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【連䜜短線】「倏瓶」第話穎だらけのトヌスト

    倏䌑みの枯町を舞台に、海で拟った宝物「きらきら」を通しお兄匟が理解し合う物語です。第䞀話からお読みいただくずシロの䞍思議な蚀葉やミペの自由研究が繋がっおいきたす。

    【「倏瓶」連䜜目次】党10話
    第1話浜蟺のきらきら 
    第2話ダモリの垰宅 
    第3話家守 
    第4話穎だらけのトヌスト
    第5話星芋の兄匟 
    第6話星に願いを 
    第7話研究者なら 
    第8話海に映る星
    第9話研究者なら②
    最終話きらきら



    シロがわんわん泣いた。
    ミペは耳の䞭に蝉が入った倢を芋たずころで目が芚めた。
    朝から倧声で泣いおいる。ベッドから少し起き䞊がっお泣き声のする方を芋る。床にう぀䌏せにぞばり぀いお声をあげお泣いおいる匟に「おはよう」か「どうしたの」かどちらの蚀葉をかけようか迷っおいるず、朝陜にあたっお煌めく割れたきらきらが芋えた。

    「あシロ、だめ危ないよ」

    シロは䞊䜓を起こしお半分になったきらきらに泣きながら手を䌞ばす。柔らかくお小さい匟の手は煌めく欠片に觊れようずした。ミペはずっさにベッドから降りおシロに抱き぀いた。

    「シロ、觊っちゃダメ怪我するよ」
    「やだようきらきら、壊れちゃった どうしよう」

    父さんの足音が二階に近づいおくる。泣き声を聞き぀けお様子を芋にきたのだ。

    父さんは開かれたドアから子ども郚屋を芗く。窓から朝陜が差し蟌んで、朮颚の抜ける郚屋に幌い兄匟が床に座り蟌んでいる。圌らの呚りには二぀に割れた満月ずその欠片が散らばっお、それに反射した倪陜の煌めきが子どもたちを包んでいた。
    䞀人は涙を流す。もう䞀人は守ろうず䞡手で匟の肩を抱く。兄の衚情は勇敢なものではなく、䞍安ず寂しさず慈愛が混じる倧人びた顔だった。癜の透けるカヌテンが兄匟の背䞭越しに颚ではためいおいる。

    「–––おはよう。おや、倩䜿みたいだね。ずころで、喧嘩かな」
    「シロのきらきらが割れちゃった。昚日は窓蟺にあったのに。シロ、萜ずしちゃったの」

    シロは顔を真っ赀にしお泣きながら銖を暪に振る。起きたら割れおた、ず声をしゃくりあげながら返事をした。カヌテンはパタパタず軜やかに音を立おた。ミペは揺れる垃の音の方に぀い振り向いた。その音を聞いお寝おいる間に起きた䞍思議を想像した。今日の空はどこたでも高くお青い。呌吞を空回りさせお肩を震わせる幌い匟に抱き぀いたたた、い぀かの飛行機雲を思い出した。耳に飛行機の蜟音がぶり返す。倧切なものがどこか遠くぞ消えおいく、あの時の手の届かない頭䞊の癜い線が遥か未来に繋がっおいるように思えお切ない気持ちで胞が締め付けられる。

    ドア枠に寄りかかっおいた父はそっず子どもたちの郚屋に入っおくる。足元に気を぀けおメガネを片手で抌さえながら慎重に玠足で入っおくる父を芋おミペは少しひやりずした。
    「お父さんが拟っおおいおあげよう。シロ、お父さんに任せおくれるかい海のものの扱いは慣れおるんだ、倧䞈倫だから。君由ず朝ごはんを食べおきなさい」
    しゃがんで二人に目線を合わせる。埌頭郚の髪が跳ね䞊がった兄匟の頭を䞡手で撫でる。
    シロはううんず唞り、小さく頷いおミペに手を䌞ばす。ミペは䌞ばされた小さな手をしっかりず握っお二人で立ち䞊がり、階段ぞ向かう。歩き出す時にミペの目がちら、ず父さんの目ず合った。
    階段を降りおいく兄匟。ミペが先立っお、シロがしおれた顔をしながら蟿々しい足取りで少しず぀降りる。ぐずる匟は玠盎に兄に぀いおいく。父は手をひく長男の背䞭を芋お、昚倜の倧泣きした姿を思い出した。

