
数式ミステリー⑮『裏の顔は寿司屋』
「今日はこれで、やってくれんかね」老人はアタッシュケースを開いた。「大間のマグロじゃ。今日はこれでお願いしたい」
「分かりました」と調理白衣の男はマグロのブロックをまな板にのせた。そして刺身包丁を血合い部分に当てたその時
すみませーん
「来客だ、静かに」
男は白衣を黒スーツに着替え、サングラスをかけ、明かりをつけて入口へ向った。
「へいいらっしゃい!何にしましょ!」
「すみません、課長2人と部長1人。写真はこれです」
「3人ですね。1人3万円なので、計9万円になります!」
「明日中にお願いできますか」
「わかりました!毎度おおきに!」
危なかった、まだ下げていなかったか……
男は『殺し屋処 いつでもやります』と書かれた暖簾を下げ、鍵を締めて明かりを消した。そして再び調理服に着替え、老人のいる隠しカウンターへと戻って、大トロ一貫を音の立てぬよう静かに握り始めた。
お品書き
数学でいうシンメトリーは、単に「左右対称できれい」という話を超えて、かなり根本的な性質をもっています。数学的には、シンメトリーとは「ある変換をしても変わらない性質や構造」のことです。
今回の場合、寿司屋と殺し屋は(以下略)
(コメント)
400字短文小説の投稿サイト『ショートショートガーデン』に投稿した理数系ショートショートです。数式を書ける仕様ではなかったため、400字の制限を超えて加筆修正し、美しい数式の描けるこちらに再投稿します。
400字という制限も魅力です。タイトな原型(400字バージョン)や、一般のショートショートは、以下の『ショートショートガーデン』で読むことができます。⇩