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【創䜜倧賞2026応募】䞭継ぎ婚玄者 第35話第䞀章完結 鷺沌新

    #創䜜倧賞2026 #ファンタゞヌ小説郚門

    第䞀章 ゚ピロヌグ

     皇垝倫劻に「ルヌクの婚玄者家族」ずしお離宮でのお茶䌚の招埅状を受け取ったのは、䞭継ぎ婚玄者が発衚されおから二週間埌のこずだった。
     モアナによっお、皇垝に䌚う皋床に品よく䞊質に、けれど内茪の茶䌚皋床の身軜さを備えた青色のドレスを身にたずった。唇に玅を、目元が優しく芋えるよう瞌に癜のキラキラずしたパりダヌを塗られた。髪は、耇雑に幟぀かの線み蟌みにしお、うなじ蟺りでひずくくりにたずめお巊肩に流しおいる。たずめ髪を止めるリボンにもルヌクの瞳の色が䜿われおいた。

    「それでは、いっおらっしゃいたせ」
     離宮のルヌクの䜏む䞀角の倧郚屋の前で、モアナやマヌカスは埅機するこずずなっおいる。この茶䌚は、家族たちの集い――必芁最䜎限の人数に絞られおある。
    「姫様、どうぞこちらに」
     ポヌラが埮笑む。すっかり「姫様」呌びが定着しおしたっおいた。
     タヌシャは埌ろを振り返っお、笑っおみせた。
    「行っおくるわ、モアナ」

     郚屋に入るず、四぀ほどのテヌブルず怅子が敎えられ、その呚りを招埅客たちが座っおいた。
    「あら、いらっしゃい。タヌシャ」
     皇劃マリアが、奥のテヌブルでゲオルグず隣通しで座っおいる。こちらに手を振るず、招埅客たちが䞀斉にタヌシャの方を向いた。
    「あ  」
     ずおも驚いた。  誰の芖線もタヌシャに敵意を持っおいないこずに。
     マリアのテヌブルからルヌクず少女が䞀人立ち䞊がる。少女は、金髪を頭の倩蟺で䞀぀にたずめ、焊げ茶の瞳を茝かせおいた。どちらかずいうず、優しげな面差しはマリアに䌌おいるだろうか。
     貎族幎鑑で䜕床も拝芋した埡顔だ。すぐに最䞊玚の瀌を取る。
    「ペアンナ皇女殿䞋、お目にかかれお光栄です。タヌシャ・アッヘルず申したす」
    「こんにちは 未来のお矩姉様」
    「皇女殿䞋、その、お矩姉様ずいうのは」
    「いけないかしら」

    ――「お矩姉様」だなんお  いくらなんでも性急すぎないかしら
     やや䞍安を芚えお招埅客を芋やるが、皆枩かな笑みを浮かべおいた。ルヌクもい぀も以䞊に麗しく埮笑んでいる。
    「いえ、皇女殿䞋にそのように呌んでいただき、光栄の極みにございたす」
    「いやだわ。ペアンナず呌んでちょうだい 離宮ここでは敬語も省いお構わないわ」
     ルヌクの効らしいず蚀うべきか。兄効で蚀うこずが䌌おいる。
    「  ありがずう、ペアンナ」
     感謝を瀺すため、扇子を銖元たで䞋げお笑みを芋せるず、ペアンナの頬が赀く染たる。
    「  お兄様が初恋を手攟された理由がわかる気がしたすわ  」
    「え わたくしずルヌク殿䞋は理性的協力関係ですわよ」
    ――わたくしたちは、”新時代”を共に迎えるために同盟を結んだようなものだもの。
     そう考えるず、少し寂しさのようなものが胞を通り抜けおいく。  なぜだか。

    「  たあ」
     タヌシャの蚀葉にペアンナが困惑した衚情を浮かべ、兄を芋やった。
    「お兄様ったら  案倖ポンコツですのね」
    「ペアンナ、少し黙るんだ」

     よくわからない応酬をしたルヌクは、䞍満そうにタヌシャを芋぀める。
    「タヌシャ、ここは離宮だ。『殿䞋』ではないだろう」
    「今日この堎では、『ルヌク様』で勘匁しおくださいたせ」
     これ以䞊の譲歩はできない。皇垝倫劻の前でルヌクを呌び捚おできるほど匷い心臓ではないのだ。

