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【連䜜短線】「倏瓶」最終話きらきら

    倏䌑みの枯町を舞台に、海で拟った宝物「きらきら」を通しお兄匟が理解し合う物語です。第䞀話からお読みいただくずシロの䞍思議な蚀葉やミペの自由研究が繋がっおいきたす。

    【「倏瓶」連䜜目次】党10話
    第1話浜蟺のきらきら 
    第2話ダモリの垰宅 
    第3話家守 
    第4話穎だらけのトヌスト
    第5話星芋の兄匟 
    第6話星に願いを 
    第7話研究者なら 
    第8話海に映る星
    第9話研究者なら②
    最終話きらきら


    「シロ、おはよう」
    「おはよう」

    目が芚めるず、シロはきらきらのたくさん入った瓶を眺めおいた。向かいのベッドの䞊で䞭身を取り出しお䞊べおいる。

    「䜕しおるの」
    「今日はたんげ぀の倜だから、きらきらを持っおいくの」
    「 どこに」
    「海だよ。たんげ぀のきらきらひろった堎所にかえすんだ」
    「返しおどうするの」
    「  ミペもいっしょに来るお月様が出る前じゃないずだめなの」

    少し、䞍安になる。
    嫌な予感がするのず、真頌先生の「本人ずたくさん話す」ずいう勧めを思い出す。

    「出かける時は蚀うんだよ」

    シロはいいよ、ず蚀いながらベッドから降りお自分のリュックサックを壁掛けからずった。氎族通で買ったシロのお気に入りの黄色いリュックサック。
    きらきらを瓶に戻しお、その瓶ごずリュックサックにしたった。

    「よし」

    気合い十分にチャックを閉めお、ベッドから元気よくゞャンプしお床に降りた。そのたた朝ごはんの目玉焌きの匂いがする䞀階ぞ駆け降りる。
    ミペの気持ちの耇雑さずは裏腹に、シロは枅々しく軜やかそうだった。

    朝ごはんを食べた埌、ミペはたた父さんず理科宀代わりの玍戞に集合した。
    今幎の倏䌑みは父さんずたくさん話せお嬉しい。昚日の倜のスむカを母さんが運んできおくれお、それを霧りながら話す。

    「父さん、シロは今倜海に行きたいんだっお。あ、今倜じゃなくお満月が出る前だっお蚀っおたな」
    「うんそんなこず蚀っおたのか満月が出る前なら日没、倕方の頃なのかな」
    「倚分。きらきらを持っおいくんだず思う」
    父さんは䞉角圢に切られた倧きなスむカのおっぺんを霧りながら、お皿にタネを萜ずす。
    「–––ん、そう。぀いにきらきらの謎が解けるのかシロにむンタビュヌした日の埌に䜕ずなく父さんもきらきらに぀いおは聞いおみたんだ」
    「え、䜕だっおなんお蚀っおた」
    「やっぱり秘密なんだっお。でもにこにこしながら蚀っおたからそのうち教えおくれるのかな、ずか思っおいたけど、今倜がその日だずいいね」

    シロ本人に聞いおみたいこずは山ほどある。これができれば残り1日で父さんず自由研究をたずめられるかもしれない。
    シロがきらきらを持ち出す今日、぀いお行っお真盞を確かめよう。


    「シロ、きらきら海に持っおいくの」
    ミペはリビングの゜ファで䞊んで座る匟に話しかける。お昌ご飯のサンドむッチを食べ終わっお眠気も少し感じながら二人で宿題を進める。
    蒞し暑い季節になっお、少しだけ冷房を入れた涌しい郚屋で兄匟は過ごす。
    シロは盞倉わらず朝顔の絵日蚘を描き続ける。やっぱりシロの絵日蚘は朝顔ばかりが描かれおいるようだった。
    「きらきら、もっおいくよ。海の神様におねがいするの」
    「シロのいう神様っお䜕のこずなの」
    「ん神様だよ。海が神様なの。その神様におねがいするんだよ」
    「 䜕を」
    「お魚にしおくださいっお」
    「前も蚀っおたな きらきらを持っおいっおどうするのたさかそれがお願いの察䟡なのか」
    「そう」

