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「選べない期間」に育ち、「選べる瞬間」に別を選ぶ。福山の若者と外国人労働者に共通する構造【シリーズ最終回/全5回】

    「選べない期間」に育ち、「選べる瞬間」に別を選ぶ。福山の若者と外国人労働者に共通する構造

    「最近の若者は、すぐ地元を離れる」
    「外国人労働者も、結局は都会に行ってしまう」

    地方の経営者や地域の方々と話していると、こうした言葉を聞くことがあります。

    でも私は、そのたびに少し違和感を覚えてきました。

    なぜなら、データを丁寧に見ていくと、若者も、外国人労働者の方たちも、決して気まぐれに動いているわけではないことが見えてくるからです。

    そこにあるのは、

    「選べない期間」を経て、
    「選べる瞬間」に別の場所を選ぶ

    という構造です。

    これは、このシリーズを通して、私がずっと考え続けてきたテーマです。

    第1回から第4回まで、福山と広島県のデータを見てきました。

    最終回となる今回は、それらを統合しながら、
    「次の世代に選ばれる福山」
    について考えていきたいと思います。


    4回のシリーズで、見えてきたこと

    まず、これまでの4回で、データから見えてきたことを簡潔に整理します。


    第1回:福山の若者は、約7割が卒業と同時に地元を離れる

    福山の高校生の自市進学率は26.6%。

    約7割が、卒業と同時に福山を離れます。

    進学先は、岡山県、関西、広島市、首都圏などに分散しています。

    一方で、福山市内の大学に進学する学生のうち、64%は市外出身者です。

    つまり福山には、若者が出ていく流れがある一方で、
    学生を集める力も、確かにあります。


    第2回:20代女性の転出が止まらない

    広島県は、4年連続で人口流出が全国ワースト1位。

    中でも、20代から30代女性の流出は、女性全体の63.5%を占めています。

    その背景には、専門性を活かせる仕事の少なさ、働き方の柔軟性の不足、組織文化の問題、通勤手段の問題など、複数の構造的課題があります。

    女性が地元を離れるのは、単に「地元が嫌い」だからではありません。

    自分の人生を考えたときに、より選びやすい場所を選んでいる。

    そう見る必要があると感じています。


    第3回:30代女性が、福山に戻ってこない

    広島県の調査では、Uターンを諦める割合は、ライフステージが進むほど高くなります。

    結婚時には25.5%。
    マイホーム購入時には58.2%。

    つまり、人生の選択が進むほど、地元に戻る可能性は急速に下がっていきます。

    さらに、広島県から岡山県への転出超過は、男性0人に対し、女性のみ▲112人でした。

    これは、とても象徴的な数字です。

    女性たちは、なんとなく動いているのではありません。

    働き方、暮らしやすさ、子育て、交通、職場文化、将来の見通しを含めて、冷静に「選びたい場所」を選んでいるのだと思います。

    そしてもう一つ、重要なデータがあります。

    福山市の人口減少の主因は、社会減ではなく自然減です。

    令和6年の福山市は、

    社会動態:▲407人
    自然動態:▲2,846人
    総人口減少:▲3,253人

    でした。

    社会減も重要です。
    でも、自然減の重さはそれ以上に深刻です。

    若者が出ていくことは、将来の出生数や地域の担い手にも影響します。

    だから、若者流出と自然減は、別々の問題ではなく、つながっている問題として見ていく必要があります。


    第4回:大学があれば、地域は元気になるのか

    福山市内の大学には、市外から64%の学生が集まっています。

    つまり福山には、学生を集める力があります。

    それでも、福山市は社会減になっています。

    一方で、東広島市は人口増になっています。

    ただし、それは単に「大学があるから」ではありません。

    東広島市も自然減です。
    それでも人口が増えているのは、社会増が自然減を上回っているからです。

