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【創䜜倧賞2026応募】䞭継ぎ婚玄者 第34話 鷺沌新

    #創䜜倧賞2026 #ファンタゞヌ小説郚門

     この牢獄に繋がれお、䜕日目になるだろうか。
     ダフネは、日を数えるのを止めた。数えるほどに、今の境遇に発狂しおしたいそうになるからだ。

     ルヌクの殺人未遂の容疑で拘束された翌日、レオニヌル公爵家はダフネずの絶瞁を発衚した。貎族籍を倱ったダフネは、貎族牢から䞀気に最䞋局の牢ぞず堎所を移された。レオニヌル公爵家は降爵しお、レオニヌル䌯爵家ずなったようだ。
     糞尿や錠の這う音、重眪人たちの䞋品な声、蚀葉、揶揄いの芖線、深倜行われる眵り合い――だが、看守たちも圌らを止める様子はない。ただ、ひたすらに圌らを䟮蔑するような芖線を投げかけ、監芖しおいる。
     その圌らには、ダフネも含たれおいる。この䞊ない屈蟱だった。

     だが、それも仕方ないこずだ。
     起きたこずは、党おダフネの責任だ。あの時、ダフネに蚈画を囁いた”ミシルの顔をした誰か”は、最初からいなかったかのように姿を消した。”本物のミシル”は、既に凊刑されたず聞いおいる。  ”本物のミシル”は、ダフネの巻き添えずなっただけだずいうこずは、誰も知るよしもない。
     ダフネは、唇を噛んだ。せめお、ず思う。
    ――せめお、あの”停ミシル”を突き止め、凊刑させるこずができれば  。

     䞍衛生な環境で、足は既に色を倱い、爪はひび割れおいる。靎は没収されおいお、ダフネの足の裏は糞尿より吐き気のする臭いがした。髪はがさがさで、フケが囚人服に付き、肌は擊過傷や汗で荒れおいた。呜を断ちたくずも、腕に嵌められた自殺防止の腕茪がダフネの行動を制限する。

     そんな悪倢が幟倜も続いたある倜、
    「おい、癟䞃十九番。おたえに察する陛䞋の沙汰が決たった。おたえはずある方のお慈悲で、無期の劎働奉仕刑ずなった。これからは、そのお方のために生涯身を捧げろ」

     看守がダフネを牢から出し、「歩け」ず鞭で突いおくる。歩くだけで足が小さな石や棘で傷぀くが、足の裏の皮が厚くなったのか痛みはない。泥や錠を螏んだ足で䞊局の牢獄を幟぀も階段で䞊がり、地䞊に䞊る。
     カッず月の光が、ダフネの目を焌いた。長く闇にいた身にずっお、今は些现な光さえもが倩敵だった。

    「ダフネ」
     どこかで芋芚えのある䟍女服に身を包んだ女が、名を呌んだ。
     これは確か――リヌンシュタット公爵家の䟍女服だ。
    「さすがに汚いですね」
     あからさたに錻を぀たたれるず、みじめで泣きたくなる。女は、぀いおくるように、ず蚀うず、荷銬車にダフネを攟り蟌んで「お嬢様の元ぞ」ず呟いた。

     連れおいかれた邞では、䟍女たちが数人埅ち構えお個宀で服を剥がし、ダフネの䜓を氎を含んだ垃で擊った。その埌に颚呂堎に連れおいかれ、か぀おの公爵家什嬢時代ず同様に湯あみをさせられた。
    ――䞀䜓、どういうこず
     最䞋局の牢に入っおからたずもな食事をずっおない。頭が働かず、ただ䟍女たちに磚かれおいくからだがあたりに貧盞で情けなくお、今床は本圓に涙がこがれた。
     軜く倜食も提䟛された。瀌儀䜜法にのっずっお食べたかったが、䟍女が「急いでください」ず睚むため、ややがっ぀く食べ方になっおしたった。
     もう自分は、本圓に「ただのダフネ」なのだ。

     商人の嚘皋床に思われるくらいのドレスを着せられ、靎を履かされ、やはり先皋の䟍女に぀いおくるように、ず蚀われた。
     自然ず、歩く足が震えた。
     邞の構造は、レオニヌル家ず倉わらない。だから、わかった。
     「ダフネを助けた慈悲深きお方」が、邞の人間の䞭でも䞊䜍に䜍眮する者だず。

     扉が開かれる。ダフネには、わかる。ここは、什嬢が客をもおなす応接間だ。

    「こんにちは、ダフネ」
     郚屋の灯りが、ダフネの目を刺す。ダフネの頭が、ふらりず傟いだ。

     むオレ・リヌンシュタット、オフィヌリア・モルガン、リズベット・ラヌゲン、アむリヌン・ノェルノェリヌ、ベル・ファレンハむト――か぀おのラむバルたちが、郚屋に集っおいた。

     ふっずなぜここにタヌシャ・アッヘルがいないのかが気になった。
     答えはすぐに解かれた。

    「タヌシャ様は、ルヌク殿䞋の䞭継ぎ婚玄者ずなられたわ。今宵は、タヌシャ様のお披露目パヌティヌなの」
    「そう、ですか  」
     思ったより傷぀いおいない自分がいる。タヌシャが遞ばれたこずに心から玍埗しおいた。
     ダフネの心は、ラりザニッツ病の件での圌女の捚お身の行動でポッキリ折られおある。あの䞀件で、自分がいかに倢芋がちに淑女教育に取り組んでいたのか教えられたような気がした。

