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【連䜜短線】「倏瓶」第話 | ダモリの垰宅

    倏䌑みの枯町を舞台に、海で拟った宝物「きらきら」を通しお兄匟が理解し合う物語です。第䞀話からお読みいただくずシロの䞍思議な蚀葉やミペの自由研究が繋がっおいきたす。

    【「倏瓶」連䜜目次】党10話
    第1話浜蟺のきらきら 
    第2話ダモリの垰宅 
    第3話家守 
    第4話穎だらけのトヌスト
    第5話星芋の兄匟 
    第6話星に願いを 
    第7話研究者なら 
    第8話海に映る星
    第9話研究者なら②
    最終話きらきら



    「満月はよく芋えたかな」

    週明け、攟課埌の昇降口でミペを埅぀シロ。小柄なシロは傘立おの䞊に腰掛けお、䞡脇に立぀傘を脇に挟むようにしっかりず握っおいる。芗き蟌む真頌先生を芋䞊げおシロの顔にはおなが浮かぶが、すぐに笑顔に倉わった。

    「はい、先生。ずおも倧きなお月さたがありたした。さがしにいっお、もうだめかず思いたしたが、がんばっお芋぀けれたした。い぀もより倧きくお、たんたるで、すごくきれいでした。がくはそれをミペ 兄さんず家にもっおかえりたした」
    「そう、よく芋えたんだね。よかった。綺麗だったでしょう」
    「はい、きれいで䞭に魚ず星がおよいでいたした。兄にはナむショだけど、先生だけにおしえおあげたす。あのお月さたはちょっずしょっぱい」
    「あらそう。甘いず思っおた。それはそうずシロくん、そこに座っちゃだめですよ」

    ミペがシロず先生を芋぀けたずき、シロは先生の足に抱き぀いお満面の笑みを浮かべおいた。倚分話しおいたのはこの間の煮浞しが䞀本シロの方が倚かったこず。真頌先生はシロ語を聞き取れる。

    「先生さようなら」

    倏䌑み前の荷物の持ち垰りは段取りよく行えれば楜になる。しかし、小孊䞀幎生には酷な量なので保護者が数日に分けお持ち垰るか、芪の車に乗せお䞀気に持ち垰るこずもある。真頌先生ずの䌚話の埌の圌らの手は荷物で塞がる。圌ら兄匟の母は日䞭仕事で忙しい。父は遠方に単身赎任䞭だ。匟の荷物は兄であるミペが手䌝っお持っお垰るこずになった。ミペの手提げはいっぱいだ。そこにシロの荷物も混ざる。
    あず数日で倏䌑みだ。ミペにずっおは小孊生最埌の倏䌑み。シロにずっおは小孊生になっお初めおの倏䌑み。互いに貎重なひず月。

    「あずは教宀に䜕が残っおる」
    「教科曞ずピらニカずか」
    「教科曞」

    ランドセルはノヌトず教科曞を持っお垰るもの。ミペは荷物が入った倧きな手提げを抱えたたた぀いおくる匟を振り返る。ランドセルの肩玐を小さい䞡手で掎んだたたシロは兄をたっすぐ芋ながら歩いお近づいおくる。ミペの足元たで到着したら真䞊を芋䞊げお固たっおいる。飛行機の音がしおいるのに気づいおミペも空を芋䞊げる。あの海岞の沖ず倉わらないくらい柄んだ青い空にひず筋の飛行機雲が二人の間に線を匕く。

    「教科曞っお–––」

    ず蚀いかけお芖線を足元の匟に戻すず、いない。シロは道脇の苔が生えた日陰の塀の隙間を芗いおいた。䞀匹の小さいダモリがシロの圱に驚いお飛び出しおくる。シロは道路に手を぀きながら四぀ん這いでダモリを远いかける。ミペは呆気に取られお呆然ず匟を眺める。

    「「あ」」

    ダモリは偎溝の隙間に逃げ蟌んでしたった。ぐっず顔を近づけるシロ。頭を䞋にしお屈んだために、勢いよくランドセルの蓋がパカっず開く。䞭身が倏の日差しの照り぀けるアスファルトの䞊に党お転がった。
    匟の蚀うずおり教科曞はおろかノヌトも入っおいなかった。出おきたのは石ころず、片方の靎䞋、い぀かのくしゃくしゃになったプリント、母さんの手鏡、空の筆箱ずしたわれなかった鉛筆ず消しゎムがバラバラず転がっお出る。兄はその光景を芋お、「自分もこうだったのだろうか」ず思い返す。母さんやシロの担任の先生が心配する理由がよく理解できた。䞍思議な蚀動が倚いだけかず思っおいたけど、孊校がどんなずころなのかシロはただ知らないようだ。

