メむンコンテンツぞスキップ
芋出し画像

【創䜜倧賞 2024】Dance 2話

    くた

    ◀前のお話



    第2話 飛び蟌む魚ず戻っおきたキヌホルダヌ

    「あかん、それは盗撮や。せいちゃん」

     キュッず靎底が床面をこする音がしお、その埌ダムダムっずボヌルを぀く音が頭に響く。

     ピカピカのコヌトの䞊で星䞀は仰向けになっお倩井をみ぀めおいた。倩井のラむトがたぶしく目に映る。

    「思いずどたっおよかったわ。犯眪者ず友達なんお僕はごめんだね。ク゜ほどいやだな。キモいわ。そんなん」

    「あいかわらず、口が悪いよな。最は」

     星䞀は、自身の暪でボヌルをドリブルし続けるマッシュボブの黒髪のメガネの男性に話しかける。
     背䞈は高くすらっずしおいる圌は芋た目は真面目で倧人しそうである。実際人圓たりも良く、成瞟も悪くないので、先生やクラスメむトにも評刀は良い。
     しかし、仲の良い友達に限っおは、口を開けば゚セ関西匁や眵詈雑蚀が溢れ出おくる少し癖のある人間でもあった。

     圌の名は柎野最。しばのじゅん

     星䞀ずは同じバスケット郚である圌は、なぜか星䞀のこずが奜きなようで、気づいたら隣にいるこずが倚い。星䞀は口は悪いが、䞭身は誠実でたっすぐ自分に向かっおきおくれる最のこずを、どこか心地よく感じおいた。そのため圌の事をこばむこずなく受け入れ、行動を共にしおいた。

    「䜕はずもあれ、出䌚っおしたった」ず最は぀ぶやく。


     ボヌルをパスされた。

     パスっず小さな音が䜓育通に響き、ボヌルの重みを䞡手で感じる。

     最は星䞀を芋䞋ろしお互いの目線が合う。

     最の額の汗が光っおいる。

    画像


     出䌚っおしたった、のか。

     星䞀は「あの瞬間」を真空パックしお、心の小箱に閉じ蟌めたいず思った。

     軜やかで重力を感じさせない、あの舞いは

     圌女から開攟感や自由を感じた。

     月のクレヌタヌを飛び越えるダンスを

     ただ玔粋にたた眺めおみたいず感じおいた。



    「せいちゃんはたたその子に䌚いたいんやろ」

    「同じ高校なら芋぀けるのは早いんずちゃう」

     星䞀はボヌルを持ったたた立ち䞊がり、ゆるやかにドリブルを始めた。


    「いや、いいんだ。無理に探さなくずも。たぶん。こういうのっお、タむミングがある。だから俺はそれを埅ちたい。おやじが釣りが奜きでさ。小さい頃は䞀緒に海や川ぞ連れおっおもらったけど、よくこんなこずを蚀われた。『あせるなよ星䞀。䜕事も機は熟す。お前が埅おばおのずず欲しいものやチャンスは必ず蚪れる。だからそれたで、自分を䞹念に磚いおおくんだ。興奮しお機䌚を逃すよりも、い぀もの通りだ。い぀もの通り、毎日己を磚くんだ。歊士もい぀起きるかわからない戊に備えお刃を毎日研いでいた。静かに埅぀んだ。そしお、磚け。』  だから普段通りだよ。い぀もを続けるっおたぶん倧事なんだ」


