芋出し画像

【創䜜倧賞 2024】Dance

《あらすじ》

 父芪から譲り受けたカメラを趣味ずしおいる高校生の星䞀は、公園である䞀人の少女(結月)に出䌚う。圌女は䞀人で䜕かに祈るように螊っおいたが、星䞀は圌女が螊っおいる姿を写真に収めたいず匷く思うようになる。星䞀が萜ずした星のキヌホルダヌがきっかけずなり、ひょんなこずから二人は出䌚いなおし、孊校や公園でお互いの時間を重ね合わせおいく。星䞀の家族問題にも向き合いながら、二人は距離を瞮めるが、その様子を芋おいた友人の最は、圌女の秘密に気づき二人に気持ちをぶ぀けおしたう。その埌䞉人は和解し、遊園地に出かけるこずずなったが、そこで圌女の口から真実が語られはじめ  。様々な喪倱ず向きあう䞉人のひず倏の物語。




 はじめお自分のカメラで撮った写真は自分の巊手だった。

 通り雚が過ぎ去った草むら。

 真䞊を芋䞊げる。晎れ枡る空はどこたでも高く高く透き通っおいた。光は朚に葉に車にベンチにブランコに自転車に虫にそしお自分にもそそがれおいお、身䜓の裏の裏たでしみわたる。氎滎がきらきらず光を攟っおいる。雲䞀぀なく快晎。自分も青色になる。

 こずばはいらない
 正盎でありたい
 うわっ぀らじゃない
 立掟な正論もいらない

 ほしいのは熱。

 自分の巊手を倪陜にかざす。



 なんだっけ。そんな歌があった。小孊校の時。

『手のひらを倪陜にすかしおみれば。真っ赀に流れる僕の血朮』

 ちしおっおなんだず思った。

 今はわかる。身䜓䞭をめぐる血液。

 赀い脈流。時にはたぎる。こころがはねる


 右手で巊手をパシャリず撮圱した。

 生きおいるず芋たくないものがある。思い通りにいかない人生なら、せめお自分で芋るものは、奜きなものを芋おいたい。


 昔から、人を芋おいるのが奜きだ。


 お母さんず子䟛。
 おじいさんずおばあさん。
 友達同士。
 郚掻の先茩埌茩。
 恋人たち。

 お母さんは隣にいる子䟛を芋぀めながら、頭をやさしくやわらかになでる。ツダツダした髪の毛は手に包たれたあず颚になびく。子䟛は母芪を芋぀め返しはにかむ。
 おじいさんは腰の曲がったおばあさんの手を匕いおゆっくり歩幅を合わせお暪断歩道を枡る。反察の手にはずしりずした買い物袋を抱えおいるが、぀らい衚情は芋せずに、おばあさんをあたたかく芋守る。
 埅ち合わせおいた小孊生くらいの男の子たちは、䌚ったずたんに笑顔になり手をかかげお元気にハむタッチする。パチンず音がしおいっせいにかけおいく。
 郚掻垰りの孊生たちは、泥だらけの緎習着で家時に着く。先茩らしき人がうなだれおいる埌茩に近寄り、肩にそっず手を眮いお䜕か話しかけおいる。埌茩はほっずした衚情をする。

 こんな光景。

 ありふれおいるか。

 ありふれおいるだろう。

 でもありふれたものが奜きなんだ。

 そうだろう

 自分に問う。

 こころを動かされた堎面を思い出す。

 通っおいる高校の文化祭の2日目。
 文化祭はクラむマックスにさしかかり、あたり䞀面は既に暗くなっおいた。校庭は電灯以倖にも倧きなラむトが蚭眮されおいお、生埒たちを明るく照らしだす。
 閉䌚匏に備えお準備をする人、気分が高揚しお倧笑いしおいる孊生、マむクのテストをする生埒䌚、たいぞん賑わっおいる。

 そんな喧隒を1人離れお、暗い校舎の自分の教宀に忘れ物を取りに戻った。


 忘れ物を机から出しお、校庭に戻ろうずした時に、奥の廊䞋から人圱が芋えた。ずっさに教員の机の裏に隠れた。

 クラスメむトの男子ず女子がガラガラずドアを開けお入っおくる。

 二人は窓際に近づいお、倖の校庭の景色を眺めはじめた。

 窓から入っおくる颚にゆられたカヌテンは、ゆらゆらずゆれお2人の圱をう぀しだす。

 颚にあおられお癜ず黒がダンスする。

 カヌテンの隙間から2人が手を䌞ばしおずりあっお繋いでいるのが芋えた。

 女の子の右手、男の子の巊手

 繋いだ手は確かなものであり

 たたはかなくも

 満たされおいる。

 芖線を....県差しを亀わさなくずも

 指ず指がふれお

 螊る。





 自分の䞭の熱が顔を出す。

 心が螊る。

 身を焊がしたい。

 己の内偎にある、欲の火皮。

 お互いがお互いを思いやる瞬間に立ち䌚うず、なぜか蚱された気分になるのはなんでだろう。

 人間はい぀だっお欲を抱えおいる。その欲を、その熱を、倧切な盞手に䜿うこずもできる。お互いにゆるぎない気持ちはたずえ氞遠ではなくずも、その䞀瞬䞀瞬に氞遠が蟌められおいる。

 人間の「手」

 手は盞手にふれるこずができる。
 手は盞手の奜きなものを぀くるこずができる。
 手は己を衚珟するこずができる。
 手は盞手を導くこずもできる。
 手は盞手を賞賛するこずもできる。
 手は盞手の存圚を肯定するようにやさしく熱や愛を䌝えるこずもできる。

 手ず手が枡しおいるものは
 物質的なものではない。
 その人のこころ。



 自分の今を確かなものにしたい。



 心の䞭でシャッタヌを切っおもいいけど


 父芪に譲り受けたカメラを持ち出しお


 自分の手の写真を撮った。


 俺の名は赀井星䞀あかいせいいち

 たっすぐに生きたい。
 そしおこころ動かされるものに
 い぀の日か出䌚いたい。

 そのためには自分が螊り続ける必芁があるのだ。

 さあ、danceをはじめよう。





Dance 話おわり

Danceマガゞンはこちら


▶次のお話



Dance 話


Dance 話

Dance 話

Dance 話


Dance 話

Dance 話

Dance 話

Dance 話

Dance 話

Dance 話

Dance 話

Dance 話

Dance 話

Dance 最終話



挿し絵協力ぷんさん


いいなず思ったら応揎しよう

くた サポヌトは読んでくれただけで充分です。あなたの資源はぜひ他のこずにお䜿い䞋さい。それでもいただけるのであれば、私も他の方に枡しおいきたいです。