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数匏小説『シュレヌディンガヌのΊ』➃黒川譊郚の捜査仮題

    初めに特に黒川譊郚にスポットを圓おるわけではないので、サブタむトルは未定です。党䜓の䜍眮付けの䞭でサブタむトルを考えおいきたす。

    远蚘黒川譊郚の雑談を少し加えたした。小説は雑談、および䜕でもない描写が䞀番難しいかもしれない。数孊をやっおいるせいか、盎線的に曞こうずしおしたう。勉匷のために、普段は読たない小説を読んでみるず、ある意味「無駄」な衚珟がその䞖界芳を䜜っおいるような気もするが、どうなんでしょうか

    䜜品テヌマ文字皋床

     東京垝郜倧孊の藀沢教授が行方䞍明ずなった。
     藀沢研究宀の修士課皋幎の枅氎は、藀沢研究宀の雪村講垫から、藀沢の教え子であった量子力孊の倩才、䞉枚堂教授を玹介され、圌ず䌚う玄束をする。
     䞉枚堂から量子力孊を孊ぶに぀れお、「芳枬しお初めお事象は぀に決定し、芳枬しなければ事象は『重ね合わせの状態』である」ずいう量子論の原理が、藀沢の足取りず亀差し、枅氎は圷埚うこずになる。
     䞀方、ゲヌデルの䞍完党性定理を専門ずする雪村のもずで、その孊問を孊ぶに぀れお、枅氎はその「䞍完党性」ぞず迷い蟌む。
     䞉枚堂の「量子力孊」ず雪村の「䞍完党性定理」をテヌマに、同じ事件が衚局を倉えおパラレルに進む理数系ミステリヌ。

    前回たでのあらすじ

     月日、神奈川にあるセミナヌハりスで、東京垝郜倧孊、藀沢研究宀の雪村講垫の研究発衚䌚が行われる予定だったが、藀沢教授の行方䞍明により、発衚䌚は䞭止になった。
     同じく藀沢研究宀の修士課皋幎の枅氎は、藀沢教授の控宀に曞かれた

    iℏ∂∂t∣ψ(t)⟩=H^∣ψ(t)⟩月日\begin{align*} i\hbar\dfrac{\partial}{\partial t}\ket{\psi(t)}=\hat{H}\ket{\psi(t)} \\[8pt] \hspace{35pt}{\small 月日} \end{align*}

    ずいう数匏、および、泥に汚れた赀いレヌサヌバむク、芋芚えのない富士山の写真、足音のような音声ファむルなど、いく぀かの謎を抱えながらも、雪村先生から玹介されお、東京理工科倧孊の䞉枚堂教授に䌚いにいくこずにした。
     そこで䞉枚堂教授から、自分が藀沢教授ず䌚ったのは発衚䌚圓日ではなく、前日であったこずを聞く。前日に藀沢教授ず量子力孊の勉匷䌚を開き、発衚䌚圓日は藀沢教授ず䌚っおはいないずいう。発衚䌚が始たるたでの間、赀いバむクでツヌリングに出かけおいたずいう話だ。
     枅氎は、䞉枚堂教授からシュレヌディンガヌ方皋匏に぀いお簡単に教えおもらい、その埌、シュレヌディンガヌ方皋匏のプラケット衚瀺ず量子論理のテキストを倧孊賌買郚で賌入し、垰路に぀く。その途䞭、倧孊の駐車堎に、赀いバむクが駐車されおいるのに気づいた。そのバむクは泥で汚れた写真のバむクず同じもので、䞉枚堂教授のものであるず思われるが、泥がきれいに取り陀かれ、たるで展瀺品のような光沢を攟っおいた。
     そのずき、倧孊四幎の埌茩である坂井から連絡が入った。
     藀沢教授の車が、セミナヌハりスから離れた山道の厖で芋぀かったずいう知らせだった。

    本文スタヌト

     坂井から連絡のあった次の日、僕は藀沢先生の車が芋぀かったずされる神奈川の山間郚ぞ向かうこずにした。
     事務の話によれば、藀沢先生は、東京垝郜倧孊のセミナヌハりスから離れた山道で、車ごず厖から十数メヌトル䞋に滑萜したらしい。厖䞋には緩やかな川が流れおおり、藀沢先生の車は厖の途䞭で倧朚に匕っかかる圢で発芋された。しかし、藀沢先生本人は芋぀かっおいない。譊察は川に萜ちた可胜性も含めお、呚蟺の捜玢を続けおいるずのこずだ。

     雪村先生の研究発衚䌚の日、藀沢先生はそこに向かったのだろう。
     その山道に車で向かおうず、スマヌトフォンを開いお地図を確認した。囜道を走り、セミナヌハりスを通り過ぎた先にその山道の入り口はあるらしく、囜道から巊折しお山の方ぞず続いおいる。さらに、その山道は山の奥で行き止たりになっおいるようだ。
     セミナヌハりスを越えおさらに先だけど、今からだず昌過ぎにはそこに着くかな。
     僕はナビを頌りに珟堎ぞ向かうこずにした。

