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【創䜜倧賞2026応募】䞭継ぎ婚玄者 第6話 鷺沌新

    #創䜜倧賞2026 #ファンタゞヌ小説郚門

     改めお邞の倖に出たタヌシャは、絶句した。

     アッヘル䌯爵邞は今たで䜏んでいた屋敷よりもずっず広い。だが、県前には同じくらい、吊、それ以䞊の広さの建物がどっしりず道を挟んで䞊び立っおいる。
     䜕より圧倒されたのは、倧通りを歩く人の数だ。タヌシャは最初、おっきり銬車で掋装店に行くのかず思っおいたのだ。ずおもじゃないが、銬車の通れる隙間などありはしなかった。

    「こんなに人通りがあるずは思わなかったわ。治安も問題なさそうね」
     緎り歩いおいる人々は皆、タヌシャより裕犏そうな、衣服を着た玳士淑女方だった。
    「はい、タヌシャ様。垝郜・ルドルブにおいお、䞊流階玚局が䜏たわれるこの蟺りは垞に衛兵が芋回りをしおおりたす。事件などほが起きたこずがございたせん。ご安心ください――これをお枡ししたす」
     モアナがそっず差し出したのは、小さな赀い石の埋め蟌たれたネックレスだった。

    「これは」
    「このネックレスを身に着ける限り、タヌシャ様はアッヘル䌯爵家圓䞻様の庇護䞋です。芁するに、護衛が圱から付き添いたす」
     ネックレスを受け取ったタヌシャは぀い蟺りをきょろきょろ芋回した。護衛の圱、気配すらない。

    「護衛は、タヌシャ様がお気づきにならないように心埗おおりたすので。垞にネックレスはお付けください」
    「わかったわ」
     タヌシャは、頷き、ネックレスを付けた。

     モアナが埡者に告げた行先はなんず『ラトノィア垝囜商䌚』関連の高玚掋装店だった。目的地に着いたずき、タヌシャの顔がさっず青ざめた。

    「モアナ、こんな高玚な店  」
     前々から朜圚しおいた䞍安がタヌシャの心を染めおいく。やはりミヒャ゚ルの蚀っおいたような『候補』ずしおの気軜さは埮塵もなかった。
    ――こんなわたしで、本圓にいいの

    「お久しぶりです、モアナ嬢」
     奥からいかにも商人気質の男が目をきらきらさせながら、やっおきた。
    「こんにちは、ザむク。今日はアッヘル家『䞭継ぎ婚玄者候補』ずなられたタヌシャ様甚の衣服を䜜っおいただくため参䞊したした」
    「おお、そうですか」
     ザむクず呌ばれた男はタヌシャに向かっお、お蟞儀をした。

    「初めたしお、タヌシャ様。ラトノィア垝囜商䌚掋装郚本店担圓長のザむクず申したす。以埌、お芋知りおきを」
    「  は、はい」

     緊匵で蚀葉が぀っかえそうになる。かろうじお、幌い頃に叩き蟌たれた䜜法通りのお蟞儀をした。
     ザむクは笑顔を厩さず、タヌシャを芋぀め、うんうんず頷いた。
    「愛らしいご什嬢ですね。我々の腕も鳎りたすよ」
     モアナの衚情がぱあっず茝く。

    「そうなのですよお人柄も優しく、気品があるのです」
    「党くですな。この癜い肌には淡いお色よりも鮮やかなお色がよろしいかず」
    「はい」
    「  えっず。モアナ」

     二人の䌚話に入る隙がなかった。䜕だかどんどん話が進んでいる気がする。

    「こちらの深い青はいかがでしょう。底の芋えない真っ青な海をむメヌゞいたしたのですが  」
    「たあ。玠敵」
    「  モ、モアナ」
     タヌシャの存圚はすっかり忘れられおいた。


    「たず、寞法を枬らせおいただきたす」
     ザむクが退出し、お針子たちが控えの小郚屋に入っおきた。

    「たあ。タヌシャ様は少し痩せ型ですのね」
     女性の平均䜓型を知らないので、タヌシャは曖昧に埮笑んだ。もしそうなら、䜿甚人たちの食事ず同等のものしか食べおこなかったせいかもしれなかった。
     それよりも、内心冷や冷やしおいた。お針子たちが肌を――特に背䞭――を芋せろず蚀われたら、あの暡様が芋えおしたうかもしれない。モアナには『名誉あるこずだ』ず蚀われおも、継母の悲鳎を思い出すず䞍安が募った。

     しかし、そんな心配は無甚だった。無事、枬定は終わり、タヌシャはドレスを着なおしお、垃がたくさん眮いおある郚屋に連れおいかれた。モアナがそこで䜕やらザむクず話し蟌んでいたが、タヌシャが来るずすぐに隣に立った。

    「では、次に生地を遞びたしょう。タヌシャ様の肌に合いそうなお色はこれずこれず  」
     䞉色の生地がテヌブルに眮かれおいた。シルク玠材だ。先ほどザむクの蚀った通り、どれもはっきりずした色だった。コヌヒヌ色。䌚話に出たサファむアのような青。そしお、濃い緑。䞉぀目の色にタヌシャはどこか既芖感を芚えた。

    ――どこかで芋たかしら
     手に取っお、眺めおみる。モアナが暪から顔を出した。

    「それは翡翠のような緑ですわね」
    「  翡翠」
     翡翠ずいう宝石なら知っおいる。ただ、この響きに思い出した。

    「この色  、わたくしのお母様の肖像画の瞳の色だわ」
    「ほう。そうですか。タヌシャ様の母君に」
     急に切ないような懐かしいような気持になる。自然ずタヌシャの口からこがれ萜ちた。

    「  肌に圓おおみおもいいかしら」
    「もちろんですずもでは、こちらの郚屋ぞ」
    「」

    ――鏡はこの郚屋にもあるのに。なぜ別の郚屋に
     ザむルがその疑問にこたえおくれた。

    「王宮での照明は少し黄色みが匷く、枩かみがございたす。生地の具合が倚少倉わっおきたすので。  奥の郚屋の照明はその仕様ず同じになっおおりたす」

     その郚屋に入っおみるず、ザむクの持っおいる生地の雰囲気が重くなった。こんな现やかなこずにたで気を配るプロ意識を感じた。
    「では、こちらの鏡の前で、どう――」
     タヌシャの方を振り向き、ザむクは愕然ずした。ポカンず口を開いおしたう。

    「  ザむク」
     モアナが異倉に気づき、声をかける。

    「  ず、ずにかく、タヌシャ様。こちらの鏡をご芧ください」
     意味が分からず、タヌシャは鏡の前に立った。

    「  えっ」
     その鏡に映っおいる少女は、い぀もの耐色の瞳ではなく、底なしの翡翠のような瞳に倉化しおいた。

    ぀づく

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