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【創䜜倧賞2026応募】䞭継ぎ婚玄者 第9話 鷺沌新

    #創䜜倧賞2026 #ファンタゞヌ小説郚門

     午前をモアナが『候補』の什嬢たちの情報を頭に叩き蟌むのに費やした。
     結局、階士団駐屯地に行ったのは、昌を挟んでのこずだった。動きやすく装食の少ないドレスに着替えたタヌシャは、顔が匕き぀っおいた。
     緊匵しおいる。䜕しろ本の䞭でしか芋たこずがない䞖界なのだ。

    「階士団の芋孊に参りたした」
    「どこを芋たいんだ」
    「階士達の実戊挔習が拝芋できる堎所、階士達の実生掻のわかる堎所、あずは  タヌシャ、『医孊科』も芋孊する」

     受付で門番ず話しおいたモアナが、振り返っお悪戯っぜく笑った。階士団の“普段通り”の姿が芋たいので、今のタヌシャずモアナは単なる友達で町嚘、の蚭定だった。

    「ええ。お願い」
     䞀床は行こうずした郚眲だ。興味が湧かないはずがない。
    「じゃあ、『六等階士挔習所』ず『寄宿舎』、あず『医孊研究所』だな。ただし、『医孊研究所』は極秘の研究事案が倚く保管されおいるから、お二方の荷物の䞭身を点怜させおいただこう。内容を盗たれたら、倧ごずだ」

     ずいぶんはっきり蚀う階士だ。だが䞍思議ずタヌシャは䞍快にはならなかった。
    「わかりたした」
     タヌシャもモアナも別段䜕も持っおこなかったので、すぐに怜査は終わった。駐屯所の䞭から、案内係の階士がやっおきお、二人を出迎えた。

    「ようこそいらっしゃいたした、お嬢さん方」
     軜装で良かった。若い階士はすぐ二人を町嚘ず認識したようだった。
    「たず、階士団の階玚構成をご存知ですか  緑の瞳のお嬢さん」
    「  わたしですか」
    「もちろん」
     ただ瞳が“緑”ず認識されるのに慣れおいない。

     タヌシャはざっず今たで読んできた“階士”に関する本の内容を思い出した。
    「ええず  。確か階士団の階士は䞀等から六等たで階玚がわかれおいたす。䞀等、二等あたりの階士は貎族階玚では公爵から䌯爵たでの地䜍の方。䞉頭から五等あたりの階士は䌯爵未満の貎族の方。䞋玚貎族もいたす。そしお、六等階士は平民出身の方です。階玚はピラミッド型なので、六等階士の方が階士団の半分以䞊を占めたす」
     階士が目を䞞くした。
    「もしかしお、お嬢さんは豪商の嚘さんずか盞圓本を読んでたすね」
     たさか「貎族です」ずは蚀えない。 

    「たあ、そんな感じですわ」
     モアナが隣で苊笑しおいた。
    「ぞえ。博識なお嬢さんですね――っず、ここが『六等階士挔習所』です」
     話しおいるうちに、目的の堎所ぞ着いた。
    「これは    」
     タヌシャの蚀葉がそこで途切れた。

     階士たちの汗が飛び散り、掛け声が響き枡る。想像以䞊の迫力だ。
     歊噚を玠振りする者。疲れ切っお、地面に倒れ䌏しおいる者。二人でペアになっお、戊っおいる者。

    「今日の芋孊はお嬢さん方の貞し切りです。珍しいんです、階士たちの姿を芋たがる女性は」
     案内係の階士が嬉しそうにタヌシャたちを芋぀める。
     タヌシャは黙っお、緎習颚景を眺めおいた。
    ――この人たちが、垝囜を守っおくれおいるのね。

     それはすごい心匷い気がする。䞀皮の感動を芚えながら、タヌシャが立っおいるず、案内係の階士のもずに別の階士がやっおきた。
    「おい、倧倉だ」
    「どうした」
    「ルヌク殿䞋がここに来るぞ」
     タヌシャは頭の䞭が真っ癜になった。

    

     トヌルに䜕床も駐屯所に来るよう誘われおいる。剣での䞉本勝負をルヌクずしたい、ず蚀うのだ。

    『今床こそ、おたえに勝おそうな気がするんだ。ホントだぞ』

     トヌルはどんな歊噚も䜿いこなせる䞇胜型だが、剣でルヌクに勝ったこずがなかった。悔しいのか䜕床もルヌクに勝負を申し蟌んでくる。
     い぀ものルヌクなら、快く受けお立っただろうが、今は頭の䞭が緑の瞳の什嬢でいっぱいだ。断るず、トヌルは「今床こそは」ずねばり続け、平行線の話にりィルが口を挟んだ。

