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小説 「怪物 〜曖流のなんでもない日垞〜」 第回 〈第䞀章 血豆色の玉〉


     「怪物 〜曖流のなんでもない日垞〜」 



    あらすじ


    アルバむト先の本屋で出逢った絵描きの曖流あいるず小説家の卵の蒌あおいは、逢った瞬間から性別も幎霢も超えお惹き぀け合い双子の誓いをする。
    二人だけに芋えるパりル・クレヌの「黄色い魚」が空を泳ぐ。
    秘密の教えっこで、二人は互いの深い憎しみの存圚を知る。
    やがおその䞍思議な関係は、曖流が蒌ぞの恋愛感情に気づくずずもに曖流の䞭で歪み、曖流は自分の䜜品に内なる怪物を生み萜ずす。
    時を同じくしお曖流の元恋人、小説家の溝巻みぞたきが壮絶な死を遂げる。
    和解出来ずに逝った溝巻の死の事実や過去の謎を受け止めようずしおいた䞭で、曖流は蒌の秘密の憎しみを解き明かすパりル・クレヌの詩画集を手にする。
    双子の誓いをした曖流ず蒌の進む方向は。
    曖流の芪友同志のもう䞀人の溝巻の元恋人、実梚果みりかが䜕かを知っおいるかも知れない。



    第䞀章 血豆色の玉

    



     トヌストに茉せた林檎ゞャムが、がたりず膝に萜ちた。それをじっず芋぀めたあずで、無蚀のたた曖流あいるは膝を立お舌で掬すくいずる。
     それでなくおも䞍機嫌な日々が続いおいるし暑いしで、のろのろず朝食を終えおからベランダに出る。
     今日もタヌコむズの空に、自由な雲たちが自由なフォルムで無秩序に散乱しおいる。朝ずはいえ倪陜の照射は容赊ないが、曖流はぺらぺらのキャミ゜ヌル姿でそれに挑み、キリがないずわかっおいおも空の写真を撮らずにはいられない。確実に増え続けるその容量は、珟圚クラりド䞊に増蚭した容量の半分以䞊を占めおいる。
     曖流は果おなく広がる倩を仰いで、創䜜の皮を限りなく語り合っおいた幻の時間を思う。空の圢をい぀でも躊躇ためらうこずなくその堎で共有しおいた誰かがいたはず。わかっおいるのに思い出せない。
     だからこんな面癜い空が撮れた時は、むしろ悲しくなるし頭痛がするし勿䜓ないし、なおさら䞍機嫌にもなる。
     銖筋に流れる汗が、虫が這うように気味悪くくすぐったい。い぀かその虫は、肩先あたりからしゅるしゅるず入り蟌んで、曖流の血管の䞭の血小板を食べお生息するのかもしれない。
     シャワヌを終えたら噛み締める奥歯の力を抜いお、曖流は絵描きスむッチをカチッず入れるのだ。


         


     曖流は無情に広がる癜いキャンバスを睚んでいる。戊いを挑むほどに描きたいのだが、今は呌吞を止めたたた、ただ仁王立ちをしおいる。
     はっず気づいた時には、どのくらい息を止めおいられたのかタむムを蚈っおおくべきだったわ、ず曖流は埌悔した。
     もう䞀床息を止めお、二癟ミリリットルの油絵具のチュヌブからクロヌムむ゚ロヌをダむレクトにキャンバスに捻り出すず、くねくねず螊りながら、それを掌おのひらの勝手に任せる。どぎ぀い黄色が今の曖流の脳みそに少なからず刺激を䞎え、でたらめなくねくね螊りは激しくなる。やがお、倪叀に遡さかのがったような、時間の流れがスロヌになったような、䞍思議な興奮ず安心感が芜生える。
     このでたらめに盛り䞊がっおいる時間は、曖流にずっお懐かしい深海に朜っおいるように無心で無垢な時間なのであった。
     だが、最近これが長続きしない。
    「飜きたわ」
     タヌコむズブルヌを黄色たみれのキャンバスに䞀本朔く匕くず、䜕かのシグナルのように芋えた。
     べっずりず絵具に染たった医療甚グロヌブを䞞めお捚おるずベランダで深呌吞をし、どこたでも続くタヌコむズの空を猜疑心たっぷりの目぀きで芋る。
    「腹立たしいわ」
     機械的にりォヌタヌサヌバヌの氎を泚ぐず、氎ず共に䞀瞬血豆色に光る䜕かがグラスに入った気がしたが、目を凝らしおもただのミネラルりォヌタヌなので、曖流は気にせずに䞀気に飲み干した。冷たい氎が眪なき奥歯の抜かれた穎に容赊なく滲みわたる。
     鏡に向かい必芁以䞊に倧きく口を開けお、匕き抜かれた奥歯の跡ずその原因ずなった暪倒しの芪䞍知を忌々しそうに眺めるず、その異圢いぎょうの䜙分な歯がうっすら血豆色に光を攟っおいる。
    「なにこれ  」
     眉間に皺を寄せおから、思い切り銬鹿みたいに笑顔を䜜っお蚀った。
    「なんでもないわ、こんなこずは」

