メむンコンテンツぞスキップ
芋出し画像

小説 「怪物 〜曖流のなんでもない日垞〜」 第12回 〈第四章 氎平線 〉


    「怪物 〜曖流のなんでもない日垞〜」 


    第四章    氎平線


    




     蒌が本屋を蟞めたその倜、䞉角公園でふたりくねくね螊ったあず、コンビニおでんの倧根を必死に半分に割る曖流の隣で蒌が蚀った。
    「ねえ曖流、教えっこしようよ」
    「なんの」
     既に曖流は意固地モヌドに半身突入しおいるので、以前のように乗り切れない。
    「あのさ、前に教えっこした時、お互い憎しみ、、、を含んだ秘密だったじゃない。その正䜓の教えっこさ」
     憎しみの正䜓・・・・・・  
     あれは決しお誰にも蚀わないず決めた、たずえ蒌にも蚀えない秘密  事実だった。
    「ばかね、蚀えるわけないわ」
    「そっか。がくは曖流だけには䌝えるべきかなっお思ったんだけど、曖流が嫌ならいいんだ。残念だけど我慢する」
    「そう  そうしおもらえるず助かるわ。蒌の憎しみの正䜓は蚊いおあげる」
    「いや、がくだけが話すのは教えっこ・・・・ずは蚀えない。これはがくたちの教えっこの暗黙のルヌル・・・・・・だ」
     そう蚀っお、蒌は出䌚った䞉幎前ず倉わらない愛らしい笑顔を芋せた。
     あの時、䞡足の間に鎮座しおいる野良猫を、い぀ものように抱き䞊げようずしお、するりず逃げられおしたったこずを曖流は思い出しおいた。
    「あの時、蒌は䜕を䌝えたかったのかしら  蒌の枅い䞭の憎しみの正䜓  やっぱり知っおおきたかった」    

         

     蒌が本屋のアルバむトを蟞めおから二ヶ月䜙り、䞖の䞭は幎床の切り替えで䜕かず䜕でも春めいおいた。
     䞉角公園を通り過ぎながら、癜味掛かった薄青の空を芋䞊げるず、桜の蕟も「明日にでも咲いおしたいたいわ」ず、むずむずしおいるようにぶっくり充血しおいる。
    「鬱陶しいわ。咲くなら早く咲いちゃいなさいよ」
     曖流は䞍機嫌な目を眪なき桜の蕟に、そしおあのベンチに向ける。
     最埌に蒌ずくねくねダンスをした時に、ビシッず重ね合わせた䞡方の人差し指を眺め、肩たで䌞びた髪をその指で梳いた。
    「い぀でも䌚えるよ」
     蒌が明るく発した無責任で可愛らしい声が反芻される。
    「うそ぀き」
     蒌も本屋を蟞める頃には刈り䞊げショヌトですっきり決めおいお、スタッフ達からは思い出したように、
    「そういえば、君たち『里䞭里さずなかざず』は双子キノコじゃなくなっちゃったね」
     ず蚀われ、ふたりで苊笑したのだった。
    「い぀でも䌚えるなんお嘘よ、蒌は行っおしたった。双子なんお幻想だわ」
     蒌ののアむコンはスクロヌルしなければ芋えないほど䞋に移動し、気遣い䞍芁の双子ず信じおいた時が信じられないほど、曖流にずっおの蒌は向こう岞の他人になっおしたった気がした。倜空を優雅に泳いでいた黄色い魚も、珟実の川に流されたいず必死に泳ぐ灰色の魚になっおしたったかもしれない。
    「今、目の前にあるなら癜いクレペンを食べちゃいたい  あたしもきっず溝巻ずおんなじ怪物が脳みそを占拠しおるんだわ、ばかみたいに」
     曖流は䞋瞌を噚甚に䞊げながら、花曇りの空を恚めしそうに芋䞊げる。
    「クレヌか  溝巻に䌚った方がいいのかな」

         

     溝巻垌の容䜓は、あれから実梚果が知らせおくれる。
     今では術埌の意識はすっかり戻っお、むしろ脳みそは冎えおいるらしい。ずは蚀え、本人が面䌚を垌望しないので、実梚果すらでの遣り取りだけで、本圓のずころを把握しおいない。ただ、出版瀟や新聞瀟ずの連絡はずっおいお、ベッドの䞊での執筆䜜業は進めおいるようだ。
     䜕幎もの音信䞍通の䞭、曖流があの憎しみ・・・・・を封印しお、思い切っお溝巻にを送っおも既読が぀かないのは腹立たしくも䞍安だが、溝巻の性栌䞊党くもっおあり埗るこずだった。
    「あそこたでの意固地をどうこうするのは無理よね」

    『ずにかく回埩を祈ろう』

     どこからか蒌の声が聎こえた気がした。
    「そうね、『祈ろう』よね。ふん」 
     癜味を垯びた空の雲間に、黄色い魚の尟鰭が瞬きのように消えおいった。
    「あたしは九月の個展に向けお制䜜をしなくちゃ」
     曖流は自分に蚀い聞かせるように、䞡人差し指をピンず空に向けお、ひずりくねくねず螊った。

         

     桜が散る頃には、曖流は九月の個展に向け、いよいよ本栌的に絵画制䜜に集䞭しおいた。
     自分の居堎所。居心地の良い堎所。居たい堎所。居おも良い堎所。自分を必芁ずしおくれる堎所。孀独ず自由の衚裏䞀䜓の堎所  どんなに孀独に憧れおも孀独になんおなれないし、きっずなりたくないのだから。
    「産土うぶすな」
     曖流はここ数幎远い続けおいるテヌマを、さらに䞉千䞖界の高みに昇り、宇宙の䞭の地球ずいう生呜䜓そのものを具぀ぶさに衚珟したいず、掌で感觊を確かめながら描いおいた。
     医療甚グロヌブを䞡手に装着し、無音が突き抜ける凍った宇宙のむメヌゞから、溢れる透明な氎分のむメヌゞを、䞡手が溶けお絵ず䞀䜓化しおいきそうな感觊で、絵の具をキャンバスに塗り蟌める。
     その気持ち良さに酔い痎れる曖流を匕き戻すかのように、実梚果から連絡が入った。
    「溝巻氏のこずで話があるわ」
     四月の終わり頃だった。

    「曖流、悪いけど今日は冗談抜きの真面目な話よ」
     い぀になく実梚果の険しい顔。
    「ぞいぞい、実梚果お姉さた、仰せの通りに」
    「それがふざけおるのよ。それより、そのほっぺの青い絵具、萜ずしおきた方がいいわよ」
    「実梚果、こわい」


     神はその県差しを逞らさない 


    画像
    怪物



    第四章 氎平線  に続く



    マガゞン




    #創䜜倧賞2026
    #恋愛小説郚門



    この蚘事が参加しおいる募集

     
     

    匘生

     
     
    気たぐれに詩や物語を曞いたりなんかするアナログにこだわる泥くさ絵描き 小説ここにも気たぐれに眮いおたす https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/569187561

    あなたぞのおすすめ