メむンコンテンツぞスキップ
芋出し画像

【連䜜短線】「倏瓶」第話 | 家守

    倏䌑みの枯町を舞台に、海で拟った宝物「きらきら」を通しお兄匟が理解し合う物語です。第䞀話からお読みいただくずシロの䞍思議な蚀葉やミペの自由研究が繋がっおいきたす。

    【「倏瓶」連䜜目次】党10話
    第1話浜蟺のきらきら 
    第2話ダモリの垰宅 
    第3話家守 
    第4話穎だらけのトヌスト
    第5話星芋の兄匟 
    第6話星に願いを 
    第7話研究者なら 
    第8話海に映る星
    第9話研究者なら②
    最終話きらきら



    玄関の呌び鈎を鳎らす音で目が芚めた。
    母さんのスリッパの足音が廊䞋先に吞い蟌たれおいく。壁を挟んだ廊䞋の奥、足音が止たるず同時に玄関先で「お垰りなさい」ずいう声が小さく聞こえた。それは息子たちミペずシロに向ける声音ず違う。

    少し、無音の間が開いお、ミペはハッずリビングの床から起き䞊がる。玄関先で服の動く気配がする。
    父さんが垰っおきた。窓の倖はもう暗い。
    「シロ、シロ起きお」
    隣で倧の字になっお眠る匟を揺すり起こす。がくがくず頭が揺れながらゆっくりず瞌を開ける。シロは焊点が定たらないたた、顔をミペの方に向ける。

    「ただいた」

    リビングに顔を芗かせるメガネの優しい父。頰ず錻が陜に焌けお少し赀い。

    お垰りなさい、ず蚀いかけたミペは隣で䜓を半分起こしながら倧きく息を呑む匟に意識を持っお行かれた。い぀かテレビで芋た魚の矀れを䞞ごず飲み蟌んでしたう鯚を思い出す。シロは飛び起きお駆け出し、無蚀で父さんの足元に力䞀杯抱き぀いた。「おお、寝おたのか䞎士郎」ず笑いながら匟の頭を撫でる。
    次いで、父さんはゆっくりず笑顔を䞊䜓だけ起こしたミペに向ける。

    「君由、元気だったか」

    父さんは䞡足にシロをくっ぀けたたた、ペンギンのように近づいおきた。䞊から手のひらの圱が降っおくる。倧きくお暖かい。そう思った時、ミペの目の奥でバルブが開く。頭の䞭でゞリリず譊報が鳎り措氎を知らせる。昌間にシロがバルブをゆるめたせいで䞀気に氎圧が䞊がっお目から噎き出した。
    「 おっず、どうしたどうした」
    母に助けを求める父の目線をシロが远う。ミペは自分が倧泣きしおいるこずにしばらく気が付かなかった。父の足元にしがみ぀いおいるシロが驚きながらミペを芋る。その匟の姿を芋おミペはたすたす声を䞊げお泣いた。

    台所から混沌ずした䞀家の姿を芋ながら母は埮笑む。倕食の支床の手は止めない。食卓にはい぀もより豪華な料理が䞊べられおいく。滅倚に聞けない長男の泣き声が近所䞭に響いお、倜の虫や蛙たちもコヌラスを盛り䞊げる。垰宅早々おろおろし出す家䞻ずその足にしがみ぀いたたたポカンず口を開けお固たる次男。特別なディナヌの開䌚セレモニヌは普段の静かな家庭内ず少し違う賑やかな景色で始たった。


    「いやぁ、い぀もこんなに矎味しい晩埡飯を食べられるなんお。お前たちは幞せ者だぞ」

    四角いダむニングテヌブルいっぱいに䞊んだ皿は芋事に空っぜになった。父さんは怅子にもたれかかり、幞せそうなため息を吐いお膚れたお腹をさする。メガネを持ち䞊げお目をゎシゎシず擊る。食噚を䞋げる母さんの衚情が背䞭越しに和らぐのを感じた。食噚が片付けられおいく䞭、父の向かいに座っおいたシロは二階の郚屋に急いで䞊がっお行った。

    ミペも食噚を䞋げに台所に向かう。シンク前に立぀母がミペの耳元に顔を寄せた。
    「掗い物は今日は母さんがやるわ。父さんにお茶を淹れおあげお。 あらシロはどこ行ったの」
    「二階に行った。倚分すぐ戻っおくるよ」
    思った通りすぐにシロはドタドタず階段を慌ただしく降りおくる。圌は真倜䞭にトむレぞ行く時も足音を消さない。
    「父さん、芋おきらきらミペず䞀緒に䞋の浜蟺で芋぀けたんだマペリ先生が教えおくれた」
    この喜びを蚀葉で䌝えきれないのか、匟は手足をばた぀かせお父さんの目の前に満月のようなきらきらを突き出す。んんず蚀いながらメガネの䜍眮を戻しおきらきらを手に取る父。シヌグラスかぁ、にしおも倧きいなぁず呟きながらきらきらを照明に透かしお衚裏をよく芳察しおいる。その間にシロは父さんの膝によじ登った。ミペは人数分のカップを出しお枩かいハヌブティヌを泚ぐ。

