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フェロモン感知課長ヒミコ「貎女、銙っおたすよ」最終話『あなたが奜きでした』

    前回のお話


    「私、知っおるんです」

    犏原が投げた爆匟は、なんずしおでも私がこの堎で凊理しなくおはならない。

    「䜕を知っおるの」

    「この䌚瀟の圹員の方の䞍祥事です」

    「どんな」

    私は䞀切の動揺を芋せず、ただたっすぐず犏原を芋た。

    切り札だったな。

    でもその切り札をどう䜿う
    犏原。


    「関さんが、女性瀟員に性亀枉したず聞いおいたす」


    な、なんだ。その話か。
    切り札にもならんな。

    でも、これから新CEOを迎えるにあたっお、取締圹のスキャンダルはたずいな。ずりあえず、内容をもっずきちんず聞いおおこう。


    「それは具䜓的にどのような話で聞いおたすか」


    たず倧事なのは、肯定も吊定もしないこずだ。

    「同期の間で噂になっお、みんな䞍安に感じおいたす」

    「うん、そんな話聞いたら怖いよね。どんなこずがみんなの耳に入っおいるのか教えおくれる私がちゃんず最埌たで察応するから」

    犏原は、思いのほか私が動揺にしおいないこずに䞍服そうだ。

    「関さんが、女性瀟員をホテルに誘っお、関係を持っお、それが原因で女性瀟員がやめたず聞きたした。同じようなこずがたた起きたら怖いし、でも取締圹に誘われたら断れないし、そのような人を圹員にしおいお倧䞈倫かずいう声があがっおいたす」

    「ん。教えおくれおありがずう。お話はごもっずも。事実関係をきちんず明らかにしたうえで、この件に぀いおは私が察凊するから、安心しお」

    「はい」

    玠盎に返事したけど、なんかただ腹に䞀物ありそうだな。嫌な予感がしたので、瀟長宀に連れおいく前に私は念を抌した。

    「犏原さんは、異動を受け入れるずいうこずは、この䌚瀟で続けおいこうずいう意志で間違いないかな」

    「はい」

    「わかった。そしたら䞀぀だけ忠告しおおくね」

    犏原が緊匵した面持ちで私を芋る。

    「さっきの関さんの話は、私が必ず然るべき察応をずるから、今からする瀟長ず関さんずの面談では、䞀切、この件に぀いおは觊れないっお玄束しお。もし、そこで話を出しおしたったら、最悪の堎合、もみ消されるかもしれない。きちんず解決したいから、この件の党おは私に任せおくれるかな」

    「わかりたした」

    しっかり䌝わったずは思う。

    犏原を瀟長宀に連れお行った。

    瀟長ず関に囲たれお、犏原は淡々ず決定事項を聞いおいた。瀟長は犏原が安党に仕事ができるように、ずいう気遣いを芋せた。

    関も「䜕かあれば、日野が必ず力になっおくれるし、俺たちも協力するから」ず犏原の機嫌をずった。

    するず。

    「異動は受け入れたす」

    犏原が急に話し始めた。

    「でも、玍埗のいかないこずが䞀぀ありたす」

    瀟長が怪蚝な顔をしお、「なんだね」ず聞く。

    私は内心「爆」 。これしか出おこなかった。

    「ある取締圹の方が、女性瀟員ず身䜓の関係を持ちたした。それが原因でその女性瀟員は退職したした。セクハラに盞圓するず思いたす。私たち新卒は、その件をずおも䞍安に感じおおり、圹職のある方がそのような行為をされるこずを䌚瀟ずしおはどのようにお考えなのか知りたいです」

    たぁ、ツラツラず雄匁に語るこず。
    でも、もずもず埡前様や関が反察したのに、この女を採甚したのは瀟長だ。そしお、やらかしたのは関。二人が責任もっお回収しおくれよ、もう。

    急に瀟長が怒り口調で蚀った。

    「瀟長であるこの私が信甚しお取締圹にしおいる人物に察しお、䞍満のある奎はやめおいい」

    いや、そういうこずじゃないでしょ。
    ツッコミどころ満茉なんだけど。
    こういうずころが”人情掟”っおや぀なんだろうな。
    息子さんが心配する理由がわかった。

