
吾輩は地理学徒なり0|地形而上文学的実験
◇ 帯文
リケジョも、ちゃんと恋してる。
恋するリケジョによる、恋を巡る壮大な文学的実験。
恋と地形と理系知がごちゃごちゃに交錯し、
語り手の“観測”そのものが揺らぎはじめる──
そんなちょっと変わった長編連作の文学的実験、はじめます。
◇ 登山する方に(MSDS)
遭難や道迷いの防止のため、以下の点に留意して入山してください。
本作は連作形式で構成されています。
語り手の視点は一定ではなく、揺らぎが生じる場面があります。
叙述上の仕掛けを含みます。
理系知識は物語上の雰囲気として扱われ、専門的理解を前提としません。
綺羅星のようなネタ(他作品のオマージュ)が随所に散りばめられています。
文体は語り手の性質に依存し、一定のテンションを保ちます。
一部の章題は、敬愛する太宰治氏、森見登美彦氏の作品の表題に着想を得ています。
◇ 登場する面々
K:♂ドーベルマン/植物分類に心を置く徒
M:♀ゴールデンレトリバー/生物工学を操る才女
S:♀茶系ポメラニアン/栄養学に挺身する乙女
W:♂千葉犬的な一匹狼/地形に迷い込んだ文士
◇ 前口上
吾輩は地理学徒である。されど、漱石に非ず。
伊能の末裔にして、太宰と森見の系譜に連なる偏屈なる文士である。
世の理は地形に宿れり。それを僅かな凹凸に至るまで記録する徒なり。
よいか。
記録者とは、事象を寸毫の乱れもなく記す使命を負ふ者なり。
ゆえに、鋼の意志としなやかなる美を以て、事物のありようを注視すべし。
恋愛?そんなものは糞食らえだ。
我は孤高の文士。揮発性のノイズなど、観測するに及ばず。
斯くの如き浮ついた心で、地形は推し量れぬ。
地理とは、物質の凹凸にして、心の凹凸の影絵。
これは青春・地形・理系知が交錯する、
地形を超克し、形而上へと至る、地形而上の文学的実験である。
その覚悟あらば、「吾輩は地理学徒なり」──いざ参らん。
↑語り手めんどくせー、とでも思ってもらえば。
(なお、口調がおかしくなったら、読み飛ばしても理解には影響しない)
◇ あらすじ
ちょっと偏屈な地理学徒・Wは、卒業を控え、K、M、Sという三名の理系学生とともに北アルプスは白馬岳へ向かう。
大雪渓、稜線のお花畑、暴風雨、避難小屋、おやつ戦争、専門知識の暴走。
アルプスの雄大な凹凸の中で、青春の熱はいや増しに高まりゆく。
リケジョも、ちゃんと恋してる。
ならば、その恋する地形を記録すべく筆を執らねばならぬ。
地形観測に青春を捧げるWの観測体系は正確無比にして重厚長大。曖昧な情動など許容せぬ。だが、等高線のどこかが次第に震えはじめておる。
これは、恋と地形と理系知が交錯し、形而上へと至る、地形而上の文学的実験。
──その観測記録が、ここにはじまる。
そう、観測記録である。努々忘れるでないぞ。
◇ 目次
吾輩は地理学徒なり0|地形而上文学的実験
吾輩は地理学徒なり1|夜行
吾輩は地理学徒なり2|熱帯
吾輩は地理学徒なり3|わずか1/2畳の眠れぬ王子
吾輩は地理学徒なり4|夜は長いし語るは乙女
吾輩は地理学徒なり5|奔れカオス
吾輩は地理学徒なり6|太陽と乙女
吾輩は地理学徒なり7|約7平米ノ恋ノ結末
吾輩は地理学徒なり8|或る元・地理学徒の凱旋
吾輩は地理学徒なり9|命名の作法
吾輩は地理学徒なり9.5|存在規範
吾輩は地理学徒なり10|とある観測者の独白
吾輩は地理学徒なり11|作文の技術
吾輩は地理学徒なり12|補遺
吾輩は地理学徒なり10.01|外伝0
吾輩は地理学徒なり10.05|外伝1
吾輩は地理学徒なり10.50|外伝2
吾輩は地理学徒なり10.55|外伝3
吾輩は地理学徒なり10.80|外伝4
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