     皇垝䞀家の集たるテヌブルたで連れられ、挚拶をする。ドレスの裟を掎もうずするず、ルヌクがかすかに銖を暪に振った。ここでも、挚拶は砕けたもので構わない、ずいうこずだろう。軜く腰をかがめる皋床にした。
    「よく来たな、タヌシャ」
     皇垝ゲオルグは、公の堎で芋られない気の緩んだ衚情を浮かべおいた。
     そこでようやく、本圓に内茪の茶䌚なのだず実感する。
    「こういう内茪の䌚では、お矩父様ず呌ぶように」
    「あず、わたくしのこずもお矩母様ず呌んでちょうだいな」
    「かしこた  わかりたしたわ。お矩父様、お矩母様」
     タヌシャには、『皇劃』ずなる自分が想像できないし、『䞭継ぎ』のたた終わるだろうず思っおいるが。厚意はありがたく受け取っおおく。
     少し胞が枩たる。
    ――䞀時的でも、ここはわたくしの新しい家族なのだわ。
    「ごめんなさいね。リュカはただ幌くおお茶䌚には出せないの。たた次の機䌚に䌚わせるわ」
    「ご配慮、ありがずうございたす」
    「ねえ、お矩姉様。噂で聞いたのだけれど、お兄様からリルシィ王囜の指茪を莈られたんですっお」
    「ええ、ペアンナ。その通りよ。今は翡翠色だけれど、日に圓おれば  ほら」
     薬指を陜光に圓おるず、ルヌクの瞳の色に倉わる。その色にわずかな虹色の茝きが垯びおいた。

    「玠敵  。さすがわたくしの留孊先に決たっただけのこずはあるわね。積極的に技術を孊ばなければならないわ  」
     パチ、ず思わず目を瞬かせる。
    「ペアンナは、リルシィ王囜に留孊するの」
    「そうよ いずれ皇垝ずなられるお兄様のために、倖囜の文明をたくさん吞収しおくる぀もり」
    「  巊様ですか」
    ――思っおいた通り、陛䞋はペアンナ様にも『皇族の暩力』を分け䞎える぀もりなのね。いずれは、ペアンナ様を・・・・・・䜿っお・・・テオルド皇匟殿䞋の皇䜍継承順䜍を䞋げる・・・぀もりなのだわ。

     今のラトノィア垝囜が、他の諞囜より遅れおいる  ずもいえる制床がある。
     皇䜍継承暩は、男系男子に限る――ずいう点だ。東にある倧囜゚ノァヌミン王囜では、次期王䜍は囜王の第䞀子である王女殿䞋ず定められおいる。

     タヌシャは、扇子越しにペアンナを芋぀める。
     ちょうど埡幎十六歳。タヌシャず同い幎。留孊先のリルシィ王囜でかなりの実瞟を埗たら――ルヌクの皇䜍継承暩を揺るがす第二の存圚ずなるかもしれない。
     もちろん、第䞀の盞手はテオルド皇匟殿䞋だが。圌のお方の抜きんでた功瞟は、皇䜍継承順䜍を無芖すれば若いルヌクより数段䞊だ。
     皇匟テオルドは、タヌシャにずっおも芁泚意人物ずなるだろう。
     今回のお茶䌚にも参加されおいないようだし  。

    「本圓は、テオルド叔父䞊も招埅したかった  」
    「ルヌク」
     ルヌクの呟きを聞き取ったゲオルグが、顔をしかめる。
    「䞍甚意な発蚀は控えよ」
     皇垝の衚情には、匟に察する苊々しい思いが滲んでいた。
     タヌシャには、それは”怖れ”に映った。
    「  申し蚳ありたせん、父䞊」
     少なくずも、ルヌク自身は皇匟を悪く思っおいないらしい。父子の間に考えの䞍䞀臎があるのは確かなようだ。

     ざわざわっず郚屋の入口扉向こうから声がする。

    「皇匟殿䞋 困りたす どうか  ガッ」
    「おやめください、皇匟殿䞋  あっ」
     マヌカスずモアナの声がプツリず途切れる。
    「呌ばれおないずいっおも、兄䞊が茶䌚に来るのを犁じおいるわけではあるたい 招埅状をもらっおないだけだ」
    「それは、犁じるのず同矩です あず、䟍埓たちを気絶させる時点で、陛䞋の逆らったず同じこずです」
    「りィルの蚀う通りだ どうかお匕き取り  をぉっ」

     あれは、この前のパヌティヌで改めお玹介されたルヌクの偎近――りィルずトヌルの声だ。

     ドゎッドゎッず殎り぀ける音が二぀聞えおきた。
     ゲオルグずマリアの顔が匷匵る。
     ルヌクが困惑ず期埅の混じった衚情で立ち䞊がった。

    「おじう――」
     扉が荒っぜく開かれる。マヌカス、モアナ、りィル、トヌルが床に䌞びおいる姿に婊人たちが悲鳎を䞊げる。
    「テオルド」
     ゲオルグの怒声が響き枡る。
    「久々だなぁ、兄䞊 ルヌクが婚玄したず聞いお、参䞊した次第だ」
     りィルたちを殎った拳をもう片方の手で擊るず、テオルドず呌ばれた男はニカァッず豪快に笑った。

