
数式ミステリー⑩『数学者の願い事』
昔々、秘かに営む数学の研究所がありました。
「。ついに完成したね。自然な数、自然数だ」
「でも所長、 は計算できますが、 は計算できません」
「それなら を加えよう」
「 もできません」
「では負の数を加えよう。 これらを整数としよう」
「 もできません」
「 とし、有理数だ」
「辺が1の正方形の対角線は?」
「 とし、無理数だ。今までの数を全部まとめて実数としよう」
「でも…」
「まだあるのかい?」
「2回掛けてマイナスになる数は?」
「そうか。では という数を創ってしまおう。。虚数だ」
「所長、今更ですが、こんなことやって何の役に立つのですか?」
「それはね、確かに今は役立たないが、いつかは必ず役に立つ。それが我々の切なる願いなのだよ」
「わかりました、所長」
ようやく現代、数学者の願いは叶えられました。
(コメント)
400字短文小説の投稿サイト『ショートショートガーデン』に投稿した理数系ショートショートです。数式を書ける仕様ではなかったため、400字の制限を超えて加筆修正し、美しい数式の描けるこちらに再投稿します。
400字という制限も魅力です。タイトな原型(400字バージョン)や、一般のショートショートは、以下の『ショートショートガーデン』で読むことができます。⇩