
数式ミステリー⑯『氷雪ビックバン』
「ぼく?」天文館館長は少年に声をかけた。
「毎日来てるけど星が好きなんだね」
少年はうなずく。けど少年の顔はどことなく暗い。
「どうしたの?」館長が尋ねると少年は勢いよく話し出した。
「英語とか水泳とかママがうるさいんだ。僕は星が好きなのに」
館長は少年と目を合わせた。そして向こうのロケットを指さした。
「あれに乗って宇宙の始まりを見に行こう!」
二人はロケットに飛び乗り宇宙へ飛び出した。
真っ暗闇。少年は寒さで震える。その時
ドーーーン
雪のような粒をまき散らし、一点だった光は急激に膨らんだ。やがて銀河が現れ、太陽が現れ、青い地球が現れた。
「さあ、ここからがお楽しみ。未来の宇宙も見に行くよ」
ぐすん…
少年は顔を下に向け涙ぐんだ。
「帰りたいの?」「うん」少年はうなずいた。
「よし、お家に帰ろう。みんな待ってる」
少年はぱっと顔を上げた。
ロケットは向きを変え、地球へと向かった。
(コメント)
400字短文小説の投稿サイト『ショートショートガーデン』に投稿した理数系ショートショートです。数式を書ける仕様ではなかったため、400字の制限を超えて加筆修正し、美しい数式の描けるこちらに再投稿します。
400字という制限も魅力です。タイトな原型(400字バージョン)や、一般のショートショートは、以下の『ショートショートガーデン』で読むことができます。⇩