    大学を軸に、働く入口、住む入口、外国人住民、研究機関、住宅地、生活圏など、複数の入口が重なっている。

    そこに、東広島市の強さがあります。

    だから福山に必要なのは、
    新しい箱ではなく、入口の設計
    だと感じています。

    すでにある大学、企業、高校、地域活動、外国人材、若者との接点を、どうつなぎ直すか。

    そこが問われています。


    ここから、本題に入ります

    ここまでは、データから見えてきたことの整理でした。

    ここからは、シリーズ最終回として、私が一番伝えたいことを書きたいと思います。

    それは、福山の若者と、福山に来ている外国人労働者が、実は驚くほど似た構造の中にいるということです。


    「選んで来た」のではなく、「配属された」という現実

    福山市には、約8,000人の外国人住民がいます。

    そのうち最も多いのが、ベトナム籍の方たちです。
    福山市では、ベトナム籍が2,697人となっています。

    これは、技能実習や特定技能で来ている方が多いこととも関係しています。

    ハローワーク福山管内では、外国人労働者のうち技能実習生が56.6%。
    産業別では、製造業が55.9%を占めています。

    また、広島県全体の外国人労働者のうち、技能実習と特定技能の割合は54.2%。
    全国平均の29.6%を大きく上回っています。

    ここで、知っておきたいことがあります。

    技能実習制度では、勤務先を自分で自由に選ぶことはできません。
    転籍も原則として制限されています。

    つまり、多くの方は「広島を選んだ」のではなく、
    広島に配属された形で、3年から5年を過ごしています。

    その期間に、技術を身につける。
    日本語を覚える。
    地域の暮らしにも少しずつ慣れていく。

    そして、実習を修了して特定技能に移行すると、同じ業種内であれば、勤務先を自分で選べるようになります。

    その瞬間、広島で技術も日本語も身につけた人が、より賃金の高い都市部に移っていく。

    地方の製造業からは、
    「育てた人材が都市部に流れてしまう」
    という声も聞かれます。

    でもこれは、福山にとって、決して他人事ではありません。


    福山の若者と、同じ構造

    この流れを、福山の若者と並べてみると、構造がとてもよく似ています。

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    技能実習生の流れ

    広島に配属される。
    自分では選んでいない。

    ↓

    3年から5年、技術と日本語を身につける。

    ↓

    特定技能に移行して、自分で選べるようになる。

    ↓

    より条件のよい都市部へ移る。


    福山の若者の流れ

    福山で生まれ育つ。
    自分では選んでいない。

    ↓

    18年間、教育を受けて成長する。

    ↓

    進学・就職で、自分で行き先を選べるようになる。

    ↓

    県外の大学や企業を選ぶ。


    並べてみると、驚くほど似ています。

    共通しているのは、

    「選べない期間」にその場所で育ち、
    「選べるようになった瞬間」に別の場所を選ぶ

    という流れです。

    若者が地元を離れるのも、外国人労働者が都市部へ移るのも、単なる気まぐれではありません。

    選択肢が広がったときに、自分にとってよりよい場所を選んでいる。

    それは、とても自然な人の動きなのだと思います。


    データが示す、3つの波

    実際に、広島県の転出超過のうち、10代から30代が8割以上を占めています。

    広島県の県外転出超過を見ると、若年層への集中がはっきりしています。

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    15〜19歳:▲486人
    20〜24歳:▲4,087人
    25〜29歳:▲1,315人
    30〜34歳:▲273人
    35〜39歳:▲338人

