ここでは微分方程式について解説します。難しい微分方程式を解けるようになるのが目的ではなく、微分積分などの基本をマスターしたレベルで、微分方程式とはどういうものかを理解するのが本記事の目標です。
読むにあたっては、先に書いた
中学でも分かる①「微分法」
中学でも分かる➁「積分法」
の知識を当たり前のように使うので、分からない場合は最初に読んでおくことをおすすめします。
また、本シリーズの過去の内容も多く出てくるので、その都度戻るか、最初から本シリーズを読んでおくことをお勧めします。前回までの記事が次の記事で出てくるような構成になっています。
微分方程式とは
次のような式を考えます。
dxdy=2x ⋯(∗1)
まず、dxdy とは y を x で微分するという意味です(中学でも分かる①「微分法」)。
つまり、この式の意味するところは、
「なにか y=f(x) という関数があったときに、その関数 y を x で微分すると 2x になること」
すなわち、
「y の導関数が 2x になること」
を意味しています。
するとこの (∗1) 式から、さかのぼって微分する前の関数 y=f(x) を求めることができます。
ではどのように求めるのか?
そのためには、(∗1) 式の両辺を x 軸方向に積分します(中学でも分かる➁「積分法」)。
∫dxdydx=∫2xdx
∫□ dx は x 軸方向に積分するという記号です。
ここで、左辺と右辺を別々に見ていきましょう。
(左辺)について
左辺は、y を x で微分したもの dxdy を x 軸方向に積分しているので、元に戻って y となります。
dxd 微分するydxdy 積分する∫□ dx
厳密には、積分定数 C1(任意の実数値の定数)が付きます。
dxd 微分するy+C1dxdy 積分する∫□ dx
下の「←」の操作を行うので
(左辺)=∫dxdydx=y+C1 ⋯(∗2)
なお、この計算はあたかも分数の計算のように、形式的に dx で約分することが可能です。
(左辺)=∫dxdydx (dx で約分)=∫dy=∫1 dy=y+C1 ⋯(∗2)
最後の ∫dy は「1 を y 軸方向に積分する」という意味です。どの方向に積分するかは、dy の y という文字に着目します。参考までに、次の違いに注意してください(C は積分定数)。
∫dx=x+C(x 軸方向の積分)
∫dy=y+C(y 軸方向の積分)((∗2) の計算)
∫dz=z+C(z 軸方向の積分)
この(左辺)の計算では、最初は x 軸方向の積分 ∫□dx でしたが、形式的に dx で約分することによって、y 軸方向の積分 ∫□dy に切り替わっていることに着目しましょう。
では次に
∫dxdydx=∫2xdx
の右辺を計算します。
(右辺)について
右辺は、2x を積分をして
(右辺)=∫2xdx=2∫x2dx=2⋅21x2+C2=x2+C2 ⋯(∗3)
C2 は積分定数(実数値の定数)です。
すると (∗2)=(∗3) より
y+C1=x2+C2
C1 を移項して
y=x2+C2−C1
定数部分をまとめて C2−C1=C とおくと
y=x2+C
以上により
dxdy=2x ⋯(∗1)
を満たす関数 y は
y=x2+C
となります。積分定数は1つの文字 C でまとめておきます。最後に C を使いために、途中の計算では C1, C2 を使っています。
この (∗1) のように、未知の関数の導関数を含む等式を微分方程式といいます。
一般に、ある微分方程式を満たす関数を、その微分方程式の解といい、その方程式のすべての解を求めることを、その微分方程式を解くといいます。
先の微分方程式
dxdy=2x ⋯(∗1)
を解くと、その解は、C は任意の定数として
y=x2+C
となります。
一般解とは
微分方程式を解くと、任意の定数を含んだ解が得られます。このような任意の定数を含む解を一般解といいます。
定数部分を、一般的に C などの文字を用いて表した解が一般解です。
問題としては次のような形で出題されるので、次のように簡潔に解けばよいでしょう。
問題 次の微分方程式を解きなさい
dxdy=2x ⋯(∗1)
解答
y=∫2x dx=2⋅21x2+C=x2+C
より、C は任意の定数として
y=x2+C ⋯(答)
■
結局、(∗1) の左辺は積分するとダイレクトに y になるので、右辺を積分するだけで解を求めることができます。
検算してみると・・・
ここで、一般解 y=x2+C を微分して、それが (∗1) 式
dxdy=2x ⋯(∗1)
を満たすかどうか検算してみましょう。すると
dxdy=(x2+C)′=2x
より、確かに (∗1) になります。C は任意の定数なので、どのような定数(任意の実数値)をとってきても (∗1) は成り立ちます。