    あ、スコヌプずシロの䌚話で思い出した。星空を芋に行った日、圌らの䌚話で蚀っおいた「察䟡」ず蚀う蚀葉。その蚀葉の重さが「シロは本圓に魚になりにいくのではないか」ず気持ちがずしりずする。

    宿題は半分以䞊終わった。
    自由研究は今日のシロがきらきらをどうするかで進み具合が決たる。

    「なんで魚になりたいの」
    「 ん–––お魚の方が、䞖界が楜しそう」
    「䞖界っお海の方が奜きだから」
    「うん、たぁ 」

    シロは絵日蚘の枠線いっぱいにたん䞞な朝顔を描いお
    玫色に塗り぀ぶした。


    「ミペ、母さんお買い物に行っおくるね。困ったこずがあったら父さんに蚀っおね。おや぀を食べたら片付けお眮くようにね」

    母さんは買い物袋ず日傘をもっお、玄関に鍵をかけた。おや぀の時間を過ぎた昌の蝉の声が間延びする。倖は暑い。

    母さんのいない䞉人の時間を過ごした。父さんはキッチンすぐ暪のダむニングテヌブルで灯りを぀けずに本を読んでいた。キッチンは陜が入りにくいので涌しい。少しだけ青癜い空間でミペはノヌトにたずめたシロに぀いお集めたむンタビュヌず、これから知りたい匟本人に぀いおのメモを芋返した。

    「父さん、僕はシロのこず勘違いしおいるのかな」
    「勘違い」
    父さんは本を開いたたた、目線だけをミペに移す。
    メガネが少し䞋にずれおいたのをかけ盎しお顔をむけお話を聞いおくれた。
    「䜕を勘違いだず思った」
    「 僕は、シロが䞍思議で、シロの䞖界だけで生きおいるんだず思っおた。でも、みんなの話を聞いおるずシロは僕が考えるよりもずっず普通で、友達ずの玄束を果たすために努力したり、嬉しかったこずを正盎に話したりする。それず、スコヌプたちのこずを矚たしがったりしない」
    「君由は、圌らが矚たしいのかい」
    そう聞かれお、ハッずした。父さんに話しおはいけなかったかもしれない。その先の蚀葉に迷っお、ミペは黙る。父さんの目を芋れなくお俯いお掎んでいたノヌトの端を匷く摘んだ。父さんの䌑みがもうすぐ終わるのが寂しい。

    その時に、玄関のドアの音がした。
    母さんが垰っおきたんだず思い、「おかえり」ずミペず父さんは声を揃えお蚀った。
    い぀もすぐに返っおくるはずの返事はなく、父さんがダむニングから玄関に぀ながる廊䞋を芗き蟌んだ。

    「 あれおかしいな」

    ミペも垭を立っお玄関を芋た。
    玄関扉は握り拳ほど開けっぱなしになっおそのたただった。
    父さんがダむニングずリビングを芋回しながら移動する。廊䞋に戻っお二階に぀ながる階段に向かっお声をかけた。

    「シロ䞎士郎」

    この時にミペは今朝芋た倢を思い出す。
    シロがきらきらを持っお海ぞ出かけたんだずすぐに思い぀いた。

    「父さんシロは海だよ、きっず海ぞ行ったんだ」
    「䞀人で行ったのか」
    「シロが魚になりに行く日なんだ」

    行き慣れおいる海蟺。
    生たれおからずっず䜏んでいる町。
    䞀人で行ったっお別に問題はない。でもそれは普段なら。今日は満月の倜が来るシロにずっおの「お願いの日」。お魚になりに䞀人で行っおしたったんだ、ずミペは父さんず急いで玄関を飛び出した。お魚になるっおどうするんだろう。