    10代から30代の合計は、▲6,499人。
    総転出超過▲7,427人のうち、87.5%を占めています。

    そして、広島県の調査では、転出超過には3つの波があると整理されています。

    1つ目は、大学進学期。
    2つ目は、新卒就職期。
    3つ目は、20代後半から40代のUIターン期。

    これらはすべて、
    選べるようになった瞬間
    に起きている波です。

    つまり、人が動いているのは、

    若者が気まぐれだからではありません。
    外国人労働者に地域への思いがないからでもありません。

    選択肢が広がったときに、自分にとってよりよい場所を選ぶ。

    ただ、それだけなのだと思います。


    なぜ、別の場所を選ぶのか

    では、なぜ「選べる瞬間」に、福山ではなく別の場所が選ばれてしまうのでしょうか。

    シリーズを通して見えてきた理由は、いくつかあります。


    1. 専門性を活かせる仕事の選択肢が、相対的に少ない

    福山の産業構造は、製造業が強いことが特徴です。

    製造業の特化係数は1.6と、全国平均より高くなっています。

    一方で、情報通信業の特化係数は0.4。
    全国平均の半分以下です。

    学んだ専門性を活かしたい若者にとって、福山は「働きたい仕事」の選択肢が、相対的に少なく見える可能性があります。

    製造業が悪いという話ではありません。

    むしろ、福山の大切な産業基盤です。

    ただ、若者の専門性や関心が多様化する中で、仕事の見え方、伝え方、接点のつくり方を変えていく必要があるのだと思います。


    2. 働き方の柔軟性が、十分に広がっていない

    子どもの発熱で早退できるか。
    半休が取りやすいか。
    育休復帰後も時短勤務で働けるか。
    家庭の事情を抱えながら、キャリアを続けられるか。

    これらは、リモートワークの有無とは別の次元の話です。

    地方では、対面で働く仕事もたくさんあります。

    だからこそ、対面で働ける魅力的な仕事と、休みやすさ、早退しやすさ、相談しやすさが両立しているかどうかが、とても大切になります。

    これからの地方の競争力は、
    仕事の内容と働き方の柔軟性の組み合わせで決まっていくのではないでしょうか。


    3. 通勤手段の前提が、合っていない

    20歳のマイカー所有率は12.9%。

    都会で学生時代や20代を過ごした人にとって、徒歩、自転車、バス、電車で通えることが、通勤の前提になっている場合があります。

    その感覚で福山に戻ろうとしたとき、
    「車がないと働けない」
    という条件が、大きな壁になることがあります。

    地方では車が必要。
    それは現実です。

    でも、若者の側から見ると、車を持つことは、購入費、維持費、保険料、駐車場代を含めた大きな負担です。

    「車がないと働けない場所」は、若者の選択肢から自然に外れてしまうことがあります。


    4. 組織文化・職場の人間関係への不安

    データには表れにくいけれど、とても大きいのが、職場文化や人間関係への不安です。

    ハラスメントが見過ごされる職場。
    声の大きい人が優先される組織。
    長くいる人の価値観が変わらないまま残り続ける空気。
    コンプライアンスがあっても、実際には機能していない構造。

    こうしたものは、若者や女性を静かに地域から押し出していきます。

    そしてこれは、外国人労働者の方たちにも同じように当てはまります。

    地域や企業が、働く人を「人」として大切にできているか。

    ここは、これからの地域にとって、避けて通れない問いだと思います。


    5. 「ここで生きたい」と思える文化の不足

    内閣府の調査では、地方出身で都会に住む女性が地元に戻る意向は22.2%でした。
    また、地方出身で都会に住む女性と、地方出身で地方に住む女性の間で差が大きかった項目の一つに、多様な生き方・価値観の尊重があります。
    この差は21.4ポイントでした。
    仕事や交通だけではありません。
    • 「ここでは、自分らしく生きられる」
    • 「違う価値観も受け止めてもらえる」
    • 「結婚しても、子育てしても、働き続けても、ひとりで生きても、否定されない」
    そう感じられる文化があるかどうか。
    それが、地域が選ばれるかどうかに大きく関わっているのだと思います。
    もう一つ、避けて通れない要因:稼げる仕事という土台
    ここまで、文化や働き方、つながりの話をしてきました。
    でも、このシリーズを書く中で、ある方から、とても本質的な指摘をいただきました。
    「結局のところ、若者が稼げる最先端の仕事がなければ、どれだけ環境を整えても人は残らない。経済の基本は、資本投資ではないか」
    これは、まさにその通りだと思います。
    第4回でも触れましたが、東広島市の人口増の背景には、米半導体大手マイクロンによる1兆5000億円規模の巨額投資があります。AI向けの次世代半導体を量産する計画で、国も数千億円規模で補助しています。
    つまり、東広島市には、「若者が稼げる、成長できる、最先端の仕事」という、確かな土台があるのです。
    どれだけ「入口」を設計しても、その先に魅力的で稼げる仕事がなければ、人は留まりません。文化やつながりは、とても大切です。でも、その土台に、経済的に成り立つ仕事がなければ、選ばれ続けることは難しい。これは、向き合うべき現実だと思います。
    では、福山はどうでしょうか。
    福山にも、鉄鋼、造船、機械など、資本集約型の基幹産業があります。これは、福山の大きな強みです。
    その上で、私はこれからの福山に必要なのは、2つの方向だと考えています。

