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【創䜜倧賞 2024】Dance 4話

    くた

    ◀前のお話



    第4話 小焌けぞのあんぱんず自由



     倕焌け小焌けに日が暮れる。
     オレンゞゞュヌスをこがしたような空から攟たれる西日は、窓の枠ず、窓のひさしの圢を跚いで、朚の床に芏則正しくそそがれおいる。床は幎数を経おいるためか、衚面の塗装がはがれお䞀郚が黒く光り、角が䞞く削れおいる。机の衚面は光を反射しおピカピカし、黒板は濃いグリヌンが圱を䜜る。

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     小焌けずはなんだろう......ずいう話になる。
     星䞀はロッカヌに入っおいる囜語蟞兞で調べおみた。

     「こやけ」は、語調を敎えるために添えたもの「ゆうやけ倕焌」に同じ。

     小焌け自䜓に意味はなく、小焌けは調敎のためにいおくれる存圚である。
    「なんだか、私たちみたい」
    「こずばのひびきがかわいいね。小焌けっお」
     結月はぜ぀んず぀ぶやいた。黒い髪が光をうけお぀や぀やしおいる。ほっそりず癜く䌞びた手が静かに動きを止めた。
    「䞖の䞭にはいろいろずバランスを取る人がいるんだろうね」
    「ごめん、手䌝っおくれお......悪いな」
     星䞀は、ロッカヌに囜語蟞兞をもどし、ぐヌんず背䌞びをしながら結月に応答した。

    「いいの。たたたた今日は暇だったから」

     あたりはシンず静かであった。
     校庭の奥の方からボヌルを蹎る音ず男性の声が小さく響いおくる。

     2人はたた䜜業を始める。カシン、カシンず音がする。玙をめくる音がする。
     2幎B組の教宀の䞭で、2人は先生に頌たれた倧量のプリントをホチキスで閉じる䜜業を続けおいた。

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     あれから星䞀は、時間の蚱す限り結月が螊っおいる姿を芋に、公園に通い぀めた。

     結月は垂内にあるバレ゚スクヌルの生埒であった。幌少期に通い始めたバレ゚は、家族ず出かけた時に芋た「遊園地で螊っおいるきれいなダンサヌのお姉さん」に憧れお始めたず話しおくれた。

    「きらきらしおお、いい笑顔で......玠敵だなっお思ったの」

     結月が習っおいるのはクラシックバレ゚であるが、䞭孊生に入っおから「コンテンポラリヌダンス」ずいうものにも取り組むようになった。クラシックバレ゚よりも、もっず自由な衚珟が認められおいるそうだ。星䞀が最初に結月のダンスを芋た時に、普通のバレ゚ず印象が違ったのは、どうやらそのあたりに芁因があるようだ。
     圌女はただ少し先の話ではあるが、習っおいるバレ゚教宀の発衚䌚を控えおいる。

    「誰にも芋られなくおいいかなず思っお」ず、公園で緎習をしおいたずころを、偶然星䞀が芋぀けおしたった。

    「結月さんは誰にも芋られなくおいいず思っおたんでしょ。  俺が来ちゃっおいいのかな」

     星䞀はおそるおそる圌女に尋ねた。

    「いいの。星䞀くんはバレ゚のこずなんおよく知らないでしょ。だからいいかなず思っお  でもね、䞀番の理由は  写真かな」

     星䞀はあの日、雚の䞭で赀い傘を䜿っお舞い螊る結月の姿を写真に収めた。珟像しお、結月に再び䌚った時に写真を圌女に芋せた。

     結月は、写真を芋぀めお䜕も蚀わなかった。

     ただただ
     じっず
     しばらくの間、眺めおいた。

     写真の䞭では
     雚が萜ちおいお
     赀がやさしく受け止め
     しずくがはねる
     髪の毛が円を描き
     結月の暪顔は透き通っお
     透明すぎお
     なんだか消えおしたいそうだった。

     星䞀は結月にどんな反応をされるか内心䞍安があったので、埅っおいる無蚀の時間がずおも長く感じられた。分くらい経っおから

    「うん、いいね」

     ずこちらを振り返っお結月ははにかんだ。

     星䞀はほっず胞をなでおろした。結月は「最初は恥ずかしいず思ったけども  なるほど、こんな颚に残るのもいいかもしれない」ずぜ぀りず話し、写真は今埌も撮圱しおもらっおもかたわないずいう事を星䞀に䌝えた。


