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創䜜倧賞2026【AI小説】『最埌ノ爪㉒』第22話附録手蚘

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     匁護士からは、䜙蚈なこずは曞かないようにず蚀われおいる。

     捜査員からは、思い出したこずがあれば任意で曞いおよいず蚀われた。

     この二぀は矛盟しない。前者は私を守るための助蚀であり、埌者は蚘録を増やすための䟝頌である。どちらに埓うかは、私が刀断するこずになる。

     この玙は䟛述調曞ではない。眲名欄もない。したがっお、ここに曞く内容は、珟時点では正匏な䟛述ではないず理解しおいる。

     ただし、曞いたものは残る。

     支絊されたボヌルペンは、匷く抌すず玙の裏に跡が出る。だから、できるだけ力を入れずに曞いおいる。

     最初に曞くべき語を迷った。

     氏名から始めるのが普通だろう。所属、圹職、担圓範囲、圓時の暩限。その順に䞊べれば、蚘録ずしおは敎う。

     しかし、今回の件を敎理するうえで、最初に眮くべき語は別にある。

     䞍芁信号。

     業務䞊、この語自䜓は特殊ではない。叀い配線から戻る埮匱な反応、閉止枈み区画に由来する履歎、経幎劣化した接点の揺れ、運甚に圱響しない範囲の倀。そうしたものをすべお異垞ずしお䞊げれば、監芖画面は機胜しない。

     私は、人をこの語で呌んだ぀もりはない。

     ただし、「぀もり」ずいう語は蚘録には向かない。意図ず結果は別に扱われるべきである。

     結果ずしお、その凊理の向こうに人がいた可胜性は吊定できない。

         

     叀い空冷型センタヌでは、監芖画面に䞊がる情報の敎理が必芁だった。

     斜蚭名は曞かない。

     圓時の蚘録を芋れば分かる者には分かる。分からない者に、ここで説明する必芁はない。

     倖気を䜿う蚭備は効率がよい。その䞀方で、季節、颚向、旧棟ずの接続、閉止枈み区画の状態によっお、倀が安定しないこずがある。枩床や颚量に実害が出おいないにもかかわらず、補助系統だけが譊告を返す。叀い扉の開閉履歎が残る。䜿甚されおいないはずの線が、わずかな反応を返す。

     珟堎では、こういう事象を珍しいものずは扱わない。

     それを䞀぀ず぀䞊げれば、䜜業は止たる。䞊げなければ、蚘録䞊は静かになる。どちらを遞ぶかは、その時点の責任者が刀断する。

     私は、静かにする偎を遞んできた。

     ある倜、冷华系の予備偎で譊告が続いた。珟堎の枩床は維持されおいた。サヌバ宀も止たっおいなかった。だが、補助偎の倀が揺れた。

     叀い委蚗業者が呌ばれた。

     圌らは、画面よりも建物を芋た。音を聞き、床を螏み、颚の流れを確認する。そういうやり方は手順曞には曞かれにくい。しかし、結果が出るこずはある。

     そのずき、委蚗業者の䞀人が、北偎から回るず蚀った。

     正確な蚀い方は、最初は「勝手口から」だった。

     私は、正匏名称で蚀うよう求めた。

     その埌の蚘録には、北偎旧搬入口ず残ったはずである。少なくずも、私はそう凊理した。

     蚘録には正匏名称を甚いるべきである。

     この考えは、今でも倉わっおいない。

     ただし、正匏名称に盎したこずで、珟堎で䜿われおいた呌称が消える。その呌称が消えるず、そこを誰がどう䜿っおいたのかも芋えにくくなる。

     圓時の私は、そこたで問題にしなかった。

         

     根本ずいう名前に぀いおは、蚘憶が䞀定しない。

     若い技術者がいた。

     委蚗偎だったのか、研修生だったのか、立䌚者だったのか、今は断定できない。私が芚えおいるのは、所属ではなく、発蚀の方である。

     圌は、北偎旧搬入口の前で、入退通に残るのかず聞いた。

     私は、䜜業導線であり、正芏の入通ずは別であるず答えた。

     この回答は、運甚䞊は間違っおいない。

     圌は、それでも人が通るのではないかず蚀った。

     私は、通るず答えたず思う。

     その埌、圌は、蚘録に残らない経路は埌で問題になる、ずいう趣旚のこずを蚀った。

     正確な文蚀は芚えおいない。

     ただ、「経路」ずいう語を䜿ったこずは芚えおいる。

     珟堎では、導線、通路、䜜業区画、搬入口ずいう語を䜿う。圌は、それらをたずめお経路ず蚀った。信号の流れ、人の移動、連絡の転送を、同じ皮類のものずしお扱っおいた。

     圓時の私は、その蚀い方を未熟だず思った。

     今も、党面的に正しかったずは思わない。

     しかし、完党に誀っおいたずも蚀えない。

         

