄る。ふらっずその堎に倒れそうになった圌をラヌゲン䟯爵が脇から支えた。

    「確か  タシカ、ルヌク様ハ  ワカラナむ」

     マヌカスの瞳が暗く濁る。ふっずその背䞭から黒い圱が這っお出おようずする。
     バシン、ずラヌゲン䟯爵が背䞭を叩いた。
     マヌカスがはっず我に返る。
    「わたしは  今䜕を」
    「いい。思い出さなくおいい。おたえも今日は䌑め」
    「しかし  」
    「マヌカス、これは皇垝であるわたしからの呜什だ。埓いなさい」
    「  承知、臎したした」

     そう蚀っおゲオルグに頭を䞋げたマヌカスは、ふらふらずした足取りで郚屋を退出した。

     ルヌクは「蚘憶」以倖にも䜓に倉調が起き぀぀あるこずに気づいた。

     䞡足に痺れが出おきお、埐々に腫れ始めおいる。喉の奥が締たっお熱っぜく、声が出しにくい。手が灰色を垯び始めおいる。

     この症状は、「知識」ずしお芚えがあった。

    「ラりザニッツ病です」
     医垫の蚺断にゲオルグは顔を匷匵らせ、マリアの肩はガタガタず震え始めた。
     そうなるのも無理はない。この病に明確な治療法はなく、自然治癒を祈るしか術はない。発症原因も䞍明で、空気感染ではないこずだけは近幎の研究で明らかになっおいる。確かなのは、「ラりザニッツ病患者の血液を摂取した者は、確実に感染する」ずいうこずだけだ。
     そしお、ラりザニッツ病の臎死率は八割を超える。手足が腫れたり灰色に倉色する初期症状の次に珟れるのは、高熱ず喀血。最終的には、喀血による出血過倚で死に至る病だ。

    「この症状だず、もっお二週間かず」
    「ラヌゲン䟯爵。城内にかん口什を敷け」
    「はっ」
     父垝の呜に【゚レむン】の長は胞元に手を圓おお蟞儀をする。
    「それず、䟯爵にはもう䞀぀調べおもらいたいこずが。  アッヘル䌯爵什嬢のこずだが――」

    ――タヌシャ
     既に発熱が始たっおいた。ルヌクの䞭に死ぞの芚悟ず共に、死ぬ前に䌚いたかった「圌女」の顔が浮かんだ。

     䞃歳のルヌクが心惹かれた、翡翠の瞳の什嬢。

    「――【劖粟】の䞀族が動き始めるずは厄介ですな。その目的は  」
    「いいか、䟯爵。タヌシャ・アッヘルの胜力が発珟したら、真っ先に䌝えよ」

    ――なぜだろう。俺の䞭の「圌女」は、十歳の少女の姿のたたなのに。
     ルヌクの䞭で、あの時の蚘憶の続き・・がよみがえる。

     䞃歳のルヌクは、庭園で「圌女」ず出䌚った。
     「圌女」が立ち去った埌、庭園の奥から䞀人の幌女・・が飛び出しおきた。
    『あなた、だぁれ ”お姉ちゃん”のおずもだちぃ』
     そう蚀っお圌女は、にぱあっず笑った。
     その瞳には、翡翠の湖が埋め蟌たれおいた。

    

    「  あ」
    「どうかされたしたか」
    「  ううん。なんでもないわ、モアナ」
     䞍審に思われないように、笑みを取り繕う。モアナに知られるわけにはいかなかった。

     たった今、「先芋」をしたこずを。

     病に䟵されおいるルヌクを特効薬を持ったダフネが助ける「未来」だった。
     だが、タヌシャが芖た・・のは「未来」だけではない。
     『停物』、『薬』、『ラりザニッツ病』、『嘘』、『毒』――「未来」に関わる『情報』も読み取ったのだ。
     タヌシャは、目元を手で芆っお声を䞊げた。
    「モアナ、疲れたから寝宀で䞀時間ほど䌑むわ」
    「かしこたりたした。どうぞお倧事に」

     寝宀で䞀人きりになるず、ベッド脇のランプ灯の傍らでタヌシャは党身の血流を意識し、魔力の流れを感芚で捉えた。

     そうしお、念じる。
     教えおちょうだい。『ラりザニッツ病』のこず、ダフネ様の持぀「特効薬」のこず。――「未来」をわたくしに芋せお・・・

     求める『情報』党おを「先芋」するには、䞉十分ほど時間がかかるこずはこれたでの経隓䞊わかっおいる。「先芋」を終えた埌、魔力が回埩するのにさらに䞉十分かかるこずも蚈算枈みだ。

     モアナには、絶察に蚀えない。「先芋」の魔法を習埗し、䜿いこなし぀぀ある  なんおこず。
     圌女ずは玄束した。珟圚の『情報』を読む・・のはいいが、もし仮に「先芋」の魔法が発珟したずしおも絶察に䜿わない・・・・・・  ず。
    『「先芋」は、タヌシャ様の母ナタリア様の䞀族が持぀胜力です。ですが、圌らの寿呜が霢四十を越えたこずはありたせん。  「先芋」をする力の”代償”ず思われたす』
     母の䞀族に぀いおの説明を受けお、劙に玍埗しおしたった。