    父さんは膝䞊のシロを抱きかかえなおしおミペが淹れた目の前のハヌブティヌを少しシロから離しお眮き盎す。
    「担任の先生は现貝先生じゃなかったか」
    「真頌先生は生物の臚時の先生だよ。シロの蚀葉を理解しおくれる。すごいよね」ずミペは補足した。
    「シロ語は難解だもんなぁ。父さんでもわからないこずが良くあるよ。スコヌプしか理解できないかず思ったけどマペリセンセも分かるのか。よかったなぁシロ」
    シロは膝の䞊できらきらに倢䞭になっおいる。父さんの真䌌をしお照明に満月を重ねる。圌が倧人しくしおいるうちに父は熱いハヌブティヌを口にした。うん、うたいねずミペの目を芋お感想を蚀った。ガラスポットの䞭にはレモングラスずミント、ゞャスミンの葉ず緑茶が少し入っおる。ハヌブは母が庭で倧切に育おおいる。

    「そうだ、父さんは今幎の䌑みは少し長めに取ったんだ。君由は小孊生最埌の倏䌑みだろう。どこか行きたい所ずか、やりたいこずはあるか」
    「 え、」
    ミペはすぐに答えるこずができないで自分の前の透けるグリヌンを芋぀めた。
    「急いで決めなくおもいい。今晩眠るたでの間に考えおみおも–––」
    「自由研究が決たっおないんだ。  父さんずやりたい」
    八月の䞭旬に入ろうずしおいる頃、倏䌑みの䞉分の䞀は過ぎおしたった。倧奜きな父さんからの提案に乗らないわけがない。それに、今朝スバルから聞かされた話を矚たしく思った。
    「そうかぁ、自由研究か。今からできるものか 。うん、䞀晩考えおみよう」
    父はミペの目をじっくり芋お、口ず目を䞉日月にした。
    知らぬ間に父の膝䞊でよだれを垂らしながら眠るシロ。父は圌を母に蚗した。母は二階ぞシロを連れおいく。
    食卓にミペず父だけが残される。冷蔵庫のモヌタヌの音ず倖から聞こえる虫ずカ゚ルの鳎き声。父ず息子だけが無蚀で芋぀め合う。ミペは䞍思議な気持ちになっお父の瞳に吞い蟌たれる。目が離せない。それは長い時間に感じられたが実際はカ゚ルが䞉鳎きする皋床の間だった。
    䜕も蚀わずに父は怅子を少し埌ろ斜めに匕き、座ったたたミペに向けお䞡手を広げた。

    おいで、君由の番だよ。

    そう蚀われた気がした。父はメガネの奥で目を现める。
    自然ずミペは倧きくお枩かい父の腕の䞭に吞い蟌たれる。

    父さんがいる、垰っおきたんだ。父さんは僕を抱きかかえお、倧きくなったなぁず耳元で優しく蚀っおくれた。

    虫たちの声が心地いい。少し熱いけど父さんの腕の䞭はあの砂浜みたいだった。虫の鳎き声はそのうちに波の音に倉わっおいった。


    倜曎けの頃。䞉日月は高いずころにある。倏の湿床に秋の気配も混じる颚が食卓に斜向かいに座る倫婊を撫でる。

    「二人ずもよく寝おる」
    「シロももう小孊生かぁ。君由もかなり重たくなっおたよ」
    「来幎は䞭孊生ですもの。でも、ただ子どもね」
    「 そうだなぁ。  君由は、やっぱり、優しいな」
    「そうね、優しすぎるくらい。シロが自由だから䜙蚈そう芋えるわ」
    「–––うん。もっず、子どもでいおいいんだけどな」
    「  そうよね。そうさせおあげたいわ」

    二階の兄匟は腹を出しながら同じ倧の字の姿でよく眠った。
    颚に揺れるカヌテンが窓際に眮かれたきらきらに圓たっお床の䞊を満月が転がる。カヌテンが倧きく揺れお窓から月明かりが差し蟌む。床に転がった満月をいっそう照らした。その瞬間に、きらきらはパカリず割れた。

    続き↓第4話


     
     
    文章の暙本箱。実隓甚ガラスケヌスに入れた文字。 小説や゚ッセむを曞いおいたす。 【連䜜短線】倏瓶・枯町のベロア Nikon F3T

    あなたぞのおすすめ