なお、C は定数なので、微分すると 0 です。微分の復習にもなるので、最初のうちは検算してみるのもよいでしょう。
特殊解とは
一方、任意の定数 C に特定の値を与えて得られる解を特殊解といいます。
例えば、微分方程式 (∗1) が
x=1 のとき y=3
という条件を満たしているとします。すると、(∗1) の一般解
y=x2+C
に x=1, y=3 を代入して
3=12+C3=1+C1+C=3C=3−1=2
より、定数 C の値が求まります。この C=2 を、一般解 y=x2+C に代入することによって特殊解
y=x2+2
が得られます。x=1 のとき y=3 のように、特別な条件を満たしているときの解が特殊解です。
直接積分形
先ほどの
dxdy=2x
のように、直接積分すれば一般解が求まる微分方程式を直接積分形といいます。最も基本的な微分方程式です。
なお、x で微分していることが明白なときは、この方程式を単に
y′=2x
と書く場合があります。「′」は微分するという記号です。本来 y′ だけだと見かけ上どの変数で微分しているのか不明ですが、それが自明(普通は x で微分)であるときは y′ はよく使われます。同じ微分方程式なので、解き方は先ほどやった解法とまったく同じです。
では、直接積分形の微分方程式をいくつか解いてみましょう。
(例題1)基本形
次の微分方程式
dxdy=4x3−x−2
について
(1) 一般解を求めなさい。
(2) x=2 のとき y=5 を満たすときの特殊解を求めなさい。
指針
左辺を x 軸方向に積分するとダイレクトに y になるので、右辺を x 軸方向に積分するだけで y を求めることができます。
解答
(1) 両辺を x 軸方向に積分すると
y=∫(4x3−x−2)dx=4⋅41x4−21x2−2x+C=x4−21x2−2x+C
よって一般解は、C は任意の定数として
y=x4−21x2−2x+C ⋯(答)
■
では、検算してみましょう(微分の復習にもなります)。
一般解を微分すると
dxdy=(x4−21x2−2x+C)′=4x3−21⋅2x−2=4x3−x−2
となり、問題の微分方程式と同じになります。
(2) 一般解に x=2, y=5 を代入して
5=24−21⋅22−2⋅2+C5=16−2−4+C5=10+C10+C=5C=5−10=−5
これを一般解に代入して
y=x4−21x2−2x−5 (答)
■
(例題2)y' の表記
次の微分方程式
y′=ex
について
(1) 一般解を求めなさい。
(2) x=0 のとき y=2 を満たすときの特殊解を求めなさい。
指針
x で微分していることが明白なときは、y を x で微分していると考えて
y′=dxdy
と考えます。つまり、この微分方程式は
dxdy=ex
と同じ意味です。x での微分が明白なときは y′ はよく使われます。
y′ を x 軸方向に積分すると y になります。
dxd 微分するyy′ 積分する∫□ dx
よって(例題1)と同じように、最初に両辺を x 軸方向に積分しましょう。左辺は ← の操作で直接 y になります。
解答
(1) 両辺を x 軸方向に積分すると
y=∫exdx=ex+C
よって一般解は、C は任意の定数として
y=ex+C ⋯(答)
■
ex は積分しても(微分しても)変わらないことに注意してください。
明らかですが、検算してみましょう。
一般解を微分すると
dxdy=(ex+C)′=ex
となり、問題の微分方程式と同じになります。
(2) 一般解に x=0, y=2 を代入して
2=e0+C2=1+C1+C=2C=2−1=1
これを一般解に代入して
y=ex+1 (答)
■
e0=1 であることに注意しましょう。0 乗は 1 と定義されます(中学でも分かる➃「指数関数」)。
(例題3)両辺を x で割る
次の微分方程式
xy′=3
について
(1) 一般解を求めなさい。
(2) x=e のとき y=1 を満たすときの特殊解を求めなさい。
指針
y′ は dxdy の意味なので、この微分方程式は
xdxdy=3
とも表されます。
x が左辺にあるので、両辺を x で割って右辺に持っていくのが最初の一手です。
解答
(1) xy′=3 の両辺を x で割って
y′=x3
両辺を x 軸方向に積分して
y=∫x3 dx=3∫x1 dx=3log∣x∣+C
よって一般解は、C は任意の定数として
y=3log∣x∣+C ⋯(答)
■
途中で積分公式
∫x1dx=log∣x∣+C
を用いています。対数の底はネイピア数 e です。e が底のときは
loge∣x∣=log∣x∣
と省略されることに注意しましょう(中学でも分かる➅「ネイピア数 e」)。