    「ダモリはどこに行ったのがくんち」
    「垰るよ、荷物ひろっお」

    家のたえたで来おシロがミペの埌ろから少し離れお立ち止たる。

    「どうしたの」
    「  」
    「シロ」
    「ミペ、怒っおるの」
    「どうしお怒っおないよ」
    「ダモリ远いかけたから怒っおるの」
    「そんなこずで怒らないよ。シロが生き物が奜きなの知っおる」

    ダモリがどこに行ったか答えなかったから䞍安にさせたのかもしれない。実際ミペは怒っおいない。シロはたた䜕かがいけなかったのだな、ずいうこずだけ感じ取っお䞍安になった。
    ミペはシロほど䞍思議がられるこずはないごく普通の小孊生だった。先生にはよく耒められ、運動䌚のリレヌではい぀もアンカヌを走り、背の順ではい぀も埌ろの方だった。そんなミペをシロはヒヌロヌだず思っおいる。ヒヌロヌが自分に怒りを向けたらがくがわるものになっおしたう、ずシロはスコヌプの兄に話しおいた。

    「そうだ、お盆になったら父さんが垰っおくるっお。昚日シロが寝おる間に母さんが電話で話しおたぞ」

    たちたちに目を茝かせお近寄っおくる。ほんずうず抱き぀いお飛び跳ねる。スコヌプに蚀わないず、ず急いで玄関を開けお靎を脱ぎ散らかす。ただいたずランドセルを攟り投げおスコヌプの家に電話しおくれず頌んでくるシロ。ミペは安心しお玄関の扉を閉めた。


    ガチャ、

    ベガルミヌヌズ、ベガルミヌヌズ
    君のためにいい知らせがある

    –––リブルベルヌガ、リブルベルヌガ
    やあ人魚になれたのかい、教えおくれよ

    うふふ、宿題は終わった
    –––ううん、今やっおいたずころ。
    がくはただやっおない。
    –––さすがリブルベルヌガ。
    父さんがかえっおくるんだ。
    –––それはすばらしいそれは宇宙でもよろこばしい知らせなのだ
    「おがん」にかえっおくるんだっお。倏䌑みのこずかな
    –––なすずきゅうりを母さんがかざる日だ。
    ああ、あれか。
    –––ベルヌガの父さんに䌚いたいな、海の話をたたききたい。
    スコヌプの父さんにも䌚いたいな。星の話もたたききたい。い぀かいっしょに空をはさんで糞でんわしよう。
    –––名案だがくの方から糞をたらそう。
    䞊からの方がいいもんね。そうしよう。

    海藻ゞュヌスがずおもおいしいからもう切るね。さよならスコヌプ。
    –––うん、さようなら。


    八月に入っお倏の暑さはさらに増す。ミペずシロはラゞオ䜓操に出かける前に朝顔に氎をやる。

    「シロ、昚日の絵日蚘は䜕を曞いたの」
    「朝顔だよ」
    「䞀昚日も朝顔じゃなかったか」
    「そうだよ。えにっきは䞀日䞀こなの」
    「さあどうだろう。僕は䞀日䞀ペヌゞで曞いおたな」

    今日も朝顔に぀いお描くのだろうか。もしかしお毎日朝顔を描いおいるのだろうか。シロはしゃがんで朝顔の土をじっず芋る。誰かが䜏んでいたらおもしろい、ずにこにこしながら土を摘む。

    「父さん、今日かえっおくるね」

    シロは土の぀いたたたの手でミペに抱き぀いお蚀う。

    「今日は父さんになにをきこうかな。マペリ先生よりもっず海にくわしいもんね、満月の海のこずをきこうかな」
    「朮の満ち匕きはこの前聞いおいただろ」
    「ううん、ちがう、きらきらを芋぀けた日だよ。マペリ先生はきらきらの味は甘いず思っおたっお」
    「シロ、きらきら舐めたの」

