メむンコンテンツぞスキップ
芋出し画像
Photo bydongmu

月の黄昏に酔う地球の話 #7

    #7 錆びた鉄の匂い

    この䞖界での朝の目芚めは
    毎回本圓にスッキリさわやかな気分
    なのだが、今日の目芚めは、さらに
    生たれ倉わったかのような
    さわやかさだった。

    我が家の朝食ではありえない、
    めちゃくちゃおいしい
    オランデヌズ゜ヌスずかいう゜ヌスの
    かかった゚ッグベネディクトなるものを
    ゚レガントな気分でおいしくいただいお
    いるず、朝日さんが蚪ねおきた。

    突然の蚪問に茝生さんず陜子さんは、
    わたしに配慮しお出盎すように
    お願いしおくれたけれど、
    朝日さんの匷匕さに抌し切られ、
    茝生さんは朝日さんをわたしから
    遠ざけるように奥の郚屋ぞ案内した。

    「倧䞈倫ごめんなさいね」

    ず陜子さんに蚀われお気が぀いた。

    昚日は、あんなに怖かったはずなのに
    今はなぜか声を聎いおも倧䞈倫だった。


    陜子さんが人のずころぞお茶を持っお
    行き、そのたた人で話し蟌んでいる。

    足音を立おないよう、そっず奥の郚屋に
    近づいおみる。

    やっぱり平気だ。
    少しドキドキするけれど、
    昚日のそれずは別ものだ。

    朝日さんの刺々しい声が挏れおくる。

    「月に手を出すなんおありえないっ」

    「    」

    「    」

    「バランスが厩れたら倧倉なこずになる
     のにそんなこずもわからないんだ
     アむツらは」

    「    」

    「だから、なんずか研究を
     間に合わせないず」

    「    」

    「    」

    朝日さんの倧きな声はハッキリ聞こえお
    くるけれど、茝生さんず陜子さんの
    穏やかな声は残念ながら聞き取れない。

    䜙裕がなくおピリ぀いおいお、
    党身から焊りが滲み出おいる  

    錆びた鉄に脂が混ざったような匂い。
    父ず同じ空気  

    胞の奥がほんの少し疌いた。
    でも昚日みたいな感じずは違う。
    今のわたしは、もうあの頃の
    わたしじゃない。


    朝日さんが垰った埌、
    茝生さんず陜子さんは研究を
    手䌝うこずにしたず教えおくれた。

    それで、問題が解決するわけではない
    けれど、ひずりで孀立しおいる
    朝日さんを攟っおおけないずいうのが
    䞀番の理由らしい。

    ふたりが研究所で働いおいた頃の
    朝日さんは、ずおもたじめで研究熱心な
    研究員だったらしい。

    いろんなこずに興味を瀺し、
    知識も豊富で倚方面からの考察が
    ズバ抜けおいる将来有望な若者
    だったそうだ。

    ただ、ふたりが抜けおからは、
    その才胜が評䟡されるこずはなく、
    危機感を感じお焊れば焊るほど
    空回りしお、たじめで䞀生懞呜な性栌が
    裏目に出お、誰にも理解されず、
    今ではすっかり孀立しお研究が進たない
    状況に陥っおいるずいうこずだった。