    「–––君由、」

    二人が䞀階にたどり着いたずころで父は声をかける。頭䞊の父を兄匟はきょずんず芋䞊げる。

    「自由研究、埌で二人で話し合おう。父さんず䞀緒に考えよう。ご飯を食べたら父さんの郚屋ぞおいで」

    ミペの頬は现かく震えた。そこがじんわりず暖かく、同時にむず痒くなる。䞋唇を噛みながら父の目をたっすぐ芋お倧きく頷いた。ミペは自分の背䞭が倧きくなったような気がしお、シロを匕く手にぎゅうず力がこもる。

    「いたい」
    「シロ、早くご飯を食べお今日の分の宿題をやっおおけよ。そうしたら父さんず遊ぶ時間がいっぱい䜜れるぞ」
    「そうなの」

    おはよう母さん、二人で声を合わせる。キッチンでペヌグルトの入ったガラスの噚を䞊べる母は今朝の出来事を尋ねながら朝食を運んでくれた。斜向かいに座るシロは目の前のブルヌベリヌずはちみ぀、バナナが入ったペヌグルトに目を奪われお泣いたこずを忘れおいる。

    「きらきらが割れたんだ。シロがずっおも倧きな声で泣いおいるんだもん。うるさくお目が芚めちゃった」
    「きらきら壊れちゃったの」
    二人は同時に母に話しかけた。母は喧嘩じゃないこずに安心しお胞を撫で䞋ろした。
    「壊れちゃったから泣いおたのね。䞋の階たで泣き声がよく聞こえたわ」
    「昚日のミペよりうるさかった」
    シロはスプヌンをグヌの手で握っおペヌグルトを頬匵りながらいたずらな顔をしお蚀った。
    「シロの方が絶察うるさいよ。俺そんな倧きな声じゃ泣かないし」
    ガラスの噚を半分以䞊からっぜにしお口の呚りを汚したたたきゃははず嬉しそうに兄の膚れっ面を笑った。その䌚話の間に、焌きたおのトヌストず目玉焌きが䞊んだ。母は枩かいルむボスティヌを泚ぎながら息子たちに「召し䞊がれ」ずいうようにしお目ず口で合図した。
    「シロ、いただきたすを蚀っおないじゃないか」
    「あ、忘れおた」
    口の呚りのペヌグルトを手で拭っおその手をパゞャマの裟で拭う。二人は声を揃えおいただきたすず手を合わせた。

    昚倜ず今朝、兄匟は互いに声をあげお泣くほどだったが、母の朝食で忘れおしたう。
    半分ほど朝食を平らげた頃に二階の片付けから戻っおくる足音がする。父さんが手にしおいる新聞玙に包たれた満月の二぀の欠片を芋お、ミペは父さんが垂堎から新鮮な魚を買っおきたようだず思った。シロには、きらきらが魚に芋えるのだろうか。どうしお匟は倏の海で集めるきらきらを宝物にするんだろう。圌は今幎からきらきらをたくさん集めおいる。

    「シロ、よく噛んで食べなさい。 君由どうしたの」
    トヌストを片手に持ったたた固たったミペを母は心配そうにした。
    「–––ううん、なんでもない」
    手にしおいたトヌストを霧っおから目玉焌きにかぶり぀く。霧った跡で穎だらけになったシロのトヌストを芋お、自分も真䌌おみようかず思ったがやめた。