    「ここか」
     セミナヌハりスぞず続く巊折道路を通りすぎ、きれいに舗装された囜道を時間ほど進むず、その山道の入り口があった。メむン通りの巊手に、土ず砂利がむき出しの道が䞊に続いおいる。この先に芋぀かった珟堎があるようだ。
     メむン道路は䜕床か通ったこずがあったが、ここに山道があるずは知らなかった。長く続く倧きな道路からトンネルを抜け、登りや䞋り、巊右に曲がりながら続く道の途䞭にその山道はひっそりず䜇んでいるため、気づきにくい道であるこずは間違いない。
     道幅は広くはないが狭すぎるわけでもない。特に立ち入り犁止の暙識もなかったので、その山道を車で登っおいくこずにした。先日の倧雚の圱響で路面は少しぬかるんではいるが、運転に支障はない。呚囲は背の高い朚々で芆われおいるが、葉が萜ちおいるので芋枡しはよい。僕はゆっくりず、その道を登り始めた。

     登り続けるず、氎の音が次第に倧きくなっおきた。川の存圚を確認しながら進むず、右偎には厖が続いおいる。ガヌドレヌルはあるものの、所々にすき間があるので緊匵感が高たる。この䞋に川が流れおいるようだ。
     巊偎は急な厖で、敎備はされおいるものの、手のひらほどの岩が点々ず萜ちおいる。厖から斜めに生えた朚々のトンネルを進むに぀れお、呚囲はしだいに薄暗くなっおきた。このたた進んで倧䞈倫なのかず䞍安になっおくる。
     分ほど進んだずころで急に芖界が開けおきた。呚囲の朚々が切り倒され、明るい景色が広がっおいる。
     人がいる。
     黄色いヘルメットず反射ベストを着た人がこちらを芋おいる。向こうには倪い䞞倪がきれいに積み重ねられおいる。䌐採珟堎の譊備員だろうか、䜕気なく通り過ぎようずしたら、その人は近づいおきた。僕は車の窓を開けるず、その人は疑わしそうな顔をしお僕に尋ねおきた。
    「譊察の方ですか」
    「いいえ」ず答えるず、この先は譊察の捜査のために入れないず教えられた。事故珟堎はその先にあるらしい。
     自分は行方䞍明の藀沢先生の孊生であるこずを䌝えるず、少し迷った衚情を芋せたが蚱しおくれた。この先に進むず巊偎に駐車スペヌスがあるず教えおくれた。

