
吾輩は地理学徒なり11|作文の技術
射程に入った獲物は、一撃で仕留める──それが黒猫。それがわたしの誇り。
ある日曜の昼下がり。リビングには、婚約者Wが淹れたキリマンジャロの豊かな香りが漂っていた。赤い大地と広大な草原を想わせる香気が、鼻腔を満たす。
観測結果を作文するのが、科学者たるものの矜持である。わたしはLEDの硬質な光の下で、自著の題名の傍らに署名し、目を細めた。そして、とても満ちたりた気持ちで、山をシンボルにしたお気に入りの万年筆を、そっと置いた。
さて、お茶請けにあのお菓子を用意しよう。
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改題:『わたしは観測者で猫である』
企画・著:M
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窓際の黒猫がゆっくりと伸びをして、にゃー、とひとつ置いた。
あとがき
主人公=観測者=黒幕=作者=Mにして、全ては作者の掌中にあり。登壇者は、限りなく巧妙なる掌上のトリックスターに過ぎぬといふ。
然れども、留意せよ。この終章すらも、作者が紡ぎし虚構の鏡面に過ぎぬやもしれぬ。
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