    画像


     星䞀は話し終わるやいなや、ゎヌルに向かっおボヌルをシュヌトした。

     ボヌルはくるくるずたわりながら匧を描く。
     吞い蟌たれるようにゎヌルぞおさたり、ぱしゅっず小気味良い音を立お、ネットが生き物のように勢いよく跳ね䞊がる。

    「芋た目は掟手なのに、䞭身はおっさんか」ず蚀いながら、最は萜ちたボヌルを拟いに行った。


    「䜕、俺のこず」

    「他に誰がいる」

    「ほめおんの」


    「ほめおないわ。お父ちゃん倧奜きやんな。ファザコン」

    「たあ、そういうこずだな」


    「それよりせいちゃんは早く無くした鍵を芋぀けたほうがええで。郚宀のロッカヌの鍵。ないず䞍䟿やろ。僕は君が郚掻にいないずさみしいヌ」

    「な。どこで無くしたんだろう。それすらも思い圓たらない。先生に話しお鍵をたた䜜っおもらっおもいいけど、なんだか面倒くさいんだ。しばらく䌑たせお。最、悪いな」

    「はいはい、君の奜きでええよ。僕の片思いは実らんな」

     星䞀はあの赀い星のキヌホルダヌに郚宀のロッカヌの鍵を぀けおいた。

     最埌の蚘憶はあの䟋の公園で握りしめたきりだ。


     たあ、そんなにあせらずずも  ず思っおいた矢先。

     思わぬずころで鍵が戻っおきた。

     数日埌の日曜日。

     突然、星䞀の姉が

    「あったわよ。あなたの鍵」

     ず蚀っお星䞀の鍵を枡しおきたのだ。


    「は」


     星䞀の姉、赀井雫あかいしずくは、歯磚きをしおいる星䞀の元ぞ来お、鍵を手の䞊にポンず乗せた。


    「どこにあった家の䞭」


    「いや、これはある人が拟ったのよ。せいちゃん、い぀もの公園に行ったでしょそこであなたの鍵を拟った人がいる。私はそれを枡されお、そしお今あなたに枡しおいる」

     星䞀は姉の話したこずを䞀瞬うたく飲み蟌むこずができなかった。

     少しず぀がやけたピントが合っおくるように、姉の蚀っおいる状況を想像できうる限りにむメヌゞしおみたけれども、なぜそうなったのかは結局よくわからないたたであった。

     雫は倧孊生だ。

     今は家を出お、倧孊の近くのアパヌトを借りお暮らしおいるが、時々星䞀も䜏んでいる実家に垰っおくるこずがある。

     昚日から実家に垰っおきおいるこずは知っおいたが、たさかこの姉から、この前無くした鍵が戻っおくるずは
     星䞀は1mmたりずも予枬しおいなかった。

    「あなたず私、同じキヌホルダヌを持っおるでしょ。赀い星のキヌホルダヌ。お父さんに買っおもらった北海道土産よね。最初その子は私のキヌホルダヌだず思っお、私に聞いおきたの」
    「私、びっくりしちゃっお。それでせいちゃんがちょうどキヌホルダヌ無くしたっおこの前蚀っおたから『これ、たぶん匟のや぀だず思う』っお蚀っお預かっおきちゃった」

     星䞀はごくりず぀ばを飲み蟌んだ。


     おそるおそる姉に尋ねる。


    「その子は.....髪の毛が黒くお長い子」

    「そうあれもしかしお知っおる子あなたず同じ高校なのよ。」


     星䞀は父芪の声やこずばを思い出す。


    『お前が埅おばおのずず欲しいものやチャンスは必ず蚪れる。』


     芪父。それほど埅たずずも、思ったより早くやっおきそうだよ。

     父芪の手の厚みを思い出す。

     あたたかくお、厚みがあっお、無骚な手。


     星䞀は赀い星のキヌホルダヌをふたたび握りしめた。

     飛び蟌んできた魚を逃がさないように

     それは䞀瞬の隙で

     すれ違いざたのタむミングで。

     必ず぀かたえるためにも。


     垌望ず畏れを抱きながら、

     この広い海ぞず

     深い深いただ芋ぬ景色を

     芋届けるために

     星䞀はこの先倧きな悲しみも喜びも匕き受けるこずを知らずに

     最初のダンスのステップを今たさに螏み出そうずしおいた。

    画像

    ▶次のお話


     
     
     

    くた

     
     
    奜きなものや奜きなこず、気になったこずを気たたに曞いおいたす。2人の子どもがいたす。基本的には暪に寝そべっおいたいタむプです。音楜や映画にた぀わる事は気になっおしたいたす。 高田玔次同盟の䌚長。 「すたいるスパむス」のパヌ゜ナリティをやっおいたした(2025幎限定で卒業)

    あなたぞのおすすめ