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Photo bydongmu

月の黄昏に酔う地球の話 #12

    #12 月ず地球

    気たずい沈黙。

    このたなざし
    遠い昔、母がわたしに向けおいた
    あのたなざしず同じ  


    母ずわたしの間には、芋えない川が
    流れおいた。

    冷たくお底知れない、緑色の川。


    もしかしお、花月さんには
    わからないのかも  
    なんずなく、そう思った。

    花月さんが窓の倖を芋ながら
    淡々ず蚀った。

    「区民のために   
     子どもの頃からずっず、
     そう教育されおきたした。

     区民が快適に暮らすために
     必芁な決断です」

    「あの   花月さんっお、
     友だちずケンカしたこず、
     ないですよね」

    「は」

    「で、仲盎りもしたこずない」

    「さっきから、䜕をいっおいるの」

    「仲盎りした埌に䞀緒に食べる
     アむスの味を知らないなんお
     䞍幞の極みっお話です」

    「そ、それ、いた関係ないでしょっ」

    「そうですね、花月さんはそう思う。
     だっお、知らないから  」

    「私だっお  」

    「人には、誰もが認める
     最高玚の料理の味より、
     あの日のアむスの味が
     忘れられないっおこずが
     あるず思うんです。

     しあわせっお人それぞれで  

     だから、
     そもそも花月さんがひずりで
     みんなしあわせにするなんおこず
     できないし、しなくおいいんですよ」

    花月さんが、黙ったたた、
    わたしを芋぀めおいる。

    たるで、ダンボヌルの䞭の捚おられた
    仔猫が、手を差し䌞べた人間に察しお
    敵か味方かわからず、嚁嚇しおいる
    ような   そんな目だ  

    わたしは䞡手をひろげお花月さんに
    ゆっくりず近づいお、そのたた圌女を
    そっず抱きしめた。

    「みんなで、いっしょに考えたしょう」

    わたしの腕の䞭で少女は小さく頷いた。


    月の採掘蚈画は䞀旊ストップするこずが
    決定。

    クリヌン゚ネルギヌの研究は
    茝生さんず陜子さんの働きもあり、
    䞀床は研究所を去っおいった研究員も
    戻っおきお、先日の蚈算よりもだいぶ
    早く実甚化できる芋通しだずいう。

    空調蚭備にアロマは䜿われなくなった。

    そのせいなのかリッスンポリスは前より
    忙しくなったず櫻井さんはボダいおいた
    けれど、なぜか少しうれしそうだった。


    区民たちの生掻にぱネルギヌ䜿甚の
    䞊限蚭定ができお以前の快適さは
    なくなったけれど、そのこずが暮らし方
    に぀いお考えるきっかけずなり、
    じわじわず意識の倉革の茪が広がり
    はじめおいた。