    1. 今ある企業が、「選ばれる企業」になる

    福山には、すでに多くの優良企業があります。
    問題は、その企業が、若者にとって「稼げる・専門性を活かせる・成長できる」と見えているか。そして、次世代の付加価値を生む新しい投資(DX、GX、新事業展開)が、福山の産業に入ってきているか、ということだと思います。
    第2回・第3回でお伝えした、働き方の柔軟性、組織文化、キャリアの見通し。これらを変えていくことで、今ある企業が「選ばれる企業」へと変わっていくことができるはずです。
    2. 「選びたくなる企業」に、来てもらう
    そしてもう一つ。福山が「選びたくなる企業」を、外から呼び込むことも、同じくらい大切だと思います。
    福山市にも、企業誘致を進める取り組みや、産業団地の整備、スタートアップ支援の動きがあります。
    東広島市のマイクロンのような巨大投資を、すぐに福山へ呼べるわけではないかもしれません。でも、福山のものづくりと相性のいい新しい技術を持つ企業や、若者が「ここで働きたい」と思える成長分野のスタートアップに来てもらうことは、新しい「稼げる入口」をつくることにつながります。
    つまり、福山に必要なのは、
    今ある企業が「選ばれる企業」になること。
    そして、「選びたくなる企業」に来てもらうこと。
    この両方なのだと思います。
    文化やつながりという「ソフト」の話と、稼げる仕事・資本投資という「土台」の話。このどちらかではなく、両輪で考えていくこと。それが、シリーズ全体を通して、私がたどり着いた考えです。

    もっと深刻な構造:自然減

    そして、これらの「選ばれない構造」の奥に、もっと深刻な現実があります。
    福山市の人口減少の主因は、若者の流出だけではありません。
    令和6年の福山市の人口動態は、次の通りです。

    社会動態:▲407人
    自然動態:▲2,846人
    総人口減少:▲3,253人

    つまり、福山市の人口減少の主因は、社会減ではなく自然減です。

    出生数より、亡くなる方の数の方が大きく上回っている。

    この現実は、とても重いです。

    若者を引き止めるだけでは、人口減少は止まりません。

    必要なのは、

    若者が選んで残ること。
    選んで戻ること。
    選んで来ること。

    そして同時に、

    子どもを産み、育てたいと思える地域であること。

    その両方です。

    そして、その根本にあるのは、

    「ここで生きたい」と、人が感じる地域であるかどうか

    なのだと思います。


    「選ばれる地域」をつくるために

    では、どうすればよいのでしょうか。

    私は、いきなり大きなことを始める必要はないと思っています。

    必要なのは、地域にある不安や断絶を一つずつ見つめ、すでにある資源をつなぎ直すことです。

    ここでは、シリーズを通して見えてきた考え方を、5つに整理します。


    1. 「魅力発信」より「不安解消」が先

    地域の魅力を発信することは大切です。

    でも、若者や女性、子育て世代が抱えている不安に答えないまま、魅力だけを発信しても、選ばれる理由にはなりにくい。

    育児しながら働き続けられるか。
    キャリアを諦めなくて済むか。
    車がなくても働ける選択肢があるか。
    職場で安心して相談できるか。
    自分らしい生き方が否定されないか。

    こうした具体的な不安に答えることが、観光PRより先に必要なのだと思います。


    2. 「知る機会」をつくることが、選択肢を渡すこと

    私の活動の根っこにある言葉があります。

    知れば変われる。
    でも、知らなければ選べない。

    地元の企業を知る機会。
    地域で働く大人を知る機会。
    ロールモデルを知る機会。
    地域の動きを知る機会。
    自分にも関われる場所があると知る機会。