    「しっかし、ひどいじゃないか兄䞊 ルヌクの婚玄者に䌚わせおくれないなんお。この前の婚玄者発衚パヌティヌも行くのを犁じられお、ほんっずむラっずしたからな 今回の茶䌚は匷行突砎させおもらった」
    「婚玄者ではない。䞭継ぎ婚玄者だ」
    「どっちでも䞀緒だろぉ」
     ゲオルグの苊虫を朰した衚情を意に介さず、テオルドが扉から䞀歩䞀歩タヌシャたちのいるテヌブルたで歩み寄っおくる。

    ――党然、陛䞋ず䌌おいらっしゃらないわ。陛䞋ず母違いの兄匟なせいかしら
     皇匟テオルド・ルりヌ・ラトノィア。先垝の第二皇劃ずの間の子で、生たれたその瞬間から䞡芪及び呚囲に疎たれお育った。第二皇劃自身は先垝から寵愛を䞀身に受けた方なので、なぜその子であるテオルドが疎たれたのかは誰も知らない。
     でも、この姿を芋お、少しわかった気がする。先垝を含め、テオルドの姿は党く皇垝䞀族ず䌌おいない。
     倜に向かう空の色を暡したような玺色の長髪、䜕色ずも説明しがたい透明な氎晶のような色の瞳。ルヌクやゲオルグが霞むほどの、圧倒的矎貌。
    ――たるで、神がその手で描かれたかのような綺麗な人だわ。

    「この嚘が、ルヌクの愛しの婚玄者か」
     い぀の間にかテオルドは、タヌシャの目の前に立っおいた。
     慌おお立ち䞊がり、ドレスの裟を぀たんで最䞊玚の瀌を取る。
    「タヌシャ・アッヘルず申したす  テオルド皇匟殿䞋」

     無様な姿を芋せたいず、力匷く顎を䞊げ、扇子を䞋ろしおテオルドに顔を芋せる。

     瞬間、テオルドの瞳に走った感情は䜕だったのだろうか。
     動揺、疑念、そしお䜕かを愛おしむような衚情――䞉秒ほど、圌の䜓から凄たじい圧を感じた。タヌシャは、これが”䜕か”を知っおいる。甚倧な量の魔力だ。

    「  叔父䞊」
     ルヌクが呆然ずした衚情で怅子に座り蟌んだ。魔力にあおられた・・・・・のだろう。

    「  倱瀌した。俺は、これで垰る」

     テオルドはそう蚀っお、さっず身を翻し、元来た扉の方に螵を返す。

     扉が閉じる時に圌が蚀ったその蚀葉は、重くお茶䌚の堎に響いた。

    「そうか。あれから十六幎経぀のか。    俺も幎を取るはずだな」
    ――ナタリア・・・・。

    ――テオルド殿䞋は、お母様をご存じなの
     頭ががんやりずする。なんずなくテヌブルに座る他の人たちに芖線をやっお――背筋に寒気が走った。

     ルヌクはタヌシャ同様、がんやりずしおいる。
     ゲオルグは顔をしかめ、必死に動揺を隠しおいるようだった。その隣でマリアが扇子で顔を隠しおいるが、その手は明らかに震えおいる。

     タヌシャは、もう䞀床扉の向こうを芋぀めた。
     モアナたち四人が床に䌞びおいる。なのに、ゲオルグたちは䟍埓たちに危害を加えたテオルドが去るのを黙っお睚んでいるだけだ。

     䜕かが起きおいる。いえ、既に・・始たっお・・・・いるのだ・・・・。

     タヌシャも、テオルドの背を睚む。嵐のように蚪れお去った、その背を  芋぀め続けた。

     それは、『䞭継ぎ』ずなったタヌシャのこれからの行く末を暗瀺しおいるかのようだった。

    第䞀章 完

    【創䜜倧賞2026応募】䞭継ぎ婚玄者 第1話 鷺沌新鷺沌 新
    【創䜜倧賞2026応募】䞭継ぎ婚玄者 第2話 鷺沌新鷺沌 新
    【創䜜倧賞2026応募】䞭継ぎ婚玄者 第3話 鷺沌新鷺沌 新
    【創䜜倧賞2026応募】䞭継ぎ婚玄者 第4話 鷺沌新鷺沌 新
    【創䜜倧賞2026応募】䞭継ぎ婚玄者 第5話 鷺沌新鷺沌 新
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