では、検算してみましょう。
(log∣x∣)′=x1
の微分公式を使います。
xy′=x(3log∣x∣+C)′=x⋅3⋅x1=3
となり、問題の微分方程式と同じになります。
(2) 一般解に x=e, y=1 を代入すると
1=3log∣e∣+C1=3⋅1+C1=3+C3+C=1C=1−3=−2
これを一般解に代入して
y=3log∣x∣−2 (答)
■
log∣e∣=logee=1 の計算にも注意しましょう(中学でも分かる➄「対数関数」)。
変数分離形
次は変数分離形とよばれる微分方程式です。
(例題4)右辺に y があるとき
次の微分方程式
dxdy=2xy
について
(1) 一般解を求めなさい。
(2) x=0 のとき y=3 を満たすときの特殊解を求めなさい。
指針
左辺に x だけはなく、y があるときの解法です。
まずは、y は x の関数であるので、y=f(x) となっていることを意識しましょう。
dxdy=2xf(x)
と同じ意味です。実は右辺は x だけの式(関数)になっています。この関数 y=f(x) の f(x) をこれから求めるわけです。
このときは、最初に両辺を y で割って、y を左辺にもっていきます。
なお、両辺を y で割る前に
(case1) y=0 のとき
(case2) y=0 のとき
で場合分けをしましょう。0 で割ることはできないので、場合分けが必要です。
解答
(1)
(case1) y=0 のとき
両辺を y (=0) で割って
y1 dxdy=2x
両辺を x 軸方向に積分して
∫y1 dxdy dx=∫2x dx
形式的に約分すると dy だけが残って
∫y1 dy=2∫x dx
左辺が y 軸方向の積分、右辺が x 軸方向の積分と両辺で分かれることがポイントです。ここで、両辺を積分して
log∣y∣=2⋅21x2+C1
より
log∣y∣=x2+C1
左辺は積分公式
∫y1 dy=log∣y∣+C
を用います。右辺は x を x 軸方向に積分し、積分定数は C1 と1つにして右辺にまとめます。
ここで、対数と指数の関係(中学でも分かる➄「対数関数」)
logaR=r ⟺ R=ar
より
log∣y∣=x2+C1 ⟺ ∣y∣=ex2+C1
と、∣y∣ について求めることができ
∣y∣=ex2+C1=ex2eC1=eC1ex2
絶対値をはずして
y=±eC1ex2
定数部分 ±eC1 を C で置き換えて
y=Cex2
定数部分 ±eC1 は、1つの文字 C でまとめて置き換えます。最後に C を使うために、途中の計算では C1 を使っています。
なお、絶対値をはずすと「±」(プラスマイナス)がつくことにも注意。例えば、∣x∣=2 の絶対値をはずすと
x=±2
となります。
(case2) y=0 のとき
y=0 を問題の微分方程式
dxdy=2xy
に代入すると
dxdy=2x×0
より
dxdy=0
となります。
すると、y=0 を x 軸方向に微分すると dxdy=0 より、y=0 はこの微分方程式の解になりますが、y=0 は (case1) で求めた
y=Cex2
について、C=0 とすれば
y=0⋅ex2=0
より得ることができます。つまり y=0 の場合は、y=Cex2 に含まれています。
よって一般解は、(case1)、(case2) より、C を任意の定数として
y=Cex2 (答)
■
では、検算してみましょう。合成関数の微分法の復習になります。
「外の微分」×「中の微分」
で微分します(中学でも分かる➈「合成関数」)。
y′=(Cex2)′=C(ex2)′=C外の微分ex2⋅中の微分(x2)′=一般解 yCex2⋅2x=y⋅2x=2xy
となり、問題の微分方程式と同じになります。外の微分は変化しないことに注意(中学でも分かる➈「合成関数」)。
途中で、一般解 y=Cex2 そのものが現れることにも注意してください(下線部)。その部分を y で置き換えることによって、問題の微分方程式が得られます。
(2) 一般解に x=0, y=3 を代入して
3=Ce023=Ce03=C⋅1C=3
これを一般解に代入して
y=3ex (答)
■
(例題4)のような形の微分方程式を変数分離形といいます。分離という理由は
dxdy=x の関数2x×y↑↑y の関数
と
(x の関数)×(y の関数)
の積の形に分離されていることからきています。例えば、次のような微分方程式も変数分離形です。
dxdy=(ex−2)y2
これも
dxdyx の関数=(ex−2)×y2↑↑y の関数
と
(x の関数)×(y の関数)
の積の形に分離されています。一般的に書くと
dxdy=P(x)Q(y)
