
女性が地方を出ていくのは、「地元が嫌い」だからじゃない。地方が彼女たちに「選択肢を渡さなかった」——内閣府調査が示す、誰も言わなかった本当の理由。
福山市から、毎年3,000人近くの転出超過が続いている。
2024年のデータでは転出超過数が2,935人を超え、全国でも上位に位置するこの数字を目にするたびに、私は少し複雑な気持ちになる。なぜなら、その内訳を丁寧に見ていくと、「若い女性の転出が特に多い」という事実が浮かび上がってくるからだ。
私は大学進学で広島から横浜へ。そのまま横浜で就職、結婚。今から21年前に夫とともに横浜から広島にUターンし、広島県福山市を拠点に、不動産業を行う傍ら若手起業家支援や学生支援の活動している角田千鶴(2児のママ *長女は大学進学で東京へ)と申します。
私は、一般社団法人ミライゴトという団体を立ち上げ、この11年間で約3,000人の若者と向き合ってきました。就職支援、キャリア教育、まちの対話の場づくり。そういった現場に立ち続けていると、数字の裏にある「生身の声」が少しずつ見えてきました。
今回、内閣府が令和6年度に実施した「地域における女性活躍・男女共同参画に関する調査」を読み込んだとき、「やっぱりそうか」と思うと同時に、「でもこれは、まだ表面しか語っていない」とも感じました。
地方から女性が出ていく理由を人々に聞くと、たいてい「若者は都会に憧れているから」という答えが返ってくる。確かにそういう側面もゼロではないと思う。けれど、内閣府の調査が示す数字は、それよりずっと冷静な現実を指している。
地方から都会へ転出した女性が「自分の都合で出身地を離れた理由」として最も多く挙げたのは、「希望する進学先が少なかったから」(35.0%)だった。次いで「やりたい仕事や就職先が少なかったから」(22.6%)。「地元から離れたかったから」という感情的な理由は3番目(20.7%)で、しかも都会に出た女性だけでなく、地方に転居した女性でも同様の傾向がある。
つまり、女性は「地方が嫌いだから」出ていくのではなく、「選べるものがないから」出ていくケースが圧倒的に多い、と言えそうだ。
この違いは、思っている以上に重要だと私は感じている。
「魅力がない」と「選択肢がない」は、似ているようで全く違う。
前者は感情の問題で、後者は構造の問題だからだ。感情に訴えるアプローチと、構造を変えるアプローチとでは、必要な処方箋がまるで変わってくる。
では、その「構造」とは、いったい何層から成り立っているのか。
そして私が11年間の現場で目撃してきたことと、このデータはどう重なり合うのか。
「知らなければ選べない」というのが、私が活動を始めた頃からずっと大切にしてきた言葉だ。女性が地方に留まれない構造も、それを打開しようとする試みも、まず「知ること」から始まると信じている。