    関が口を開く。

    「それは蚌拠があっお蚀っおいるこずですか」

    めずらしく敬語だ。
    関も怒っおんな、これ。
    でもお前は自業自埗だぞ。

    「蚌拠はありたせん」

    犏原が匱匱しく答えた。
    私は差し蟌んだ。

    「この件に぀いおは、私が党責任を持っお調査いたしたす。その䞊で、適切なご察応をしお頂けたらず存じたす。新卒の瀟員たちにも䞀床、説明の機䌚を蚭ける予定でいたす」

    瀟長が険しい顔のたた、犏原をにらみ、静かに説き䌏せる。

    「そういうこずだ。日野くんの察応を埅ちなさい。しかし、あなたはしかるべき蚌拠もなく、我が瀟の圹員の名誉を傷぀ける発蚀を、よりによっお瀟長である私にしたした。たた、人事異動に぀いおも、私が信甚しおいる人事郚長の刀断に異議があるず盎接私に申し出おきたした。あなたは、この䌚瀟でなんの暩限があっお、圹員や私が承認したこずの決定を翻そうず思っおいるのですか。理䞍尜な蟞什であれば聞く耳も持぀が、あなた、業務䞍履行だっお聞きたしたよ。あなたの勀務態床で、誰があなたの意芋を聞き入れたすか」

    犏原は泣かなかった。
    恐れおいる様子もなかった。
    肝の据わった女。
    さすが倉態フェロ女だな。

    関が続けた。

    「もう䞀床、犏原に確認したす」

    「蟞什を受け入れお瀟に残りたすか」

    「それずも、蟞衚を曞きたすか」

    犏原は平然ずした態床で䞀蚀で回答した。


    「蟞めたす」


    私は犏原を連れお人事郚に戻った。
    退職届の甚玙を枡し、翌日持っおくるように、ず䌝えた。

    犏原は䜕も蚀わず、退職届を持っお退瀟した。
    私も必芁以䞊の話はしなかった。
    この女、最初から蟞める぀もりだったか。
    「続ける぀もり」なんお嘘は、匕き止めさせないための最滑油だったか。真意はわからないけど、圌女の態床は䞀貫しおいた。

    「続ける」ず蚀った時も、「蟞める」ず蚀った時も。
    芖線は䞀点に集䞭し、姿勢は埮動だにしなかった。
    䞀瞷の迷いすら芋せなかったのだ。
    どちらを回答する時も。
    最埌の最埌で君を称賛するよ。
    怖い女。


    瀟長宀から瀟長の怒号が聞こえた。
    関が怒られたんだろうな。

    たたたたそこに、埡前様が出勀しおきた。
    出勀ずいっおも、もうすぐ転勀だ。
    荷物を取りにきただけ。

    「なに、関、瀟長に怒られおんの」

    ニダニダしながら埡前様は私に寄っおきた。

    「はい。サリヌの件です」

    「なんで、今曎」

    「犏原が、瀟長ず関さんの前で暎露したした。しかも、事実をゆがめお盛った状態で」

    埡前様は、感心したように銖を振っお「犏原、やるなぁ」ず楜しそうに蚀った。

    埡前様にずっおは、いたや、瀟長も関も味方ではないもんね。今たでだっお、たくさん思うずころはあったんだよね。そういえば、埡前様の新䜓制の䞭に、関の名前はなかったもんな。いい加枛な関を、埡前様は仕事盞手ずしおは評䟡しおなかったのかも。

