
数式ミステリー⑭『みんな運動量』
「運動量という物理量があります。それは運動の”いきおい”を表し、質量 、速度 として と定義されます」
定年間近の物理の先生。派手さはないが、落ち着いた説明にはいつも無駄がない。
その時、一匹の蠅が教室を飛び回っていた。
「あれも運動量ですね。質量と速度を持っています」
その時、ボールを蹴る音の後、ガシャーンと窓の割れる音が。
「あれも運動量ですね。同時に運動エネルギーももっているので、ガラスの破壊も可能です」
その時、巨大な隕石が近くに落ち、衝撃で教室が破壊され黒煙が吹き荒れた。
「あれも運動量ですね。運動エネルギーも大きいので、衝撃はさらに巨大なものとなります」
その時、遠くの海に怪獣が現れ、ビルを蹴り倒し、瓦礫を投げ、口から炎を吹きながらこちらに向かってきた。
「あれも運動量ですね。運動エネルギーも熱エネルギーも巨大なので、全てを破壊し、焼き尽くします」
(コメント)
400字短文小説の投稿サイト『ショートショートガーデン』に投稿した理数系ショートショートです。数式を書ける仕様ではなかったため、400字の制限を超えて加筆修正し、美しい数式の描けるこちらに再投稿します。
400字という制限も魅力です。タイトな原型(400字バージョン)や、一般のショートショートは、以下の『ショートショートガーデン』で読むことができます。⇩