    これらを、地域の側から丁寧に届けていくこと。

    それは、若者に選択肢を渡すことでもあります。


    3. 「介入ウィンドウ」を逃さない

    結婚からマイホーム購入までの数年間。

    この期間は、地元に戻るかどうか、住む場所をどうするか、働き方をどうするかを考える大切な時期です。

    私はここを、
    介入ウィンドウ
    と捉えています。

    この窓が開いている時間に、地域として何を届けられるか。

    働く場所の情報。
    子育て環境の情報。
    地域で暮らす人の声。
    戻ってきた人のリアル。
    地元企業との接点。

    この時期を逃すと、住宅購入や子育て環境が固まり、戻る選択肢は急速に小さくなっていきます。


    4. 出ていった人と、つながり続ける

    「戻ってきてほしい」と願う前に、離れた人と関係を絶やさないこと。

    これがとても大切です。

    進学で離れた人。
    就職で離れた人。
    結婚で生活圏が変わった人。
    一度は戻りたいと思ったけれど、戻れなかった人。

    その人たちと、地域はつながり続けているでしょうか。

    接点をつくり続けることをやめた瞬間に、関係は切れていきます。

    戻るかどうかだけではなく、
    離れていても関われる入口をつくること。

    それが、これからの地域には必要だと思います。


    5. 「離れても、残っても、戻っても。」を支える地域に

    戻ることだけが正解ではありません。

    離れることも、残ることも、戻ることも、外から来ることも、それぞれの人生にとって大切な選択です。

    だからこそ、

    離れても、残っても、戻っても。

    そのどれもが、正しい選択であれる地域をつくりたい。

    私はそう考えています。


    第4回で見えた、もう一つの視点

    第4回では、東広島市との比較から、
    人が動く理由の設計
    という考え方を提示しました。

    東広島市が人口増になっているのは、大学があるからだけではありません。

    大学を軸に、働く入口、住む入口、外国人住民、住宅地、生活圏など、複数の入口が重なっているからです。

    福山に必要なのは、
    新しい箱ではなく、入口の設計。

    シリーズ全体で見えてきた論点を、入口という観点で整理すると、次のようになります。


    福山に必要な、6つの入口

    福山に必要な入口は、少なくとも6つあります。

    1つ目は、大学と地域企業をつなぐ入口です。
    市外出身の大学生が、福山の企業や大人と出会うための入口です。

    2つ目は、高校生と地域企業をつなぐ入口です。
    進学前に、福山で働く選択肢を知るための入口です。

    3つ目は、福山出身者と地元をつなぎ続ける入口です。
    結婚や住まいを考える時期に、福山を思い出せる関係性を残すための入口です。

    4つ目は、外国人材と地域コミュニティをつなぐ入口です。
    選べるようになった瞬間に、福山が選ばれるための入口です。

    5つ目は、女性・子育て世代と働く場をつなぐ入口です。
    戻りたい人が、戻れる地域にするための入口です。

    6つ目は、若者の挑戦と地域をつなぐ入口です。
    「ここで生きたい」と思える経験を増やすための入口です。

    これらは、すべて、いまここからできることです。

    大きな施設をつくることだけが、地域づくりではありません。

    むしろ、担い手も税収も限られていく時代に、ニーズが見えないまま箱をつくることは、次世代に負担を残すリスクがあります。

    必要なのは、すでにある人、場所、仕事、文化、学校、企業、地域活動をつなぎ直すこと。

    人が入ってくる理由。
    関わり続ける理由。
    戻ってきてもいいと思える理由。

    それらを丁寧に設計することだと思います。


    変わるべきは、若者ではなく、私たちの方

    このシリーズで、私が何度も書いてきた、最も大切なメッセージがあります。

    若者が出ていくのが、ダメなのではありません。
    若者は、選んでいるだけです。

    外国人労働者が都市部に移るのが、ダメなのでもありません。
    その人たちも、選んでいるだけです。

    問題は、

    選ばれていない、いまの街をつくっているのは誰なのか

    ということです。

    それは、若者だけの責任ではありません。
    外国人労働者の責任でもありません。

    受け入れる側の企業、地域、大人たち、そして私たち世代の側にも、変わるべきことがあるのだと思います。

    たとえば、能力があることを理由に、ハラスメントを見過ごしてしまうこと。

    組織の問題に気づいていても、波風を立てないために黙認してしまうこと。

    「私たちの時代はこうだった」と、過去の価値観を無意識に押しつけてしまうこと。

    「最近の若者は」と、若者側の問題にしてしまうこと。

    「外国人はいつか帰る」と、地域の一員として関わる機会をつくらないこと。

    こうした小さな積み重ねが、若者や女性、外国人材を、静かに地域から押し出しているのかもしれません。

    変わるべきは、若者だけではありません。

    むしろ、変わる必要があるのは、受け入れる側の私たちです。


    今までの当たり前は、これからの当たり前じゃなくていい

    私がずっと大切にしている言葉があります。

    今までの当たり前は、
    これからの当たり前じゃなくていい。

    これは、若者に向けた言葉であると同時に、私たち世代に向けた問いでもあります。

    車通勤が前提という当たり前。
    結婚したら女性が地元に来るという当たり前。
    会社に長くいる人が偉いという当たり前。
    能力があれば多少のことは見逃されるという当たり前。
    子どもの発熱で早退するのは申し訳ないという当たり前。
    嫁として地域に馴染むという当たり前。
    箱をつくれば人が集まるという当たり前。
    外国人は労働力だという当たり前。