    「ヒヌちゃん、これ」

    埡前様が急に倧きな玙袋を枡しおきた。
    ゚ルメスだった。

    バヌキンが入っおる 。

    「新品だから♡逞別」

    「こんな高䟡なものもらえたせんおば」

    「いいの、いいの。ヒヌちゃんにはたくさんお䞖話になったし、䜕よりすっごく楜しかったし、それに 」

    それに 

    「こんなもの受け取ったら、私のこず、忘れられないでしょ♡」

    「こ、こわいです、埌藀さん」

    「じょヌだんでもほんずに、ヒヌちゃんが䜿っお」

    困惑しながらも䞡手に぀かんだ゚ルメスのバヌキンの入った玙袋は、玙袋ずは思えない重厚感があった。そしお埡前様が私に耳打ちする。

    「ごめん、私のお金で買っおないの。臚時収入♡」

    うわ その金の出どころがなんずなくわかっおしたうのが怖い。

    「ヒヌちゃん、䌚瀟を頌んだわよ」

    やっぱり 。誰かさんからの手切れ金なのか慰謝料なのか、逊育費なのかわからないけど、その呪いを私によこしおきたわけだ。䌚瀟ず䞀緒に。

    埡前様は最埌たで埡前様だったな。

    その日で、埡前様は䌚瀟に来るのは最埌だった。
    明日から実家や色々なずころに挚拶に回っお、来週には枡米するらしい。

    垰りがけに埡前様ず高田が腕を組んで、私に蚀った。

    「宮厎ずの結婚匏は呌んでね♡」

    「しないですっおば」

    お二人はずは聞けなかった。
    耇雑な事情を知っおるから。

    ゚ントランスたで二人を芋送っお、戊友たちは行っおしたった。

    再出発


    埡前様ず高田が枡米し、新しいCEOの発衚があった。
    ヶ月埌には赎任しおくるらしい。

    犏原も、面談の翌日にすぐ退職届を出し、あっさりず蟞めおいった。
    あの面談の時、すでに芚悟が決たっおたんだな。
    人事郚を埌にする犏原は、今たでに芋たこずのない枅々しい衚情だった。

    「犏原さん、あなたならどこでもやっおいけるでしょ」

    私は無蚀で送り出す぀もりだったのに、圌女の凛ずした姿を芋お、蛇足な送蟞を述べおしたった。

    「ありがずうございたす。ヒミコさんが色々気遣っおくださったのに、すみたせん」

    あれ、人間じゃん。

    「謝らなくおいい。私もあなたも、粟䞀杯やったんだから。”自分なり”にね。でも䞀぀だけ蚀わせお」

    ああ、犏原が人間だず思ったら、蛇足アドバむスが次々出おくるわ。私も甘っちょろいね。

    「優しい男には気を付けお」

    犏原が目を倧きくしお私を芋る。
    「あんた、宮厎さんずデキおるんじゃないの」ずいう顔だ。
    自分がフラれた偎だず思っおいたのか。
    じゃ、このアドバむスは効き目のあるものだね。

    宮厎さんは 

    「優しい男はね、”誰も遞ばない”」

    菩薩のような笑顔で圌女を送り出した。

    犏原は党お腑に萜ちたような顔で、お蟞儀しお去っおいった。圌女もかなりのツワモノだったけど、ただただ甘ちゃんだったっおこずね。

    私たち、敵同士だったけど、


    倱恋同士でもあったね。


    フ―っずため息を぀いお、深呌吞しお、犏原問題の終結を噛みしめた。
    党お終わった。
    良かった。

    あず、もう䞀぀倧事な仕事。

    関のスキャンダルに぀いおは、新卒たちを呌んで私から説明をした。

    「関さんの件で、新卒の皆さんが䞍安に感じおいるこずを聞きたした。ただ、皆さんの聞いた話は事実ずずいぶんず違いたす。関さんは、その圓該女性瀟員に蚀い寄られおいたした。その女性瀟員は他の耇数の男性瀟員にも同じようにお誘いしおいたした。関さんにおいおは、飲み䌚の垰りに酔ったから介抱しおほしいず頌たれ、䞊着のボタンをはずし、嘔吐の手助けをしたした。それは他の瀟員もその堎にいたので蚌蚀が取れおいたす」

    嘘は぀いおいない。
    これは私が発熱で䞭座した飲み䌚での出来事だ。䞉朚から蚌蚀を取っおいる。私が垰った埌、䜕をやっずるんだず呆れたが、たさかこの゚ピ゜ヌドが圹立぀ずは。

    「そのあず、関さんが圌女を家たで送っおいきたした。関さんは飲んでいなかったので、車で送っおいたす。圌女は実家䜏たいでしたので、ご家族に匕き枡した埌、関さんは垰宅しおいたす。そこも人事郚がその翌日に報告受けおおり、勀怠の関係もあり、本人ずも確認できおいたす」

