
化粧のあとに⓪――はじめに
舞台がはねる。化粧を落とすと、鏡に素顔が戻る。
それでも、演じた役は、身体の中に残っている。
かつて演じた役をめぐる旅に出た。
私は、岐阜県郡上市の地芝居「気良歌舞伎(けらかぶき)」の役者です。素人です。
舞台で生きた五人――加古川本蔵、早野勘平、大星由良之助、武部源蔵、熊谷直実――のゆかりの地を訪ねました。
この連作「化粧のあとに」は、その記録です。
本編①〜⑤は旅の紀行、補遺⑥〜⑩はその土地と芝居をめぐる考証、⑪で旅を閉じます。
どこから読んでいただいても構いません。歌舞伎を知らない方も、どうぞ。
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■ 目次
【本編】紀行
① 閑けさの山科――九段目の加古川本蔵(仮名手本忠臣蔵)
② 花曇りの萱野――六段目の早野勘平(仮名手本忠臣蔵)
③ 華やぎの祇園――七段目の大星由良之助(仮名手本忠臣蔵)
④ 水音の芹生――寺子屋の武部源蔵(菅原伝授手習鑑)
⑤ 煌めきの須磨――熊谷陣屋の熊谷直実(一谷嫩軍記)
【補遺】考証
⑥ 岩屋寺記念館の遺品(①の補遺)
⑦ 萱野三平と早野勘平 史実と芝居のあいだ(②の補遺)
⑧ 祇園一力と伏見撞木町(③の補遺)
⑨ 武部源蔵は実在したのか(④の補遺)
⑩ 須磨寺伝承と『熊谷陣屋』(⑤の補遺)
【エピローグ】
⑪ エピローグ