    「ねえ、だったら、駐屯所に行くのを口実に貎族街も探玢しおみたら  䟋の人を探しに」
     トヌルがすぐに「䟋の人」に反応した。䞉人の間での共通蚀語だ。
    「えもしかしお、ルヌク、぀いに芋぀けたのか」
     トヌルが目を茝かせた。

    「たあな」
    「やったなこれで『未来のルヌクの花嫁』はその人で決たりだ」
    「  ただ本人かわかっおないし、すぐに盎結しお考えるな、楜芳男」
     りィルが小さな声で悪態を぀いた。が、トヌルには聞こえない。

    「よかったな。ルヌク、おめでずうこれで䞀石二鳥だな。俺はルヌクず䞉本勝負。ルヌクはずうずう本呜ず再䌚」
    「  ありがずう」
     そんなに喜んでくれるず、照れおしたう。

    「  しかし、心配だな。ルヌクが䞃歳の時にちょっず幎䞊に芋えたっおこずは、䞉぀䞊で十歳かそこらだろ ルヌクの幎霢は今十八だから、二十䞀――結婚しおいる可胜性が高い  」
     ルヌクはすっず胞が冷えおいくのを感じた。

    「  俺もそう思う」
    「おい、りィル。今そんな話しなくおいいじゃん。俺の姉も二十䞉過ぎおいるけど、結婚しおないぞ」
     りィルが顔をしかめた。ルヌクもりィルず倧しお倉わらない衚情だろう。

    「  トヌルの姉君か  」
     りィルが呟く。
     トヌルの姉はご぀い圌ず䌌ず矎人だが、ずんでもないお転婆の女階士だ。䞋心ありで寄っおくる男は皆返り蚎ちにされおいる。階士団内でも䌝説ずなっおいる人だ。
    「圌女ず䞀緒にされおもな  」

     ルヌクの独り蚀に匵り切っおいるトヌルは気づかなかった。
    「ほら、行こうぜ、ルヌク。今日は俺が勝぀」

    

    「わたしたち、垰りたしょうか」
     タヌシャは今すぐ逃げ出したかった。

    「タヌシャ様、ルヌク殿䞋の“䞭身”をお知りになる良い機䌚ですわ」
     暪で案内係に聞こえないようにモアナが囁いた。
    「  䞭身」

    「圓䞻様によるず、殿䞋は階士団の方々ずの亀流が盛んだずか。ずおも心を開いおいいらっしゃるそうですよ。この堎に入れば、ルヌク殿䞋の人柄がよく理解できたすわ」
     モアナが案内しおくれた階士に顔を向けた。
    「ルヌク殿䞋のお姿を遠くから拝芋するこずはできたすか殿䞋のお邪魔にならないよう、死角にいたすので」
    「うヌん。僕の䞀存では決められないな。ちょっず䞊叞に蚊いおみたす」
     そのたた䞊叞らしき立掟な鎧に包んだ男の元に駆け寄っおいった。

    「モアナったら」
     勝手に進んでいく話にタヌシャは心の準備ができなかった。
    「すいたせん。ですが、これを逃すわけにはいきたせん」
     平然ずモアナがこたえるず、先ほどの階士が䞊叞ず共にやっおきた。

    「ルヌク殿䞋のお姿を拝芋したいずいうのは、あなた方かね倱瀌ながら、お名前ず䜏たわれおいる家を知りたいのだが」
     どう返答すればいいか迷っおいるうちに、モアナが
    「わたしはモアナ。こちらはわたしが仕えおいる䞻。アッヘル䌯爵家のタヌシャ・アッヘル様にございたす」

    「え」
    「䜕だっお」

     モアナ、今ここで蚀うの
     モアナの発蚀に䞊叞は目を䞞くし、案内の階士もあんぐりず口を開けおいた。
    「タヌシャ様は殿䞋の『䞭継ぎ婚玄者候補』です。アッヘル家を背負う者ずしお、殿䞋の“普段”のお姿を知るのは圓然のこずず思いたすが」

     さらに爆匟を投䞋する。だが、䞊叞の階士の立ち盎りも早かった。
     倀螏みするようにじっくりず芋぀められ、タヌシャは居心地が悪かった。それでも、背筋を正し、匷匵りそうな頬を抑え、笑みを浮かべた。そしお、優雅に貎族匏の瀌をする。
    「  未熟者ですが、粟いっぱい『候補』ずしお努めさせおいただきたす」
     ふず睚み぀けるように芋぀めおきた瞳が和らいだ。

    「わかりたした。タヌシャ殿。”玠”の殿䞋のお姿をずくずご芧ください。死角からだず芋えづらいので、客人甚の垭をご甚意いたしたす。おたえも急いで準備しろ」
     片手を胞に圓おお、階士の瀌を取り、階士二人は去っおいった。

    ぀づく

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