    これも事実だ。関から、サリヌが泥酔したこずを受け、欠勀扱いにしないから䌑んで良いず私が電話したから。

    「そのこずで、噂があらぬ方向で膚れたした。退職した女性瀟員が吹聎したものであるず、他の瀟員から蚌蚀が取れおいたす」

    党郚、䞉朚だけど。

    「以䞊、調査結果です。少しでも䞍安や䞍理解があったら遠慮なく蚀っおね」

    満堎䞀臎で玍埗したずいう回答を埗た。

    関を呌んで、誀解を招き隒がせたこずに謝眪させた。

    新卒を垰した埌、私は関に説教した。

    「二床ず、こんな猿芝居はしたせんからね」

    「肝に銘じたす」

    「瀟長にどれだけ怒られたんですか」

    「次はクビ」

    「圓たり前です」

    関は、どうしお私が関を擁護したのか聞いおきた。
    関をにらみながら蚀っおやった。

    「人手䞍足」

    ははは、ず関は楜芳的に笑う。
    こい぀もこい぀で図倪い神経しおるわ。
    これから、この男ずタッグ組んで仕事するのか。
    尻ぬぐいが倚そうだ、ずほほ。

    でもたぁ。

    「あず、レむンボヌブリッゞドラむブのお瀌ず、高玚焌肉のお瀌です」

    「ヒミコ、倧奜き」

    「爆匟おこずわり」

    関は笑いながら、自分の持ち堎に戻った。
    奥さんずは再構築䞭らしい。
    どうでもいいけど。


    最埌の銙り


    その倜、宮厎さんから食事に誘われた。


    「お疲れ様です」

    い぀もはビヌルなんだけど、今日は宮厎さんがオシャレなレストランを予玄しおくれたから、ワむンにした。

    ワむングラスを揺らしながら、やっず䞀連の問題が片付いた安堵で、宮厎さんの顔をゞッず芋぀めおしたった。

    今、私、出おるね。

    自分から挂う、
    フェロモン感じる。

    目の前にいる宮厎さんが、同僚ではなく、男ずしお映っおいるんだ。

    堎所のせいかな。
    こんな玠敵なレストランを私のために予玄しおくれたから。

    ホッずしたのもあるかな。
    もう終わった関係だず思うず、逆に玠盎になれるっおのもある。
    決しお振り向いおはくれないずわかっおいれば、もう顔色を䌺うこずも、遠慮する必芁もない。


    宮厎さんも萜ち着いた衚情。

    「ほんず、ヒミコさんには、なんずお瀌を蚀ったらよいのか。自分が思った以䞊に、蟛かったです」

    宮厎さんには申し蚳ないこずしたず思っおる。
    私の嫉劬で芋えなくしおしたった圌の苊しみ。

    「いいえ、私こそ、ずっず盞談を受けおいたのに、察応がこんなに遅くなっおしたっお」

    「そんなこずないです。タむミングずしおは、ここしかなかったず思っおいたす」

    宮厎さんの優しい蚀葉に、今たでの苊劎が救われた気がした。
    それから私たちは他愛のない話をした。

    か぀お、お互い広報郚に配属されたばかりの時に、意気投合したあの時に、戻った気がした。

    でも、あの時のように手攟しで楜しめるほど、今ずなっおは、私たちの関係は薄くはない。もう䞀床、玠盎にお互いを感じあえるこの時間が、どれだけ貎重なのかを私たちはもうわかっおる。

    「ヒミコさんは、もう広報郚には来ないんですか」

    「そうですね、人事郚長になっおしたったし、これから新しいの䞋で、関さんずゎリッゎリに鍛えられるそうです」

    宮厎さんが寂しそうな顔をする。
    私は励たす぀もりで、ちょっずした気䌑めを蚀った。

    「同じ郚長ずしお、これからも䞀緒に頑匵りたしょう。人事郚ず広報郚はい぀も連携しお仕事しおたすし」

    「そうですね」

    なんずなく、䞊の空な宮厎さん。

    食事を終えお、私たちは少し倜道を散歩した。
    みなずみらいの海からの颚がもう肌を刺す寒さで、冬が近づいおきおいるのだず感じた。少し震えるず、宮厎さんがゞャケットを貞しおくれた。

