
【中学受験】「ぬぐえぬ不安」 石田家の10日間 episode:7
2月2日(木)(中学受験 2日目)

その朝
「あら、翔ちゃん。もう起きたの? 早いじゃない。」
「うん、昨日は早く寝たからね。目が覚めちゃった。」
「まだ六時過ぎよ。あと30分くらい寝てきたら?」
「もう眠れないような感じだよ。」
「えーっ、じゃあ急いで朝食の用意をするわね。」
奥さんが支度にかかると、石田さんも起きてきました。
「翔平、眠くないのかい?」
翔平は生あくびをしながら、答えます。
「うん、まぁ・・・www」
「朝ごはん、できたわよ。」
翔平と奥さん、石田さんが食卓に着きました。
「翔平、今日のK学院は昨日よりは楽だと思うけど、
油断したらいけないよ。
落ち着いてやれば、大丈夫だから。」
「うーん、昨日のS中学もなんとかできたような気がするけどね。
今日のK学院は、S中学よりも優しいから。
たぶん大丈夫だと思う。」
翔平は少し自信ありげに答えます。
石田さんの食事が止まりました。
(昨日の試験はミスってる・・・)
(今言えば、今日の試験に響きそうだし・・・)
(言わなければ、また同じようなミスをしそうだし・・・)
(まだ結果が出ていない。ひょっとして、があるかもしれないし・・・)
これから試験に臨む翔平を見ながら、
石田さんは、黙って食事を続けました。
奥さんが、朝食もそこそこに済ませながら言います。
「今日は試験と発表が重なってて、翔ちゃんも大変なのよ。
午前中はK学院の試験を受けて、
午後に昨日のS中学の合格発表があるのよね。
K学院も、今日の夜7時にあるわよ。」
奥さんが続けます。
「私もつきっきりなの。気が休まらないのよね。
あなた、S中学の発表は翔ちゃんと見に行ってきますけど、
K学院の発表は会社の帰りにいっしょに見に行ける?」
「うん、行けるけど。――インターネットで確認できるんだよね。」
「えぇ・・・ でも翔ちゃんが自分の目で合格を確認したいと言ってるの。」
(昨日の算数の結果では、S中学は 厳しいんじゃないのかな・・・)
石田さんは、心の中でそうつぶやいたものの、ぐっと飲みこみました。
「翔ちゃん、そろそろ行きましょうか。」
奥さんに急かされて、翔平くんが支度をはじめました。
石田さんは、二人を見送りながら、
(ケアレスミスをするなよ・・・)
と祈っていました。
玄関には、翔平のサッカーボールが
転がったまま残っていました。
(episode:8「いよいよ合格発表」に続きます)
◆記事一覧◆
episode:1「合格したよ、と言いたかった夜」
episode:2「あの塾でよかったのか」
episode:3「塾を間違ったのか?」
episode:4「明日が来るのが、少し怖い夜」
episode:5「できたといった初日、残る違和感」
episode:6「できてるというけど、どこか違う」
episode:7「ぬぐえぬ不安」
episode:8「いよいよ合格発表」
episode:9「帰り道で…」
episode:10「2月3日(今日こそは)」
episode:11「2月4日(休息日のはずが)」
episode:12「2月5日(終わったと思った日)」
episode:13「2月6日(最後に、自分で決めた一日)」
episode:14「2月7日(学校には行きたくない日)」
episode:15「2月8日(こんな日が来るなんて!)
episode:16「入学式ーーー次の春へ」