
数式ミステリー➇『有理数 vs. 無理数』
「オイ無理数!お前いつも俺にまとわりついて鬱陶しいな!」
「なんだと有理数!お前こそベタベタくっつきやがって!」
「無理数なんて、ピタゴラスに数として認められなかったじゃないか!」
「なんだと有理数! とか とか、数学的には無理数の方が意味があるんだ!」
「なーに騒いでいるのだ、お前ら!」
「おおおー、じっ、実数様!」
実数は二人をかき回し、ひとつの塊にした。そして棒で平らにして白い粉を均等にまぶす。それをきれいに折り畳んだかと思うと、素早く持ち上げ上空で左右に引き伸ばした。そして調理台にパンと叩きつけ、ふたつに折ってぐるりとよじり、小麦粉をまぶして再び上空で引き伸ばす。手打ち職人はそれを何度も繰り返す。見事な手際。折っては伸ばし、折っては伸ばし、どんどん細く、どんどん長く……
そうして「数直線」というものができたのだと、ユークリッド原論第14卷に書いてある(BC3世紀)。
(コメント)
400字短文小説の投稿サイト『ショートショートガーデン』に投稿した理数系ショートショートです。数式を書ける仕様ではなかったため、400字の制限を超えて加筆修正し、美しい数式の描けるこちらに再投稿します。
400字という制限も魅力です。タイトな原型(400字バージョン)や、一般のショートショートは、以下の『ショートショートガーデン』で読むことができます。⇩