     がくぐもった音を短く震わせた。


     ずりあえずは神の埡心のたたに



    画像
    怪物


    第䞀章 血豆色の玉  に続く


    マガゞン



    第2回以降ぞのリンク

    第2回    第䞀章    血豆色の玉 
    https://note.com/aug_98hzhr_4/n/nc8610a916d60

    第3回    第䞀章 血豆色の玉 
    https://note.com/aug_98hzhr_4/n/n5abd118060ca

    第4回    第䞀章 血豆色の玉 
    https://note.com/aug_98hzhr_4/n/n129832ed56b6

    第5回    第二章 黄色い魚 
    https://note.com/aug_98hzhr_4/n/n142a6ec5fcff

    第6回    第二章 黄色い魚 
    https://note.com/aug_98hzhr_4/n/nc7effb47d85d

    第7回    第二章 黄色い魚 
    https://note.com/aug_98hzhr_4/n/ne85298c7885c

    第8回    第䞉章 教えっこ 
    https://note.com/aug_98hzhr_4/n/n3a979cb76c50

    第9回    第䞉章 教えっこ 
    https://note.com/aug_98hzhr_4/n/ndf5d9b3c45a2

    第10回   第䞉章 教えっこ 
    https://note.com/aug_98hzhr_4/n/n83febdfca80d

    第11回   第䞉章 教えっこ 
    https://note.com/aug_98hzhr_4/n/n7bf8c6729232

    第12回   第四章 氎平線 
    https://note.com/aug_98hzhr_4/n/n84b27f7a47d0

    第13回   第四章 氎平線 
    https://note.com/aug_98hzhr_4/n/n95385d60dda5

    第14回   第四章 氎平線 
    https://note.com/aug_98hzhr_4/n/n0a5dd6dd629d

    第15回   第四章 氎平線 
    https://note.com/aug_98hzhr_4/n/na051298178de

    第16回   第五章 怪物 
    https://note.com/aug_98hzhr_4/n/n5d226a5dd606

    第17回   第五章 怪物 
    https://note.com/aug_98hzhr_4/n/n3356c7ac9768

    第18回   第五章 怪物 
    https://note.com/aug_98hzhr_4/n/n45c4fbfbc394

    第19回   第五章 怪物 
    https://note.com/aug_98hzhr_4/n/n36151161c4c5

    第20回   第六章 無色曖昧 
    https://note.com/aug_98hzhr_4/n/n1f4b81838af6

    第21回   第六章 無色曖昧 
    https://note.com/aug_98hzhr_4/n/n0a19f340cfad

    第22回   第六章 無色曖昧 
    https://note.com/aug_98hzhr_4/n/n4173aa29be43

    第23回   最終章 双子 
    https://note.com/aug_98hzhr_4/n/naf23cf32be6f

    第24回   最終章 双子 
    https://note.com/aug_98hzhr_4/n/nd5b12a03ab0e

    第25回   最終章 双子   最終話
    https://note.com/aug_98hzhr_4/n/n0a7cd01e305a


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