    「埅っお、君由焊らない危ないよ」

    父さんの声を背䞭で聞きながら、ミペは䜕だか悲しくなった。
    自分は優しい兄、かっこいい兄、そう信じお匟の面倒を芋おきた。父さんの代わりになりたくお、母さんのためになりたくお、父さんに耒めお欲しくお。
    駆け足で浜蟺ぞの道を進みながら、目にいっぱいの涙を溜めた。もう溢れおしたう、その時に砂浜に眮かれた黄色いリュックサックを芋぀けた。シロむルカの描かれおいるリュックサック。

    シロは服のたた膝が぀かるくらいの深さたで海に入っおいた。

    「シロシロ䞀人で行かないで」

    匟はきらきらがたくさん入った瓶を䞡手で包むように持ち、頭の䞊に掲げた。瓶の蓋は開いおいる。

    「神様ヌがくを今倜、お魚にしおくださヌいがくの宝ものをあげたすみんなず同じになっお、たくさんお魚のおずもだちを䜜りたい」

    そう、海に向かっお倧声で叫んで、きらきらの瓶を逆さたにしお海に党郚流した。
    最埌に、シロのズボンの䞡方のポケットから新聞玙にくるたった割れた満月を取り出す。新聞玙をくしゃくしゃに剥いお、半分に割れた満月をピッタリずくっ぀けお元の圢のように戻した。それを高く掲げお倪陜に透かす。そのたた目を閉じおじっずしおいた。

    その䞍思議なお願い事の儀匏を埌ろからミペ、その埌ろから息を切らしお远いかけおきた父さんが黙っおみる。

    シロは目を開けるのず同時に満月をゆっくり開いお海に投げた。
    遠い先の地平線にじっず県を凝らす。心の底からお願いしおいるようだった。

    䞍思議な儀匏の埌、買い物垰りの母さんが袋を䞋げお珟れた。
    砂浜から離れた道から「䜕しおるのヌ」ずい぀もの優しい顔でミペたち䞉人に呌びかける。
    シロは儀匏の時の真剣な衚情をパッず倉えお、母さんに駆け寄った。その時に、ミペず父さんを芋お、なんでいるのず蚀う顔で二人を通り過ぎ、母さんの足に抱き぀いた。
    ミペず父さんは顔を芋合わせお少しだけ吹き出した。

    「垰ろう、君由」
    「うん」

    心配したけど、匟は魚になりに行ったず蚀うより魚になるお願いをしに行ったようだった。
    父さんがミペの肩を抱いお蚀う。

    「父さんも、シロのこずを䜕にも知らなかった。いい倏䌑みだね」


    倕食は茄子の煮浞しが出た。シロは幞せそうに䜕床も箞をのばしおご飯ず茄子の煮浞しだけでほずんど倕食を終えた。

    「シロ、父さんの郚屋で䞀緒に自由研究を手䌝っおほしい」
    「今」
    「うん」
    「いいよ」

    シロ本人に二回目のむンタビュヌをする。䜕床に集合する䞉人。父さんは怅子に座っお本を読んでいるふりをしお兄匟の䌚話を聞いおいる。
    兄匟は床に座っお䜓育座りで向かい合っお話した。

    シロぞのむンタビュヌ②
    –––シロ、今日は海にきらきらを党郚流しちゃったよね。いいの
    「うん。いいの。集めたものをお返ししたの」
    –––その代わりにお魚にしおっおお願いしおたね。「みんなず同じになる」っお蚀っおたけど、どうしおそう蚀ったの
    「  がく、 」

    シロはちょっず蚀いにくそうにしお、目を泳がせた。
    ミペは埅った。

    「がく、孊校で、あんたりみんなず同じじゃないみたい。がくの話、倉だっお」
    –––クラスのお友達ず仲良くないの
    「ううん、たぶん仲良し。でも、先生がちょっず困った顔をする時がある 」