という形です。x の関数 P(x) と y の関数 Q(y) の積の形になっているのが変数分離形です。
例えば、次のような場合は P(x) と Q(y) の積に分かれていないので、変数分離形ではありません。
dxdy=(xy−3)xy3
x と y が混じって分離されていません。
変数分離形の解法は
dxdy=P(x)Q(y)
の両辺を Q(y) で割って
Q(y)1dxdy=P(x)
としてから、両辺を x 軸方向で積分するのが基本的な解法となります。
それでは、変数分離系の微分方程式をいくつか解いていきます。まずは、先ほどあげた具体例を解いてみましょう。
(例題5)やや複雑
次の微分方程式
dxdy=(ex−2)y2
について
(1) 一般解を求めなさい。
(2) x=0 のとき y=1 を満たすときの特殊解を求めなさい。
指針
(例題4)のように、両辺を y2 で割って、y の式を左辺にもっていきます。なお、両辺を y2 で割る前に
(case1) y=0 のとき
(case2) y=0 のとき
で場合分けをしましょう。
y2=0↔y=0
は正しく、および
y2=0↔y=0
も正しいので、y=0 と y=0 で場合分けをします。
解答
(1)
(case1) y=0 のとき
両辺を y2 (=0) で割って
y21dxdy=ex−2
両辺を x 軸方向に積分して
∫y21dxdy dx∫y21 dy∫y−2 dy=∫(ex−2) dx=∫(ex−2) dx=∫(ex−2) dx
左辺は y 軸方向に、右辺は x 軸方向に積分して
−2+11y−2+1−11y−1−y−1−y1y1=ex−2x+C1=ex−2x+C1=ex−2x+C1=ex−2x+C1=−ex+2x−C1
両辺の逆数をとって
y=−ex+2x−C11
−C1=C とおくと
y=−ex+2x+C1 ⋯(答)
(case2) y=0 のとき
y=0 を問題の微分方程式
dxdy=(ex−2)y2
に代入すると
dxdy=0
となります。
すると、y=0 を x 軸方向に微分すると dxdy=0 より、y=0 はこの微分方程式の解になりますが、(case1) で求めた
y=−ex+2x+C1
に、y=0 は含まれません(C がどのような実数であっても y=0 にならないため)。
よって一般解は、(case1)、(case2) より、C は任意の定数として
y=−ex+2x+C1 または y=0 ⋯(答)
■
y=0 が一般解に含まれないときは、上記のように別扱いにして解とします。
では、検算してみましょう。
「外の微分」×「中の微分」
で微分します(中学でも分かる➈「合成関数」)。
y=−ex+2x+C1=(−ex+2x+C)−1
より
y′=((−ex+2x+C)−1)′=外の微分−(−ex+2x+C)−1−1⋅中の微分(−ex+2x+C)′=−(−ex+2x+C)−2⋅(−ex+2)=−(−ex+2)⋅(−ex+2x+C)21=(ex−2)この部分が一般解 y(−ex+2x+C1)2=(ex−2)y2
となり、問題の微分方程式と同じになります。途中で一般解そのものが現れることに注意してください。後ろのカッコの中身が (case1) で求めた一般解です。その部分を y で置き換えることによって、問題の微分方程式が得られます。
(2) x=0, y=1 を代入して
11=−e0+2⋅0+C1=−1+C1
両辺に −1+C をかけて
−1+C=1
より
C=1+1=2
これを一般解に代入して
y=−ex+2x+21 ⋯(答)
■
(例題6)右辺が y のみ
次の微分方程式
dxdy=y
について
(1) 一般解を求めなさい。
(2) x=0 のとき y=1 を満たすときの特殊解を求めなさい。
指針
右辺が y の1変数のみですが、これも変数分離形の微分方程式です。
dxdy=1×y
と分離できます。1 は x の関数と考えます。どのような x に対しても定数 1 をとる関数です。
よって、両辺を y で割って、y を左辺にもっていきます。なお、両辺 y で割る前に
(case1) y=0 のとき
(case2) y=0 のとき
で場合分けをするのは先ほどと同じです。
解答
(1)
(case1) y=0 のとき
両辺を y (=0) で割って
y1dxdy=1
両辺を x 軸方向に積分して
∫y1dxdy dx∫y1 dy=∫1 dx=∫1 dx
左辺は y 軸方向に、右辺は x 軸方向に積分して
log∣y∣=x+C1
左辺は積分公式
∫y1 dy=log∣y∣+C
を用います。右辺は 1 を x 軸方向に積分し、積分定数は C と1つにして右辺にまとめます。
ここで、対数と指数の関係(中学でも分かる➄「対数関数」)
logaR=r ⟺ R=ar
より