    こういう時、私はい぀も遠慮しおしたうけど、もう私はか぀おの女傑ヒミコじゃない。フェロモンをうたく䜿うっお決めたんだ。

    私は宮厎さんのゞャケットを矜織りながら、ぎゅっず握りしめた。
    圌の銙りがする。

    しばらく、無蚀で倜道を歩いた。

    自転車が暪切るたびに、宮厎さんが私をかばうように肩を抱く。

    たずいな。
    噎出しおくるのを感じる。
    このフェロモンの銙り、宮厎さんにも䌝わっおる

    圌の顔を芋䞊げた。

    うん、䌝わっおる。

    圌はい぀もの同僚の顔ではなく、男の顔になっおいた。

    私、このたた圌に委ねおいいかな。

    圌の手が、行先を迷うように私の肩の䞊で緊匵しおいる。


    あず少し。

    あず少しで、私たち。


    その瞬間、宮厎さんの手は私の身䜓から離れた。

    え


    「今日、じ぀は、ヒミコさんに倧事な話があっお」


    プロポヌズずか告癜ではないこずがわかる、声のトヌン。



    「倧䞈倫ですよ、どんな話も、聞きたす」







    「金沢の実家に垰るんです」






    え




    「実家が旅通をやっおたしお、匟が継ぐ予定だったんですが、その匟が事故で車いすになっおしたっお。父芪ももう歳だし、旅通ばっかり倧きくなっお人手䞍足で前から垰っおこいずは蚀われおたんです。でも、実家を継ぎたくなくお東京出おきお、たったく関係ない仕事たでしお、ここたできたのに、はいそうですかっお受け入れられなかった」


    ああ 。あの「実家に顔出す」っお、このこずだったんだ。
    たた芋萜ずしおた。
    私、ほんず、今たで䜕しおたの 。


    「匟さんはもうずっず車いすなんですか」

    「リハビリをしおいるので、数幎埌に車いすを手攟せる可胜性はただありたす。しかし、それたで父芪が持぀かどうかっお問題でもあるんです」


    そっか、数幎埌にたた埩垰しおください、っお線ももうないんだね。



    「もう、決心されたんですね」

    「はい」





    「぀らいなヌ。私、ずっず宮厎さんず䞀緒に仕事できるず思っおたから、なんか、蟛いし、寂しいです。もちろん、ご実家こそ宮厎さんが必芁ですから、心から応揎しお送り出したすけど」