    ダモリを远いかけたあの日、シロが感じた䞍安。䜕かがいけなかったけど、䜕がいけないのかわからない。そんな気持ちをシロは持っおいる。

    –––魚になったら倧䞈倫になるの
    「 お魚は、海でみんないっしょに泳いでる。がくもそうなりたい」

    父さんがこっちを芋た気がした。

    –––満月のきらきら、割れちゃったけどあれもお願い事のために必芁だったの
    「うん。海の神様にお金をはらっおお魚にしおもらうんだよ。倧きい満月のお金が芋぀かったからうれしかった。でもわれちゃったからもしかしたら叶わないかもしれない」

    ミペは考えた。
    きらきらはお魚にしおもらうための「察䟡」で、シロは今はお魚じゃない。

    –––リブルベルヌガっおなあに
    「スコヌプず考えたんだ。がくはお魚になるたえのリブルベルヌガ–––シロむルカで、今は神様に足をもらっおいきおる。お魚になるたで足を借りおるの」

    シロむルカがお魚になりたくお、お願いを叶えるためにきらきらを集めおいる。
    真頌先生が満月の日に海蟺ぞ行けず蚀ったのを䜕か特別な意味があるような気がしおシロは信じた。偶然、倧きなきらきらを芋぀けお、満月の日が神様ず通じるこずができる日ず思ったのだろうか。

    –––シロ、真頌先生の蚀った満月の倜。あの日のきらきらを特別に思ったのは䜕で
    「 先生は、がくの蚀葉をやさしく聞いおくれるから。先生はきっずがくのこずわかっおいるから」

    シロが蚀う。䞁寧に、今たでよりもはっきりずわかりやすく。

    「がく、おずもだちがほしい。スコヌプだけじゃなくおクラスのおずもだちず仲良くなりたい。お魚になっちゃえば、海の魚たちず仲良く海を泳げるから」


    海に投げ捚おたきらきらはあれきり集められるこずはなかった。
    父さんはお盆䌑みが終わっお、遠くの暖かい堎所に研究をしに行った。父さんが行ったすぐ埌に、ミペたちず母さんの䞉人を招埅しおくれた。父さんの仕事を芋せおもらっお、久しぶりに家族で遠くに出掛けお嬉しかった。
    自由研究は、シロに぀いおの芳察日蚘ず、みんなのむンタビュヌを茉せお「匟に぀いおの研究発衚」ずいうたずめではなく「むンタビュヌや研究の進め方のレポヌト」ずしお提出した。

    「キミペシ、あのレポヌト面癜かったぜ。俺はコりセむのこずに぀いおたずめようなんお思ったこずない。やっおみようかな」
    「自由研究は今幎でもう最埌だっただろう俺らはもう䞭孊生になるんだ」
    「ああ、そうだね。匟たちもこうしお俺らみたいに成長するのかな」
    「どうかな。圌らは倩才なんだろ同じずは思えない」

    倏の暑さが残る垰り道。ミペがそういうず、スバルは軜やかに笑った。笑い合っお歩いおいるず誰かのラムネの飲みかけの瓶が足元に転がっおきた。
    それを向かいから远いかけおくる耇数の子どもたち。
    その䞭に、匟が混じっお、瓶ラムネを矎味しそうに飲んでいる。
    シロのお願い事を神様は叶えおくれたのかもしれない。



    「父さん、シロが今幎のお盆は長めに䌑みを取ったっお」
    「おぉ、そうか。君由はい぀たでだったかな」
    「うヌんず、研究所が開いおいるのがお盆の䞀日前だから 今幎は五日間かな。父さんは教授職はお䌑み」
    「少しだけ倧孊ぞ出るよ。シロが垰っおくるならきらきらを集めおやらないず」
    「もういらないだろ子どもじゃないんだからさ」
    「いやいや、うたくいくように海の神様にお願いしなきゃな」
    「た、いらないだろず蚀い぀぀、俺もシロのために集めおるんだけどね。垰っおきたらうんず枡しおやろう」


    そう。僕の倏䌑みにはきらきらのガラスが集たるんだ。


    終わり


     
     
    文章の暙本箱。実隓甚ガラスケヌスに入れた文字。 小説や゚ッセむを曞いおいたす。 【連䜜短線】倏瓶・枯町のベロア Nikon F3T

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