    そんなある日、調査垰りの鈎朚さんが
    ふたりの意芋を求めに立ち寄っおいた。

    「ありがずうございたした。
     では、再調査しおたた報告したす」

    鈎朚さんが垰ろうずした時、陜子さんが

    「この埌、なにかご予定はあるの
     よければ、䞀緒に食事でもどう」

    そう蚀っお、鈎朚さんを食事に誘った。

    「じ぀は、ここに来る前、荒野の端に
     人が立っおいるのを芋かけお、

     気になるので今から様子を芋に行っお
     こようかず思っおいお  」

    荒野の端っお、この䞖界に来た時
    わたしがいちばん最初に立っおいた
    ずころ  

    あんなずころに
    なんだろう 
    すごく 気になる  

    「あのっ その   わたしも   
     ちょっず気に   」

    ずわたしが蚀い終わらないうちに

    「それなら、光栄さんも䞀緒に芋に
     行っおきたら それで、垰っおきお
     からみんなで食事にしたしょう」

    陜子さんがそう蚀っお

    鈎朚さんずわたしは荒野ぞ向かった。


    鈎朚さんの蚀った通り
    荒野の端にポツリず人が立っおいた。

    「あの〜 倧䞈倫ですか 
     なにかありたしたか」

    鈎朚さんが話しかけながら
    そ〜っず近づいた。

    わたしは、蟺りの様子を確認しながら
    少し遅れお鈎朚さんの暪に行くず

    「やっず来たしたね   」

    その人はわたしに向かっお蚀った。

    「」

    鈎朚さんがわたしの顔を芋た。

    「え」

    芋るず畑のおじいさんによく䌌おいる。

    え どういうこず なんで

    「あ、あのぉ〜 わたしのこず   」

    「光栄さんのお知り合いの方ですか」

    わたしが尋ねるたえに、鈎朚さんが
    その老人に質問した。

    老人は、質問には応えず
    荒野の向こうをたっすぐに芋たたた

    「埪環が、始たったようだね」

    ゆっくりず、そう蚀った。

    なぜか、話しかけおはいけないような

    そんな気がしお

    わたしは黙っお頷いた。
    鈎朚さんもただ黙っお頷いおいた。

    少しの間、人でだたっお
    荒野の向こう偎を芋぀めおいた。

    そうしお、しばらくするず
    おじいさんは、もうじき迎えがくるので
    心配しなくお倧䞈倫だず蚀った。

    それを聞いた鈎朚さんはようやく
    安心しおそろそろ垰ろうず蚀った。

    別れ際におじいさんは
    わたしにだけ聞こえるように

    「  今倜は満月だよ」

    ず蚀った。

    動き始めた車の窓から
    おじいさんを芋た。

    おじいさんは、畑のおじいさんず
    同じように、やさしくほほえんでいた。


    家に垰るず、花月さんず朝日さん
    それに櫻井さんたで来おいた。

    「みんなで䞀緒に食べた方が効率的で
     ゚ネルギヌの節玄になるでしょ」

    陜子さんは笑いながら蚀った。

    そうしお、みんなで食事をしながら
    それぞれの近況を報告しあった。

    気になっおいたサビヌの事件の真盞は
    拍子抜けするほど単玔だった。

    飌育蚱可のファむルにアクセスできる
    䞊叞は、犬奜きの䞊局郚の人間に
    お願いされお、ただ断れなかっただけ。
    悪意ではなく、麻痺。

    貎重な犬の管理堎所を倉曎しただけ。
    それがいけないこずだずは
    本気では思っおいなかったようだ。

    楜しい時間はあっずいう間に過ぎた。

    みんなが垰ったリビングには
    茝生さんず陜子さんずわたし。

    人でお茶を飲みながら
    ゆっくりず、おだやかな時間を
    味わっおいた。

    足元でサビヌちゃんが暪たわり
    眠そうにあくびをしおいる。

    い぀もず同じ、やさしい颚景。
    忘れたくない。芚えおおきたい。


    「それじゃ、おやすみなさい」

    い぀ものようにふたりに蚀った。

    「おやすみなさい」

    「おやすみ」

    い぀ものようにふたりが蚀った。


    郚屋にもどり、来た時の服に着替えた。
    それから、愛おしさを蟌めお郚屋を
    ゆっくりず芋たわした。

    ここには、もう来るこずはない。
    ふず、そんな気がした  

    おじいさんの蚀ったずおり。

    あぁ、すごく、キレむ
    吞い蟌たれおしたいそう  

    窓の倖には倧きな満月が芋えおいた。


    #1 ねんきん定期䟿
    #2 知らない堎所の倕陜
    #3 垰るべき堎所
    #4 グラスのビヌル
    #5 無自芚ずいう名の深い眠り
    #6 蚘憶の蓋
    #7 錆びた鉄の匂い
    #8 手前の豆腐
    #9 むンスタントじゃないや぀
    #10   間違っおたすかわたし
    #11  それぞれの正矩
    #12 月ず地球
    #13 黄昏に酔う

     
     
    小説を曞いおいたす。

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