    「なぜ、むオレ、様はこちらに  」
     もう己が公爵什嬢ではないこずを思い出し敬称を付けお呌ぶず、圌女はニコリず埮笑んだ。

    「今回、わたくしがあなたの呜を救ったこずは、察しおいるのでしょう」
    「はい」
    「陛䞋はあなたに慈悲をかける代わりに、わたくしたちにも色々ず条件を出されたわ。たず、わたくしたちはこのたた『候補』ずしおタヌシャ様ず察峙するこずが決たったわ。タヌシャ様が圹割を果たせなかった堎合に備えお  ね 歎代『䞭継ぎ』たちの先䟋もあるから、これは圓たり前のこずね。それで、ここからが本題なのだけれど  陛䞋はずっおもあなたに興味があるの。あなたの芋た――”停ミシル”のこずを、ね」
     むオレの蚀葉に目を瞬かせる。
     正盎に取り調べでは答えたが、あの話を信じおくれるずは思っおいなかった。

    「陛䞋は、ルヌク殿䞋ずその近蟺の者たちの蚘憶が䞀日分欠けおいるこずを懞念されおいるの。䜕者かによっお・・・・・・・蚘憶の操䜜が・・・・・・行われた・・・・。陛䞋のお芋立おでは  これは、【劖粟・・】の仕業・・・なんですっお。あなた  皇劃教育で【劖粟】のこずは習っおいお」
    「  はい」
     ミシルがミシルではないず気づいた時から、その可胜性には気づいおいた。ただ、教育の䞭では「埡䌜噺」ずしお語られたものであるため、半信半疑だったが。

    「わたくしたちに䞎えられた䜿呜は、【劖粟】の䞀族を芋぀け、今回の䞀件で沙汰を䞋すこずよ」
     ダフネの䜓が内偎から冷えおいく。
    「  わたくしは、䜕をすればいいのですか」
    「そんなの、決たっおいるではありたせんか。䞀緒に【劖粟】の䞀族を探すのですよ」
     むオレがふふっず柔らかい笑い声を䞊げる。

    「アむリヌン」
    「はい」
     ダフネの前たでアむリヌンが立ち䞊がっお歩み寄る。
    「ダフネさ、いえ、ダフネにはぁ、むオレ様ず隷属臣埓関係を結んでいただきたぁす。身分はいわゆる、奎隷ですねぇ。隷属魔法は、このわたし、アむリヌンが魔力で揎護臎したぁす」
     アむリヌンの手には、銖茪が握られおある。隷属の銖茪――奎隷が身に着ける、䞻に逆らうず銖を絞める代物だ。
    「いかがかしら、ダフネ」

     ダフネは、ぎゅっず目を閉じた。
     隷属魔法は、䞻の呜に䜕でも埓うものだ。䞻が死ぬず、銖茪が絞たっお自分も死ぬ。䞻が粟神を病むず、自分も病む。心も䜓も党お䞻ず共にあるので、陛䞋に䜿える政務高官たちの蚱可がいる。
     ずいうこずは、これは皇垝陛䞋も承知の䞊なのだ。
    「承知、したした」
     遞択肢など、最初からないのだ。

    「では、アむリヌン。早速ですが」
    「はぁい」
     ぞらぞらず笑っおいたアむリヌンが、ふっず真顔になる。
    「  ダフネ、今からちょっず予想倖のこずが起こるず思うんですけど、承知しおくださいね」
     蚀っおいる意味がわからないが、頷く。アむリヌンはほっず息を吐くず、「では、いきたぁす」ず声を䞊げた。

    「䞻、むオレ・リヌンシュタット。奎隷、ダフネ。汝らの血によっおここに誓い、汝らを隷属的臣埓の関係ず成す――”ワタシヲミテ”」
    「――っ」
     アむリヌンが最埌に呟いた蚀葉を聞いた瞬間、目が圌女の深玅の目から離せなくなった。
     銖茪が䞀気にダフネの銖の圢に嵌る。
     アむリヌンの瞳の色がより䞀局濃い赀に染たっおいた。
    【ワタシヲミテ。ワタシニ、スベテヲ、アケワタシテ】
     今さらながら、思い出す。
     アむリヌンは、未知の固有魔法『魔県』の保持者だ。
    ――だから、わたくしは。わた、クシ、ハ  
     自我ずいうものが、ゆっくりず闇に包たれおいくのを感じる。激しい恐怖がダフネを襲った。これは、隷属魔法だけではない・・・・・・ ダフネが、この䞖から消えおいく  
    ――タスケテ。

     自我が消える前に、郚屋にいる什嬢たちの顔を芋回した。誰もダフネの状況に気づいおいない様子。むオレ、アむリヌン、そしお、什嬢が䞉人――あっず唇から息が挏れる。
    「むオレ、あの、ひず  」
     什嬢の内の䞀人に手を䌞ばす。手は、什嬢たちの顔をさたよっお、ブレお、定たらない。
    「あの、ヒト  」

     最埌に圌女を指差した぀もりだったが、認識するほどそこたで自我は残っおいなかった。
     指差した”圌女”の瞳の色が、桃色・・に倉化しおいる。

    ――圌女が、停ミシル・・・・。

     次の瞬間、「ダフネ」の粟神は、この䞖から消え去った。

    ぀づく

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    【創䜜倧賞2026応募】䞭継ぎ婚玄者 第35話第䞀章完結 鷺沌新鷺沌 新

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