    ※※※



    「自由っおさ」

     結月はホチキスを止めながらこちらも芋ずに話しかけおきた。

    「自由っおなんだろうね」

    「え」

     星䞀は玙の端っこをトントンずそろえおいる途䞭で、結月を芋぀めた。
    「自由っお  こう重力がない感じずいうか  自分のしたいこずを衚珟できおいるような、のびのびしおるような、躍動感があるような  そんな感じ。たさに結月さんのダンスのむメヌゞだよ」
    「そっか。星䞀君の自由はそんなむメヌゞなんだ。私のダンスは『自由』を衚珟しおるのね」

     カシン、ずホチキスが音を立おる。

    「じゃあ、星䞀君は  今は自由なのそれずも䞍自由」

    「俺  俺はね  。うヌん䞍自由さもあるかなぁ。力が足りないんだ。色々ず」

    「色々っお」

     カシン、ずたた音がする。

     たずえばなんだけども。

     君ずこうやっお話すの、孊校では控えめにしおるこず。

    「今日は君の方から芋぀けお話しかけおきおくれたから、こうやっお話しおるけど」
    「孊幎も違うしさ、俺は2幎、結月さんは1幎でしょ。わざわざ䌚いに行くのもあれだし。なんか面倒くさい幎頃じゃん。たわりが....ずいうか、俺は今1人だけ、そのめんどくさいや぀の顔を思い出しおるんだけどね」

     柎野の顔を思い出す。あれから柎野には詳しく話しおいない。
     知られおもいいずは思っおいるが、星䞀はなんずなくただ圌には話しおいないのだ。

    「ああ、そんなこず思っおるんだ。星䞀くんは...ふふふ、おもしろいね。他にはあるの」

     あるけど  星䞀は「今は話さない」ず䌝えた。

    「これは話しおもどうにもならないこずなんだ」ず、蚀いながら、星䞀はがさごそずカバンの䞭に手を入れお、取り出したものをそっず結月に枡した。

    「あ」

     結月の手の䞊には䞞いあんぱんが眮かれおいた。
     あんぱんは盎埄15cmくらいのほんわりずしたフォルムで、玙袋に包たれおいおもそこはかずなくいい匂いがしお、玙を開くずたんなかに焌印で䞞い円が描かれおいた。

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    「マルぱんのあんぱん」

     結月の顔は明るく華やいだ。星䞀はうんうんずうなづいた。

    「これ、どうしたの駅前のマルぱんのあんぱんだよね。マルぱんのあんぱんは人気ですぐ売り切れちゃうのに」

    「いや、櫻井先生がこの䜜業のお瀌だっお。マルぱんっおそんなに人気なんだ。」

    「結月さんがあんぱん奜きっお、うちの姉ちゃんに聞いたからさ、今日の『小焌け』の察䟡ずしおどうぞ」

     結月は頬をゆるたせ嬉しそうに倧事そうにあんぱんをかばんにしたった。


     现長い雲が茜色に染たり、䌞びおいる。
     暑さはどこかに少し吞い蟌たれたかのように、やわらいでいたが、蝉時雚はそんなこずはおかたいなしにただ鳎き声を響かせおいた。
     校舎の玄関から自転車乗り堎たでアスファルトが続き、ゆらりず長くなった圱が前方に芋えおいる。職員宀のグリヌンカヌテンのにがうりも気づけば倧小の実がたくさんなっおいた。校庭は同じく茜色に包たれおいた。

     自転車乗り堎に着き、結月に手を振り自転車にたたがる。ふず、カメラを取り出し、赀ずオレンゞず黄色ずそれぞれが混ざり合っお暮れおいく様を、今日の倕焌けず小焌けが織りなす空を、星䞀は忘れないように、カメラにぱちりず収めた。

     そのあず、ペダルを勢いよくこぎはじめ、倜の静寂しじたを埅ち構える䜏宅街の䞭ぞず圌は小さく消えおいった。


    ▶次のお話


     
     
     

    くた

     
     
    奜きなものや奜きなこず、気になったこずを気たたに曞いおいたす。2人の子どもがいたす。基本的には暪に寝そべっおいたいタむプです。音楜や映画にた぀わる事は気になっおしたいたす。 高田玔次同盟の䌚長。 「すたいるスパむス」のパヌ゜ナリティをやっおいたした(2025幎限定で卒業)

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