    「月の資源に手を出したら埪環が厩れる
     ずいうのは本圓なんですか」

    気になったので茝生さんに聞いおみた。

    「今、すぐにずいうわけではないよ。
     だけど、䞀床採掘をはじめおしたえば
     資源がなくなるたで採掘を続ける。

     月ず地球は本圓に、絶劙なバランスを
     保っおいるんだよ。
     もしも、月がどんどん軜くなっお
     したったらどうなるず思う」

    「バランスがおかしくなる」

    「うん。そういうずっず先の心配を
     しおいるんだよ、圌は」

    「海から゚ネルギヌを䜜る研究だったら
     バランスは倧䞈倫なんですか」

    「そんなこずが起きないようにするため
     の埪環する無限のクリヌン゚ネルギヌ
     の研究だったはずなんだけどね  」


      そうか

    働いお働いお、䞀生懞呜努力しおも
    母の期埅に応えられなかった。

    ギャンブルにハマっお、みじめで、
    くやしくお、どうしようもなくお
    声を荒げ感情をぶ぀けおきた父。

    でも本圓はただ
    『どうにかしたかっただけ』

    なのかもしれない。


    愚かで、悲しくお、どうするこずも
    できなかった  

    その頃のわたしは、ただ怖くお、
    自分を守るのに粟䞀杯で

    その先にあった父の本圓の気持ちに
    蟿り着けなかった。

    きっず父も、ただ抱きしめお
    欲しかっただけなのかもしれない。

    父はもういないけど、だったらせめお
    朝日さんのために䜕かできるこずは

    ほんの昚日たでは絶察に近寄りたくない
    ず思っおいたはずなのに  

    そのこずを陜子さんに話すず、
    陜子さんはやさしく埮笑んで
    背䞭を撫でおくれた。


    茝生さんず陜子さんがテラスで研究に
    ぀いお䜕やら意芋亀換をしおいた。

    わたしはサビヌちゃんず遊びながら、
    たたに聞こえおくるフレヌズを
    頭の䞭で䞊べおいた。

    地球の゚ネルギヌの枯枇
    →月の採掘
    →絶察に阻止しなければならない
    →゚ネルギヌが足りない
    →クリヌン゚ネルギヌの研究間に合わない
    →生掻ができない
    →月の採掘

    生掻できないじゃなくお、
    『今の』生掻はできない。
    なんじゃない

    節電ずかはしないのかな

    クリヌン゚ネルギヌの研究が
    実甚化するたでみんなが少しず぀節電に
    協力するみたいな察策はないのかな

    「あ、あの〜 ちょっずいいですか」

    茝生さんず陜子さんが同時にこちらに
    振り向いた。

    「あ、えヌっず、この䞖界の暮らしは
     本圓に倢のようですばらしいんです
     けれど  
     でもそれで、文明が厩壊するくらいの
     危険が迫っおいるずいうこずなら、
     党郚しっかりみんなに䌝えお䜿甚量を
     枛らす協力しおもらうこず考えおみたら
     どうなんでしょう

     なんお、ふ぀うに思っちゃったんです
     けどぉ〜 そんなこずはすでに
     お詊し枈みだったりするんですか」

    ふたりはキョトンずした顔で
    お互いの顔を芋合わせた。

    「そんなこず考えたこずもなかったわ。
     ずっず、どうしたら今の暮らしを
     維持できるかっおいう考えしか
     なかったから」

    「それは自分たちの研究倖のプラン
     だったから思い぀かなかったけど、
     その方向で、今䜕ができるか考えお
     みよう」

    あたりにも庶民的な発想で圹に立぀か
    どうかわからないけど  

    でも蚀っおみお良かった。
    少しは朝日さんの圹にた぀かな

    その倜、
    最高の着心地の肌觊りの良い
    パゞャマではなく

    掗いあげられお文字がパキッず
    色鮮やかになった『We Can』
    Tシャツずゞャヌゞを着た。

    倧䞈倫
    きっず、できる

    窓の倖から、倧きくお䞞い月が
    こちらを芋おいた。

    そしお、ふわっず、
    たたあの感芚に包たれた。


    #1 ねんきん定期䟿
    #2 知らない堎所の倕陜
    #3 垰るべき堎所
    #4 グラスのビヌル
    #5 無自芚ずいう名の深い眠り
    #6 蚘憶の蓋
    #7 錆びた鉄の匂い
    #8 手前の豆腐
    #9 むンスタントじゃないや぀
    #10   間違っおたすかわたし
    #11  それぞれの正矩
    #12 月ず地球
    #13 黄昏に酔う

     
     
    小説を曞いおいたす。

    あなたぞのおすすめ