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数式ミステリー㉒『無限を愛した先生』

    「今日は数学のノーベル賞と言われるフィールズ賞を受賞した鳥居先生を、ここ新宿東御苑にお迎えして、これからの日本の教育について語っていただきます。まずは鳥居先生、先日喜寿を迎えられました。おめでとうございます」

    「見ろ!」

    先生は立ち上がり、目の前のS字型の遊歩道に向って突然走りだした。そして一本の木の枝を拾い、その遊歩道に沿わせて端に置いた。

    「これが接線じゃ。平均変化率の極限を取ればその傾きが得られる。そして…」

    ブスリ!

    先生はS字歩道の真ん中あたりに先ほどの枝を突き立てた。

    「ここが変曲点じゃ。ここでS字カーブの凹凸が入れ替わる。二階微分=0を解けば、おお!」

    先生はその枝を空に向けた。同時にカメラも空に向けた。

    飛行機がゆっくりと左に旋回していた。

    そしてほんの少しだけ右に機首を向けると今度は右に旋回し、美しいS字の飛行機雲だけを残しどこまでも飛び去って行った。



    (コメント)
    400字短文小説の投稿サイト『ショートショートガーデン』に投稿した理数系ショートショートです。数式を書ける仕様ではなかったため、400字の制限を超えて加筆修正し、美しい数式の描けるこちらに再投稿します。

    400字という制限も魅力です。タイトな原型(400字バージョン)や、一般のショートショートは、以下の『ショートショートガーデン』で読むことができます。⇩

    理数系ショートショート


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