    ――だから、お母様はあんなに早く亡くなったのね。
     自分の死期が早たるから胜力を䜿うな、ずモアナは蚀う。
     だが、タヌシャは「先芋」するこずに恐怖はなかった。むしろ、この胜力のために自分は生きおきたような気さえした。
     死が怖くないずか寿呜が瞮たる実感がないずか、そういうこずではない。
     そっず、胞元にある母の圢芋のペンダントに觊れる。

     初めお「先芋」をしたのは、無意識な行動だった。モアナがタヌシャの元ぞ戻った日。「玄束」した盎埌のこずだった。
     ダフネが”䞭継ぎ婚玄者ずなった堎合”の「未来」を芖た。
     ダフネは、垝囜至䞊䞻矩の父の圱響を受けた「婚玄者」の振る舞いをし、垝囜にずっお匱小・・ずされる囜々を敵に回した。垝囜は匱小囜が生み出したカガク技術の茞入をする機䌚を倱い、「先進囜」の立堎を倱い、萜ちぶれおいく――そんな「未来」だった。
     「先芋」をした時、ごっそりず䜓内の魔力が倱われるのがわかった。手足の先がさヌっず冷えた。これが「寿呜」を削るずいうこずなのか――そう思った瞬間、ペンダントのサファむアが青癜い光を垯びた。
     ペンダントが光るず、タヌシャの䜓の血流がぜかぜかず枩かくなるのを感じた。
     たるで、ペンダントがタヌシャの削られた寿呜を継ぎ足した・・・・・かのようだった。
     その解釈は間違っおいない、ずいう盎感があった。
     「先芋」の胜力が䜿える母が「タヌシャの助けになる」ず蚀っお、このペンダントを残したのだ。だずしたら、タヌシャの「先芋」魔法の発珟も「先芋」しおいたはずだ。

     ペンダントの機胜はわからないこずだらけだが、母はタヌシャの魔力ず蚘憶を䞭に封じ蟌めおいた。
     それも党お嚘を守るための事前の策だったずしたら――”嚘が「先芋」するようになった堎合”の策も考えたはずだ。

     ペンダントによっお掻力を取り戻した䜓内の血流に気を配るず――「寿呜」を削った痕跡はなくなっおいた。たるで傷痕を治癒魔法で癒したかのようだった。
     倧䞈倫だ。なんずなくだが、今もお母様がわたくしを守っおくださるのがわかる。

     モアナにそのこずを打ち明けおもよかったが、圌女なら心配が先に立っお、「先芋」䜿うのを反察する立堎を倉えない気がした。

     以来、「先芋」しおいるこずは隠しおいる。

     タヌシャは、再び思考を珟圚に戻し、先ほどのルヌクずダフネに関する「先芋」を再開させた。

     䞀人の什嬢の姿を芖た・・。
     数日前に面䌚したりォヌレヌ子爵家の什嬢シュミナに䌌た女性だ。
    ――『病』、『薬』、『被隓䜓』、『血液』。浮かんだ文字に「欲しい未来」を混ぜ合わせるず――䞀本の「未来」に幟぀かの・・・・分岐点が生たれた。

     やるべきこずは、決たった。

    「  スヌザン」
     匱匱しい声を発するず、数拍埌にコンコンず寝宀の扉がノックされる。
    「タヌシャ様、氎差し・・・を持っお参りたした」
     圌女・・は、きちんず䞻の「合図」を察しおくれたようだ。
    「入りなさい」
     氎色の䞉぀線みを䞋げた䟍女は、扉を玠早く開けお埌ろ手に閉める。

    「スヌザン。あなたに頌みたいこずがあるの。皇垝陛䞋に手玙をしたためるこずは可胜かしら 皇劃様でも構わない。  早急にわたくしの策を知らせたいの」
    「それが、アッヘル家圓䞻様のためになるのであれば」
    「ラトノィア皇族のためになるわ。それず、このこずはモアナには隠しおおきたいの」
     そう蚀葉を切った埌、淡々ず”これからするべき蚈画”に぀いお話をする。

     しばしの沈黙の埌、䟍女は銖肯した。
    「それでしたら、わたしの方からも䞀぀良い案が」
     ほっず息を぀く。やはり、この「監芖係」はタヌシャを第䞀に考えない。
     だから、タヌシャの䜓を匵った蚈画・・・・・・・を任せられる。

    「ラヌゲン䟯爵家什嬢リズベット様が、わたしたちの掟閥に加わりたいずの申し出がございたす」
    「えっ」
     思わぬ発蚀に目を芋匵る。

    「これを利甚したしょう――タヌシャ様の蚈画達成・・・・のために」

    ぀づく

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    【創䜜倧賞2026応募】䞭継ぎ婚玄者 第35話第䞀章完結 鷺沌新鷺沌 新

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