    これらの当たり前を、一つずつ、丁寧に見直していくこと。

    それが、
    次の世代に選ばれる福山
    をつくる最初の一歩なのではないかと思っています。


    次の世代に選ばれる福山をつくる

    シリーズの最初に書いた言葉を、もう一度ここに置きたいと思います。

    離れても、残っても、戻っても。

    そのどれもが、正しい選択であれる地域を、一緒につくっていきたい。

    戻ってくることだけが正解ではありません。

    離れたまま、地元と関わり続けるのも正解。
    ずっと残って、地元を盛り上げるのも正解。
    外から来て、ここに住むのも正解。
    一度離れて、また別の形で関わるのも正解。

    それぞれの人が、それぞれの場所で、自分らしく生きられる。

    そしてその上で、福山という地域と、何らかの形でつながり続けられる。

    そんな地域を、私はつくりたいと思っています。

    そしてそれは、女性だけの話でも、若者だけの話でも、外国人だけの話でもありません。

    男性も、女性も、若者も、シニアも、外国人も。

    多様な人が、自分らしく選択できる地域こそが、これからの時代に選ばれる地域だと思います。


    そして、ただの問題提起では終わりません

    ここまで、5回のシリーズを通して、福山の構造を見つめてきました。

    データを示し、課題を整理し、考え方を提示してきました。

    でも、私たちはこの問いに対して、ただ問題提起で終わるのではなく、具体的な一歩を始めます。


    福山市に特化した学生✖️地域✖️企業プラットフォーム、スタート

    一般社団法人ミライゴトでは、現在学生✖️地域✖️企業プラットフォームの構築に向けて動いています。

    これは、学生・地域・企業をつなぐための新しい仕組みです。

    中高生や大学生が、地域でどんな活動に参加し、どんな人と出会い、何を経験してきたのか。

    その経験をデジタルで蓄積し、将来の進学や就職、地域との関わりにつなげていく。

    一度福山を離れても、経験が残る。
    地域との接点が残る。
    企業との出会いが残る。
    「あのとき福山で挑戦した」という記憶が、次の選択肢になる。

    そんな場所を、福山からつくっていきたいと考えています。学生と活動を始めてプラットフォームを構築したらいいというのはわかっていました。
    ただ学生のニーズ把握や関係性の構築がないまま作っても大人の自己満足だけで終わってしまっているプラットフォームを沢山みてきたので、まずは現場での学生との活動を優先してきました。

    ずっと温めてきたプロジェクトが2026年、仲間たちや学生とともに福山市でいよいよ動き始めます。
    5つの敵と戦う『フクヤマン5』というキャラクターや毎年1000名以上が関わっている様々な学生プロジェクトとも繋がっていきます。


    単なるプラットフォームではありません

    このプラットフォームは、単なるプラットフォームでも採用ツールではありません。
    大人や企業だけの目線では作りません。
    プラットフォームは、

    若者にとっては、自分の経験を見える化する場所。

    企業にとっては、採用の前から若者との信頼を積み重ねる場所。

    地域にとっては、若者が何に関心を持ち、どんな経験を求めているのかを知る場所。

    まさに、今回のシリーズで書いてきた
    入口の設計
    を、実際の仕組みにしていく取り組みです。

    福山に必要なのは、新しい箱ではなく、入口の設計。

    若者が地域を知る入口。
    企業と出会う入口。
    挑戦が経験として残る入口。
    離れても関わり続けられる入口。
    戻ってきてもいいと思える入口。

    その入口を、少しずつ形にしていきます。


    パートナー企業を募集しています

    そして現在、この構想に一緒に取り組んでくださるパートナー企業も募集しています。

    若者との接点をつくりたい企業。
    採用の前に、地域の若者と信頼関係を育てたい企業。
    福山の未来に投資したい企業。
    次の世代に選ばれる地域づくりに関わりたい企業。