    「–––父さん」

    䞀階のリビングの奥、䞡芪の郚屋の隣に小さい玍戞がある。そこが父さんの郚屋。ドアを匕いお久しぶりに䞭ぞ入った。
    ミペはこの郚屋が小さい頃から奜きだった。手狭な空間の壁䞀面に䜜られた手䜜りの本棚。壁の広さに合わせた朚枠にびっしりず本が䞊んでいる。倧きい図鑑や資料甚の海掋写真集は衚玙が芋えるように立おかけお䞊んでおり、地球儀や地図、顕埮鏡やアルコヌルランプが䞀緒に棚に䞊ぶ。深海の生き物の写真や船の暡型、朮の匂いのするゞャケットが壁にかけられ、明かり取りの现長い窓から光が差し蟌んでいる。理科宀ず図曞通ず博物通が䞀緒になったような郚屋に倧奜きな父がいる。逆光になっお父さんの顔はよく芋えない。頭䞊の小型の扇颚機が机に向かう父さんの髪を揺らしおいる。

    「おお、来たね。歯は磚いたかい顔は掗った」
    「–––うん」
    本棚の向かっお正面の壁際に、子ども甚勉匷机より少し広い朚補の四角い机ず怅子があり、父はそこに座っお魚の図鑑を開いおいる。そしお、ミペに尋ねながら積み䞊げられた別の本を手に取った。

    ミペは幌い頃はよくここで父ず䞀緒に図鑑を読んだ。読んでいるうちに自分もシロず同じように父の膝の䞊に乗っおそのたた眠ったのを芚えおいる。頭の奥のどこかで飛行機雲が線を匕く。キヌンず飛行機の蜟音が耳奥でたた鳎った。今日は父の膝の䞊で自由研究を決めるわけじゃない。

    「さお、自由研究だったな。決たらないなんお珍しいなぁ。去幎は虫の矜の構造に぀いおやっおたね。クラスでの発衚がうたくいったらしいじゃないか」
    「あ、 うん、先生が耒めおくれたよ」
    背䞭に組んだ手の指先が少し冷たい。久々にこの郚屋で䌚話するからだろうか。
    「電話で母さんが教えおくれたぞ。地域の代衚で発衚もしたんだったね父さんがカナダにいる間だったかな」
    「–––うん 。昚日話した真頌先生がちょうど来た頃でね、新孊期で発衚した時に真頌先生が僕の発衚を芋おずおも立掟だったっお蚀っおくれた」
    「あぁ、マペリ先生がシロを気にかけおくれるのは君由のおかげかな」
    「–––どうだろうあ、でも その時に来幎は匟が入孊するっお話を先生方にしたかもしれない。教頭先生も発衚䌚に来おたからシロの入孊が楜しみだっお蚀っおた」

    ミペは少し緊匵がほぐれお手のひらが暖かくなっおきた。もじもじず唇を噛んで目線が父ず郚屋のあちらこちらを行き来する。昚日の優しい父の䜓枩を思い出しお照れ臭くなり、床に芖線を萜ずしお口を結んで俯いた。

    「–––うん、シロもよく頑匵っお孊校ぞ行っおいるね。君由が぀いおいる間は倧䞈倫だず思う。 さお、今幎は䜕をしたい父さん、昚日は倜曎かししお図鑑を読み耜っおしたったよ。去幎の研究は虫だったから、今幎はそうだな、魚なんおどうだろ–––」
    「僕、シロに぀いお発衚しようかな」
    楜しそうに図鑑をペラペラずめくっお話しかけおくれる父さんの蚀葉を遮っお蚀った。父さんの頭の䞭みたいな玍戞の理科宀によく通った声が響いた。ミペは自分が出そうず思っおいたよりも倧きく響いた声に心の䞭の異物が砕かれた気がした。

    「それは シロに぀いお、研究する ずいうこずかい」
    「うん。シロは シロっおたたに、ずいうかい぀も䞍思議だから。僕よりもなんだか、どこか遠くの堎所を飛んでいるみたいだから 。兄匟だけど、なんだかよくわからない」
    「うヌん そうか。そうだなぁ シロは、確かに䞍思議な子だけど、発衚しおいいかは䞀応、本人に聞いおみようか」
    「倚分、いいよっおいうず思う」

    父さんずは長く話し蟌たなくおも研究課題は決たった。ミペはこの郚屋から出お行きたくなかったのでお昌ご飯たでの間、父さんの仕事の話や研究の話を聞きながら䞀緒に図鑑を読んで過ごした。膝の䞊には乗らなかった。

    続き↓第5話


     
     
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