    「さびしい、です」



    蚀えた。

    粟いっぱい玠盎な気持ちを䌝えた。

    涙がこがれそうで、宮厎さんの顔を芋られなかった。

    あ、宮厎さんのゞャケットに䞀滎の雫。

    私の恋の痕跡。

    そのうち也いお消えおしたうね。



    「未子さん、顔をあげおください」



    「あれ今、私のこず名前で呌んでくれたした」



    「んずっず、『未子さん』っお名前で呌んでたしたよ」



    宮厎さんの甘い声ず優しい笑顔。


    そっか、私が勝手に「ヒミコ」っお聞こえおたのか。
    確かに、宮厎さんだけ少しむントネヌションが違うなっお思っおたけど、圌はずっず私のこずを、


    名前で呌んでくれおいた。



    「未子さん」



    圌に呌ばれた名前は、倜に響く「おやすみなさい」より甘く銙しかった。





    「奜きです」



    「同僚ずしお、ですよね」



    「いいえ」




    「未子さんは、玠敵な女性です」



    「最初から、女性ずしお奜きだっお、䌝えおたしたよ」



    バカ、ヒミコ。
    バカだなぁ、本圓に。
    なんで今たで気づけなかったんだろう。
    バカだなぁ。


    宮厎さん、ちゃんず私を

    遞んでくれおたじゃない 。






    「金沢には、来られないですよね」





    声を出しお泣いた。

    すんごく泣いた。

    明日になっおも也かないくらい、宮厎さんのゞャケットの袖を涙でぐしょぐしょにしおしたった。



    「新しいがいらしお新䜓制になる前に、退職しようず思っおいたす。明日あたり人事郚に退職願をだせば、䞀ヶ月で匕継ぎしたずしお、間に合いたすかね」




    私は涙で濡れた目で宮厎さんを芋䞊げ、力の入らない声で、返事をするこずしかできなかった。


    「 はい」


    最寄り駅に着いおしたった。
    私がゞャケットはクリヌニングしお返すず䌝えたら。


    「いいえ、このたたください」

    「せめお、未子さんの銙りに抱かれお今日は眠らせおください」


    宮厎さんは優しい手぀きで私からゞャケットをはがし、それをたた着た。


    「では、たた明日」


    最埌たで宮厎さんは、倧人で、さわやかで、優しくお。



    甘いフェロモンの銙りがした。



    地䞋鉄にの入り口に向かう宮厎さんのゞャケットのすそを぀かんで、これだけは今蚀わないずいけないず思っお匕き留めた。






    「奜きです」



    「ずっず前から、倧奜きです」




    宮厎さんは枩かい手で私の頭をポンポンず撫でた。
    そしお、もう䞀床蚀った。





    「金沢に来たせんか」







    「私は、郚長、日野未子です」

    「その鎧を捚おお䞀緒に 行きたかった 。でも、それはできないんです。仕事が奜きなわけでも、責任感でもなく、ただの日野未子が、鎧を捚おる勇気がない 」

    涙声で必死で話しおいる間、宮厎さんはずっず肩を寄せお頭を撫でおくれおいた。私は宮厎さんのゞャケットに顔をうずめお、5秒数えた埌、圌から身䜓を離し、ここだけは毅然ずした態床で、さよならを告げた。


    「明日、人事郚でお埅ちしおおりたす」

    「おやすみなさい」



    宮厎さんも優しい声で蚀った。


    「おやすみなさい」


    圌の目に涙が萜ちおいたのを、

    私は忘れない。

    圌の銙りも。


    その埌、残ったもの


    宮厎さんが退職しお、䞀ヶ月が経った。
    私はしばらく、恋愛はごちそうさたっお感じだし、正盎、最埌の最埌で宮厎さんにべた惚れしおしたったので、今は圌に淡く片思いしおいる。

    どうしおも奜きなら、仕事なんおかなぐり捚おお、金沢たで远いかければ良いんだし、仕事だっお、私が抜けおも、䌚瀟は回るんだよ。

    そう思っおいるのに、そんな日が来ないこずも、わかっおるんだ。

    あたりにも綺麗に終わりすぎた私たちに、そこから続く未来はない。

    䞍思議なこずに、あれから、誰のフェロモンも感知できなくなっおしたった。自分が圓事者になったこずで、もう、人の銙りなのか自分の銙りなのか、わからなくなっおしたった。

    それず、感知しおた頃の私が思うより、フェロモンは危険なものでもなかった。

    運甚の問題だっおこずがわかったから。

    むしろ、䞊手に掻甚できなかった今たでがもったいなかったず思っおる。

    それに、自分のフェロモンを認めたこずで、他人のフェロモンをもっず理解できるようになった気がするんだ。

    䞡想いずいう倱恋を経隓しお、私は、自分の未熟さず、向き合う勇気の足りなさを痛感した。

    だから、もし、たた私の身䜓からフェロモンが出るようになったずきは、ちゃんず頑匵りたいず思う。


    さらに月日が経ち、が来日するのがずいぶんず予定より遅れ、4月の新幎床に合わせお来られるずのこず。

    私は関ず、盞倉わらず軜口を蚀い合いながら、人事ず広報、䌚瀟を回した。

    瀟長は息子が戻っおくるこずで、毎日ご機嫌で、もう匕退の準備に入っおいる。


    4月。
    が来瀟。



    たずい 。




    むケメンすぎるだろ 。


    しかも独身。35歳。
    私ず2歳差。

    ああ。

    私のフェロモン感知機胜。

    やっぱり、壊れおなんかなかったらしい。


    いや、爆匟はおこずわり。
    自爆もおこずわり。

    こうしおたた、ほんずのほんずに、新たなステヌゞが始たった。


    完



    最埌たで読んでいただきありがずうございたした

    【予告】
    フェロモン感知郚長ヒミコあなたの銙り、頂戎したす
    近日䞭にリリヌス
    郚長になったヒミコが新しいフェロモンずの付き合い方で、どんな新䜓制の䌚瀟を切り抜けおいくか。ずの関係にも芁泚目。



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    youtube挫画動画の挫画起こしを5幎ほどしおいたした。 AI生成むラスト研究䞭。 挫画配信しおいきたいずころですが、 なかなか制䜜時間がないので、 小説やプロットで配信したり、 時にむラストでコラム描いたりしたす♪

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