     分ほど車を走らせるず、パトカヌが数台止たっおいた。しかしその先は芏制線が匵られ、数人の譊察官が立っおいる。やはり、それ以䞊先には進めないようだ。僕は空いおいるスペヌスに車を止めお、呚りを確認しお車を降りた。そしお、譊察官の芖線を感じながらも芏制線の方ぞず近づいおいった。
    「君は」
     誰かが声をかけおきた。
    「君はどなた」
    「あっ、僕は藀沢研究宀の枅氎ずいいたす」
    「藀沢教授のれミ生」
    「はい、修士課皋に圚籍しおいたす」
     その人は少しだけ背䞭を䞞め、色あせたトレンチコヌトを矜織っおいる。人懐っこそうな目をこちらに向けお、ほんの少し笑みを浮かべおいる。
    「神奈川県譊の黒川です」ず手垳を芋せた。黒川譊郚、神奈川県譊の刑事のようだ。
    「なんで君はここに」
    「ここで先生の車が芋぀かったず聞きたしお  」
    「ああ、そう」ずうなずき、じっず僕の目を芋た。
    「いや、僕はただ芋に来ただけで、特に䜕も  」
    「いやいや分かっおいる」ず黒川譊郚は暪に手を振った。「藀沢先生の元で勉匷しおいたんだ、偉いですね。勉匷は難しいですか」
    「はい。でも先生は䞁寧に指導しおくれるので、ずおも分かりやすいです」
    「そうですか。ずころで、れミ生ずいうこずは、倱螪圓日は研究発衚䌚でセミナヌハりスに」
     倱螪圓日に研究発衚䌚があったこずを知っおいるようだ。
    「はい、朝時前に先生ずセミナヌハりスで䌚っお、その埌どこかに出かけお行ったようです。発衚䌚の始たる午前時たでには戻るず僕に䌝えたんですが」
    「どこに行くのかは䌝えなかったの」
    「はい」
     黒川譊郚は手垳にメモを取り始めた。
    「前日に先生ず䌚った」
     手垳に萜ずしおいた芖線をこちらに向けお、前日のこずを尋ねおきた。
    「いや、僕は前日に先生ず䌚っおいたせん。前日は量子力孊の勉匷䌚で、東京理工科倧孊の䞉枚堂教授ずお䌚いしおいたようです」ず、昚日䞉枚堂教授本人から聞いた話を䌝えた。
     黒川譊郚は、たるで僕が重芁参考人であるかのように、こちらに芖線を向けおいる。そしお手垳に目を萜ずし、口元を匕き締めお、床うなずいた。
    「藀沢先生の専門をお聞きしおもよろしいですか」
    「はい。先生は数理論理孊が専門で、最近は量子論理の研究をされおいたようです。その研究のため、量子力孊の専門ではなかった先生は、専門である䞉枚堂教授ず勉匷䌚を開いたようです」
    「䞉枚堂教授から量子力孊に぀いお教えおもらおうず、それで前日に」
    「そのようです」
    「ずころで、䞉枚堂教授ず君ずの関係は」
     黒川譊郚は片眉を䞋げおこちらを芋おいる。たるで僕が犯人であるかのような芖線ず口調に気圧される。
    「雪村先生から圌のこずを教えおもらいたした」
    「昔から圌を知っおいたわけではなく」
    「はい。昚日初めおお䌚いしお、そこで前日に藀沢先生ず勉匷䌚をしおいたず聞きたした」
    「雪村先生も前日に」
    「いっ、いや䜕も蚀っおなかったので、雪村先生は圓日に来たず思いたす」
     雪村先生のこずを聞いおくるずは思わなかった。黒川譊郚はうなずきながら、再び手垳に目を萜ずした。メモを取らず、確認するように手垳をめくっおいる。
     少し沈黙が続く。
    「藀沢教授はキャンプに興味あった」
     突然぀かぬこずを質問しおきた。藀沢先生がキャンプに興味があるずは聞いたこずがない。ただ、調理噚具などが車に積んであるのは芋た蚘憶はある。はっきりずはしないが、僕はそのこずを正盎に䌝えた。他にも䜕か情報を埗ようずしおいたので、圓日に撮った写真を黒川譊郚のスマヌトフォンに転送した。するず黒川譊郚は䞀枚の写真に顔を近づけた。
    「この赀いバむクだけど、この泥は」
     僕にスマホの画面を向けた。僕も気になった赀いバむクの泥だ。昚日、䞉枚堂教授本人から、発衚䌚の始たる前に赀いバむクでツヌリングに出かけ、その際に泥が぀いたず盎接聞いたこずを玠盎に話した。倧孊の駐車堎にもそのバむクがあったので、確信は持おないが、この赀いバむクは䞉枚堂教授のものかもしれないず䌝えるず、黒川譊郚は玍埗しおいる様子だった。他の質問にも正盎に答えおいった。
    「捜査のため、連絡先をお䌺いしおもよろしいでしょうか」
     僕は連絡先を教えるず、黒川譊郚はがさがさの頭をかきながら「ありがずう」ず向こうに歩いおいった。
     垰り際、振り返っお「もう䞀぀」ず人差し指を立おた。
    「ずころで、量子力孊っお䜕」
    「いや、僕もあたり知らなくお、ミクロな粒子を支配する孊問のようです」
     先ほどたでの険しい衚情ずは打っお倉わり、穏やかで優しい衚情になっおいた。
     分かっおいるのかどうか、なるほどず、床うなずき、ありがずうず頭の䞊に手をかざしお、芏制線の䞭ぞず入っおいった。

     これより先には入れないし、厖䞋に䞋りお藀沢先生を探せるわけもない。ここにいおも仕方がないず、僕は垰るこずにした。時蚈を芋るず午埌時前。ここに着いおから分ほど経っおいた。
     垰る途䞭、先ほどの譊備員がこちらを芋おいた。
    「そうだ」
     この雚でぬかるんだ道路、黒川譊郚も気にしおいた赀いバむクの泥。
     僕は車を止め、譊備員に圓日の様子を䌺っおみた。
    「すみたせん、日前の月日のこずですが、その日の午前に、赀いバむクがここを通るのを芋かけたせんでしたか」
     譊備員は䜕だろうずいう顔をしたが、すぐに答えおくれた。
    「ここにずっずいたわけではないので確かなこずは蚀えないけど、自分は芋なかったね。知らないうちに通りすぎた可胜性もあるけど、分からないなあ」
    「ありがずうございたす」
    「そうそう、刑事が同じこずを聞いおたよ。たしか黒、黒 . 」
    「黒川譊郚ですか」
    「そうそう黒川譊郚」
     黒川譊郚が捜査をしおいたようだ。
     䞉枚堂教授は赀いバむクでこの山道を通ったのだろうか
     そのバむクの泥は、先生の行方䞍明ず䜕か関係があるのだろうか
     䜕も手掛かりが぀かめないたた、僕は垰路に぀いた。

    数匏解説線

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    い぀か理数系の物語を、数匏入りで映像化するのが倢。 字ショヌトショヌトもやっおいたす数孊蚘事に専念するため今は䌑止䞭。 字はコチラ → https://short-short.garden/author/808121 理数専門の孊習塟経営 数理十九

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