    ぜひ、一緒にこの仕組みを育てていただけたら嬉しいです。

    経験は宝だ。

    その宝を蓄積し、信頼とともにミライへつなげていく。

    福山から、その新しい循環を始めます。

    お問い合わせはこちら


    このシリーズが、何かのきっかけになれば

    第1回から第5回まで、お読みいただいた皆さん、本当にありがとうございました。

    5回のシリーズを通して、私が伝えたかったのは、データそのものではありません。

    データの裏側にある、
    人の選択と、地域の構造
    の関係です。

    そして、その関係を変えていけるのは、特別な人ではなく、この地域に関わるすべての人だということです。

    立場を超えて。
    世代を超えて。
    性別を超えて。
    国籍を超えて。

    次の世代に選ばれる福山をつくるために、できることを、それぞれの場所から、少しずつ始めていけたらと思っています。

    その対話の場として、私たちはフクヤマカイギを続けています。

    そして、具体的な仕組みとして過去3000名との学生との繋がりや毎年1000名以上の学生との共創を継続している実践者が学生✖️地域✖️企業を繋ぐプラットフォーム構築プロジェクトをスタートします。

    データを見ること。
    構造を理解すること。
    立場を外して話すこと。
    ポジショントークから解放されること。
    そして、批判ではなく「じゃあ、どうする?」へ向かうこと。

    このシリーズが、福山に関わる方々が、それぞれの立場で考え、対話を始め、そして具体的な一歩を踏み出すきっかけになれば嬉しいです。

    さぁ、ミライをつくろう。
    動くのは、今。

    角田千鶴(つのだ・ちづる)/地域若者共創プロデューサー
    有限会社山陽不動産 取締役副社長
    一般社団法人ミライゴト 代表理事
    山陽管理株式会社 代表取締役。

    広島県福山市出身。東証1部上場企業勤務を経て2004年にUターン。家業の不動産会社を15年連続増益増収へ導く。2019年から高校生・大学生向け創業体験プログラム「Sta-sh」を立ち上げ、7年間で370名以上が参加。経済産業省中小企業庁創業機運醸成賞受賞。2024年10月、一般社団法人ミライゴトを設立し代表理事就任。若者とアスリートのキャリア支援を通じた地域創生に取り組む。



    出典・参考

    福山市公表資料「福山市のリアルな数字」(2026年3月)

    福山市「高校生進学先調査」(2024年8月)

    広島県「若年層の社会減少要因調査分析(概要資料)」(令和6年10月)

    総務省「住民基本台帳人口移動報告」(2024年/令和6年)

    広島県統計年鑑(令和6年版)

    • 10 世帯数及び人口の推移

    • 13 市町別常住地又は従業地・通学地による人口

    • 14 市町別人口集中地区人口、人口増減、面積及び人口密度

    • 15 人口動態及び推計人口(市町別、社会動態・自然動態)

    • 16 県外移動者数(年齢別・理由別)

    • 17 住民基本台帳法による移動前・後の住所地別転入転出者数

    • 19 国籍別外国人数(市町別)

    内閣府「地域における女性活躍・男女共同参画に関する調査」(令和6年度)

    厚生労働省広島労働局「外国人雇用状況の届出状況」(令和6年10月末時点)

    国土交通省「令和6年度 テレワーク人口実態調査」

    ソニー損害保険「2025年 20歳のカーライフ意識調査」

    経済センサス・活動調査(令和3年)


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    シリーズ全5回

    第1回:福山の若者の進学・就職データ

    第2回:20代女性の転出が、止まらない理由

    第3回:30代女性が、福山に戻ってこない理由

    第4回:大学があれば、地域は元気になるのか

    第5回:「選べない期間」に育ち、「選べる瞬間」に別を選ぶ


    ※数字の解釈や、そこから引き出した問いは、筆者個人の見解です。

    #福山リアル #ミライゴト #フクヤマカイギ #FUKUYAMAプラットフォーム #経験は宝 #福山市 #広島県 #若者と地域 #外国人労働者 #選ばれる地域 #入口の設計 #6月1日スタート #シリーズ最終回

     
     
    一般社団法人ミライゴト代表理事| 山陽不動産34 取締役副社長|㍿山陽管理 代表取締役|経済産業省中小企業庁創業機運醸成賞受賞| 0→1を実践する経営者|24歳で赤字会社を15年連続増益増収へ|起業支援|シェアオフィス5棟運営|学生創業イベント主催|新しい就活|人材紹介業許可取得

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