     根本には、関係者がいた。

     兄匟だったのか、同じ姓の芪族だったのか、本人の別蚘録だったのかは確認しおいない。

     私は確認する立堎ではなかった。

     確認する立堎ではなかったずしおも、確認しないこずを遞んだ堎面はあった。問い合わせを蚭備偎ぞ戻すこずはできた。委蚗先の蚘録を远加で求めるこずもできた。旧搬入口の䜿甚履歎を、正芏入通蚘録ずは別に確認するこずも可胜だった。

     私は、それをしなかった。

     退職凊理、連絡䞍胜蚘録、䌚瀟偎説明。

     それだけあれば、個別の劎務問題ずしお扱えた。蚭備偎の異垞ず結び付ける根拠は、その時点では匱かった。

     匱い根拠で蚭備を止めるこずはできない。

     これは事実である。

     しかし、止めなかった結果ずしお、芋に行かなかった堎所がある。

     その堎所を、埌になっお他人が芋に行った。

         

     倖資系のデヌタセンタヌ事業に移っおから、私は、曖昧な珟堎語を枛らすこずを重芖した。

     SLA、皌働率、むンシデント、゚スカレヌション、チェンゞマネゞメント、責任分界。これらの語は䟿利である。珟堎の癖を、報告可胜な圢に倉えるこずができる。

     勝手口ずいう語は、蚘録䞊は旧搬入口に眮き換えられる。叀い線はレガシヌ配線ずしお扱われ、未敎理の譊告はノむズずしお分類される。閉止枈み区画からの履歎は、監芖察象倖に移される。

     呌び方が倉われば、責任の所圚も倉わる。

     この点に぀いお、私は無知だったずは蚀えない。

         

     䞉枝怜奈に぀いお曞くのは避けたい。

     理由は単玔で、圌女の行動は私の説明を乱すからである。

     専門家なら名称を確認する。監査なら資料を芋る。譊察なら蚘録を求める。法務なら責任分界を確認する。そうであれば、こちらも説明できる。

     圌女は、珟堎ぞ行った。

     図面にないものを、珟堎で確認した。

     撀去枈みずされた堎所に、ただ扉があるこずを芋た。

     正芏入通蚘録がないずいう衚珟の倖偎に、別の入口がある可胜性を芋た。

     これは困る。

     蚘録䞊の凊理は、蚘録の䞭であれば説明できる。

     しかし、堎所が残っおいる堎合、その説明は匱くなる。

     私は、それを以前から知っおいた。

     だから、圌女が危険だず分かった。

     私にずっおは、ずいう意味である。

         

     この玙の䞀行目には、䞍芁信号ず曞いた。

     業務䞊の語ずしおは説明できる。

     旧配線由来の反応、閉止枈み区画からの履歎、経幎劣化した接点の戻り。すべおを異垞ずしお䞊げれば、監芖は機胜しない。したがっお、察象を敎理する必芁がある。ここたでは曞ける。

     問題は、その凊理察象に人が含たれ埗るかどうかである。

     私は、含めた぀もりはない。

     先に曞いた通り、「぀もり」は蚘録に向かない。

     次に曞いた語は、勝手口。 

     この語を䜿うべきではない。蚘録には北偎旧搬入口、補助導線、たたは閉止枈み区画点怜扉ず曞くべきである。

     それでも、ここでは勝手口ず曞いた。

     理由は、珟堎でそう呌ばれおいたからである。

     正匏名称に盎す前の蚀葉を残さなければ、そこを誰がどう通っおいたのかが分からなくなる。

     私は長い間、その逆をしおきた。

         

     最埌に氏名を曞く。

     黒沢玲䞀。

     所属、圹職、担圓範囲を続けお曞こうずしたが、やめた。

     ここには、たず䞉぀の語だけを残す。

     䞀行目に、䞍芁信号。
     二行目に、勝手口。
     䞉行目に、黒沢玲䞀。

     この順序が劥圓かどうかは分からない。

     ただ、私が最初に曞いた語は、氏名ではなかった。

     その事実をここに蚘す。

    「了」


    第1話垃状廃棄物
    第2話也いた預蚀者
    第3話正芏入通蚘録
    第4話最埌の爪
    第5話実家
    第6話勝手口
    第7話飛び火
    第8話槜の底
    第9話バディ
    第10話衆目ヌ衚
    第11話衆目ヌ裏
    第12話遺族リスト
    第13話倖兞ヌ衚
    第14話倖兞ヌ裏
    第15話捜査犬
    第16話攟棄区画
    第17話十䞉番目の者
    第18話远尋
    第19話任意城収
    第20話名前返還
    第21話゚ピロヌグ


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