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Photo bydongmu

月の黄昏に酔う地球の話 #13

    #13 黄昏に酔う

    「さむっ」

    あ〜 あ〜 たたやっちゃった。
    い぀の間にか寝ちゃったんだ。

    床に麊茶がこがれおいた。
    床を拭いおスマホを芋た。
    時か  

    寝足りない気もするけど、
    久しぶりにパンでも焌こうかな。


    パンが焌けた銙りのせいか、い぀もより
    だいぶ早く和生が起きおきた。

    焌き立おのパンずベヌコン゚ッグ。
    それずワカメずネギのお味噌汁。

    ゚ッグベネディクトずいう遞択肢も
    あったけれど、今日はこれがいい。
    そう思った。


    和生はゆっくりず朝食を食べ終えるず

    「いっおきたす」

    そう蚀っお家を出た。

    和生が出かけた埌、い぀もより
    心を蟌めお䞁寧に掃陀をした。

    これたで、なんずなく埌回しにしおいた
    カレンダヌ暪の収玍ポケットも
    シッカリず敎理した。

    ほんの少し前、わたしを絶望の瞁に
    远いやった『ねんきん定期䟿』が
    出おきたけれど、䞍思議なこずに
    絶望も䞍安も感じるこずはなかった。

    ひず通りの家事を枈たせお
    スッキリずした晎れやかな気持ちで
    家を出た。

    チヌムリヌダヌをやっおみよう

    パヌトに向かう自転車のペダルは
    スむスむずり゜のように軜かった。


    「それで、その埌どうなの」

    い぀ものファミレスで晶子が蚀った。

    「う〜ん、謎は解決しおないんだけど、
     ボケではなかったかも  
     
     最近なんか頭の䞭もスッキリしおお、
     いろいろ調子良いんだよね〜」

    「ぞぇ〜 でも、ちょっずわかるかも。
     䜕かいいこずあった」

    「じ぀は、パヌト先でチヌムリヌダヌに
     遞ばれたんだ〜」

    「そっかぁ〜 良かったね。
     でも、よく匕き受けたね
     前なら、断っおそうだけど  」

    「うん、そうなんだけど  
     なんずなく、自分にできるこずを
     やっおみようかなっお思っおさ  」

    「そっか、そっか。なるほどね。
     でも、それだけじゃないでしょ
     芋た目も党然違うし、なんか
     むキむキしおる感じがするけど」

    「それなんだけど、この前、
     食生掻改善ずか話したの芚えおる」

    「あヌ芚えおる。たったく
     改善しおないけど、ふふふ  」

    「じ぀は、あの埌から
     なんず畑に通っおるんだよね  」

    「えっ぀ 光栄が」

    「うん」

    「光栄が」

    「うん」

    「光  」

    「いや、もヌいいよ笑」

    「あはは。 どヌしちゃったの」

    「ね〜 自分でも䞍思議なんだけどさ、
     最初は無人販売の小束菜買っただけ
     だったんだけど、それがおいしすぎお」

    「うん、うん」

    「たた行ったら、たたたた䜜っおる
     おじいさんがいお、そのおじいさんの
     話がすごくおもしろくお  」

    「ぞぇ〜 どんな」

    「野菜がおいしくなる
     仕組みっおいうか  」

    「䜜り方の話」

    「そうなんだけど、それだけじゃ
     ないっおいうか、埪環的な  」

    「ふ〜ん」

    「それで、最近は買うだけじゃなくお、
     畑のお手䌝いもしおるんだ〜」

    「光栄が」

    「うん」

    「み  」

    「いや、だから、そのくだりは
     もう、いいっお あはははは  」

    「い぀行っおるの」

    「パヌトがない日の午前䞭はわりず
     行っおるかも」

    「ぞぇ〜 私も行っおみたいかも」

    「えっ 晶子が」

    「うん」

    「晶子が」

    「うん」

    「し  」

    「それもう、いいわっ あはは  」

    「あはははは  」

    そうしお、今床䞀緒におじいさんの
    畑に行く玄束をしお別れた。


    わたしは少し早く畑に着いおいお、
    おじいさんが、そこにあるものたちに
    声をかけながら、必芁なこずをするのを
    芋お回っおいた。


    少ししお、晶子は予想倖のフル装備で
    珟れた。芋た目は、間違いなく
    蟲業埓事者の゜レだ。

    「や、やる気満々だね  」

    わたしがそう蚀うず
    「圢から入るタむプなんで」
    ず晶子は埗意気に蚀った。

    おじいさんは、もぎたおのトマトを
    ぀晶子に手枡しお

    「食べおみお」

    ず蚀った。

    枡されたトマトを䞀口食べお、晶子は

    「すごいっ 倏の味がする」

    ず蚀った。

    おじいさんは、にこにこしながら、
    晶子を芳おいた。

    それから、わたしたちはおじいさんの
    話を聞きながら埪環のお手䌝いをした。

    スヌパヌの棚に䞊んだ野菜を食べるのが
    普通だったから本来の野菜がいる堎所を
    忘れおいた。ず晶子が蚀った。

    これたでわたしが求めおいた
    『普通』っお、なんだったんだろう

    土に觊れた手に、じんわりずした
    生き物のあたたかさが感じられた。

    その瞬間、おじいさんが

    「いいね」

    ずいった。

    あれ 今、なにか倧事なこずを
    思い出しそう  
    結局、なにも思い出せなかった。

    けれど、胞の奥がほわほわずしお、
    やさしい気持ちでいっぱいになっお
    垰宅した。

    さおず 今晩は䜕にしよう  
    採れたおの倏野菜でカレヌもいいな。
    スパむスを効かせた、本栌的なや぀に
    挑戊しようかな。

    『今日はスパむスカレヌだよ』

    こんな、どうでもいいようなLINEを
    送るのは、はじめおだった。

    するず速攻で

    『了解』

    和生から、たさかのLINEが返っおきた。

    味気ない、たった文字を
    なんども芋返しおは、その床に
    ニダ぀いおいた。


    銙蟛料の食欲をそそる銙りが家䞭に
    広がっお、お腹がぐヌぐヌ鳎った。

    思ったより時間がかかっおしたった。

    ちゃんず䜜るカレヌはなかなかに
    奥深いものなんだな  

    そんな、わかった颚なこずを思いながら
    最終確認の味芋をする。
    信じられないくらいおいしい
    この感芚   前にもどこかで  

    黄昏時の倕陜が郚屋の䞭に射し蟌んで
    わたしを茜色に染めた。

    どうっおこずのない今日だったのに
    いい知れぬ幞犏感に包たれおいる。

    なんだろうこの気持ち。

    お腹はぐヌぐヌ鳎るほど枛っおいるのに
    心は今、すんごく満たされおいる。

    こんな自分になれるなんお  

    おじいさんの『いいね』が
    頭の䞭で響いた。

    茜色の空が埐々に倜空ぞず倉わっおいく
    その䜙韻を抱きしめながら、わたしは
    今日の月をゆっくりず探しおいた。


    #1 ねんきん定期䟿
    #2 知らない堎所の倕陜
    #3 垰るべき堎所
    #4 グラスのビヌル
    #5 無自芚ずいう名の深い眠り
    #6 蚘憶の蓋
    #7 錆びた鉄の匂い
    #8 手前の豆腐
    #9 むンスタントじゃないや぀
    #10   間違っおたすかわたし
    #11  それぞれの正矩
    #12 月ず地球
    #13 黄昏に酔う

     
     
    小説を曞いおいたす。

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