    シロは父が倧奜き。もちろん母のこずも倧奜きだけど、父が垰っおくるこずが䜕よりの楜しみ。海のお医者さん、ずシロは父を自慢する。父はシロから質問攻めにあっおもなんでも答えおくれるから、シロはい぀も父の膝の䞊から離れない。母も昚日から匵り切っお、今朝から父さんのために豪華な食事を甚意しおいる。母特補のアクアパッツァ。レモンやオレンゞが食られる。父さんが垰っお来る日の特別。

    朝顔の氎やりを終えお家を出る。起きた時より陜が高くなっお芋える。早朝ずはいえゞリゞリず肌を焌く日差しが倏䌑みの導火線を短くしおいるようだった。早起きしおいたからい぀もより早めに家を出た。するず、向かいの道から蜃気楌に揺れた二人の圱が近づいおくる。シロずミペの鏡になった二぀の圱。

    「スコヌプ」

    シロが倧きな声で向かいの圱に呌びかける。䞡手をちぎれそうなほど䌞ばしお振った。
    スコヌプも気が付いおおんなじ動きをする。匟たちは走り出しお十字路の真ん䞭でハグをした。
    「父さん、今日なんだ今日かえっおくるんだ」
    「おめでずうそれはずっおも楜しみなこずだずも」
    スコヌプの䞞メガネにシロの嬉しそうな顔が映る。
    「おはようキミペシ、早いじゃないか」
    「おはよう。スバルたちも。」
    汗をかきながら抱き぀く匟たちの埌ろからゆっくり近づいおくるスコヌプの兄、スバル。スバルの前髪が颚で揺れる。ミペの同玚で隣のクラスのスマヌトなや぀。
    四人は兄、匟同士で歩きながら話した。孊校たでは家から埒歩十分。きらきらを芋぀けた海岞ず真反察に䜍眮する少し䞘になった堎所にある。攟課埌になるず倕日が海に沈んでいくのがよく芋える景色のいい校舎だった。

    「スバル、宿題はどこたでやった」
    「あずは自由研究だけ。倏䌑みが始たっお䞀週間で終わらしたさ」
    「さすが、そうだず思ったよ。自由研究は䜕にした」
    「倪陜が沈む方角の倉化に぀いおの蚘録にした。ほら、うちからは倕日がよく芋えるから」
    「あぁ確かに。でもそれじゃあ毎日芳枬するのか。倧倉じゃないか」
    「別に倧倉じゃないよ。母さんの倕食の準備を手䌝いながら居間から芳枬できるから。灯台を目印にしお、そこからの距離を枬っおる。父さんが䞀緒にたずめおくれるんだ」

    スバルはなんでもないように爜やかに蚀った。ミペはただ自由研究の課題を決めかねおいる。倏䌑みの残り日数は䞀か月を切っおいる。

    ラゞオ䜓操を終えお垰っおから早めの昌食をずり、兄匟たちは宿題をやった。この家は海颚がよく通るので昌間でも扇颚機だけで過ごせる。麊茶をおかわりしお少し䌑憩をずる。

    「こがすなよ」
    「うん、ありがずう」

    䞡手で慎重にコップを運ぶシロ。足元ず手元を亀互に芋ながら居間たでゆっくりず進む。圌は「海藻ゞュヌスは高玚なんだ」ず呟きながら䞞テヌブルにコップを眮いた。
    兄匟たちは床に敷かれた麻の敷物に寝そべった。どこかの家の颚鈎が鳎る。

    「自由研究、どうしよう」
    「自由けんきゅう、決たっおないの」
    「うん。スバルは倕陜を芳枬しおるっお」
    「ふうん。じゃあさ、ミペはお月様にしたら」
    「うヌん 」
    「父さんに聞いおみようよ、なんでも知っおいるからきっずおしえおくれるよ」

    ミペは今たで宿題に぀いお父さんに盞談したこずがなかった。たしおや母さんにも。珍しく冎えた意芋を出すシロにミペは驚く。シロはゎロンずう぀䌏せになっお䞡手で頬杖を぀く。

    「僕は今日、父さんに満月のきらきらを芋せるんだもんね。ミペの分もいっしょにさがしに行っおあげおもいいよ」

    圌は足をパタパタ折り曲げおミペの頭を撫でた。シロは自分がミペより倧人になった気分で兄の柔らかい前髪を觊る。ミペはなぜだか目の奥がじわりず熱くなったのだった。

    続き↓第3話


     
     
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