loge∣y∣=x+C1 ⟺ ∣y∣=ex+C1
と、∣y∣ について求めることができ
∣y∣=ex+C1=exeC1=eC1ex
絶対値をはずして
y=±eC1ex
定数部分 ±eC1 を C で置き換えて
y=Cex
(case2) y=0 のとき
y=0 を問題の微分方程式
dxdy=y
に代入すると
dxdy=0
となります。
すると、y=0 を x 軸方向に微分すると dxdy=0 より、y=0 はこの微分方程式の解になりますが、y=0 は (case1) で求めた
y=Cex
について、C=0 とすれば
y=0⋅ex=0
より得ることができます。つまり y=0 の場合は、y=Cex に含まれます。
よって一般解は、(case1)、(case2) より、C は任意の定数として
y=Cex (答)
■
明かですが、検算してみましょう。
dxdy=C(ex)′=一般解 yCex=y
となり、問題の微分方程式と同じになります。
ex は微分しても変化しないので、微分しても変わらないを意味する dxdy=y の解は、y=Cex であることは予想がつくところです。
(2) 一般解に x=0, y=3 を代入して
3=Ce03=C⋅1C=3
これを一般解に代入して
y=3ex (答)
■
変数分離形の解法
以上のように、変数分離形
dxdy=P(x)Q(y)
は、両辺を Q(y) で割って
Q(y)1dxdy=P(x)
と、y の関数 Q(y) を全部左辺に持っていってから、両辺を x 軸方向に積分します。
∫Q(y)1dxdy dx∫Q(y)1 dy=∫P(x)dx=∫P(x) dx
すると、左辺は形式的に dx で約分されて y 軸方向の積分になり、右辺はそのまま x 軸方向の積分を行います。
2階微分方程式
次は2階微分の入った微分方程式をみてみましょう
(例題7)基本形
次の微分方程式
dx2d2y=3x2+2
について
(1) 一般解を求めなさい。
(2) x=0 のとき y=1、x=2 のとき y=3 を満たすときの特殊解を求めなさい。
指針
dx2d2y は2階微分の意味です(中学で分かる①「微分法」)。つまり、この微分方程式は、
「y=f(x) を2回連続微分すると 3x2+2 になる」
という意味です。よって、 y を求めるには 3x2+2 を2回連続積分します。
微分する 微分するydxdydx2d2y=3x2+2 積分する 積分する
この「←」の操作を行っていきます。
また、この問題の式は
y′′=3x2+2
と表されることもあります。x で微分しているときは、y′=dxdy、y′′=dx2d2y という意味になります。
微分する 微分するyy′y′′=3x2+2 積分する 積分する
解答
(1) 両辺を x 軸方向に積分すると
∫dx2d2y dx=∫(3x2+2) dx
より
dxdy=3⋅31x3+2x+C1=x3+2x+C1
よって
dxdy=x3+2x+C1
もう一度 x 軸方向に積分して
∫dxdy dx=∫(x3+2x+C1) dx
より
y=3+11x3+1+2⋅1+11x1+1+C1x+C2=41x4+2⋅21x2+C1x+C2=41x4+x2+C1x+C2
よって一般解は、C1, C2 を任意の定数として
y=41x4+x2+C1x+C2 ⋯(答)
■
任意の定数は、C1, C2 と2つあることに注意。2回積分しているので、任意の定数は2つになります。
では、検算してみましょう。
一般解を微分して
dxdy=41⋅4x3+2x+C1=x3+2x+C1
これをもう一度微分して
dx2d2y=3x2+2
となり、問題の微分方程式と同じになります。
(2) 一般解に x=0, y=1 を代入すると
1=41⋅04+02+C1⋅0+C2=C2
より
C2=1
一般解に x=2, y=3 を代入すると
3333=41⋅24+22+C1⋅2+C2=41⋅16+4+2C1+C2=4+4+2C1+C2=8+2C1+C2
C2=1 を代入して
3=8+2C1+13=9+2C19+2C1=32C1=3−9=−6
より
C1=−3
C1=−3, C2=1 を一般解に代入して
y=41x3+x2−3x+1 ⋯(答)
■
未知の定数は2つあるので、C1, C2 の決定のためには2組の x, y での f(x, y) の値が必要です。2組の x, y を一般解に代入して、その連立方程式を解きます。
まとめ
これまでの結果をまとめましょう。C, C1, C2 は任意の定数です。
<直接積分形>
(冒頭の例題)
dxdy=2x
の一般解は
y=x2+C
(例題1)
dxdy=4x3−x−2
の一般解は
y=x4−21x2−2x+C
(例題2)
y′=ex
の一般解は
y=ex+C
(例題3)
xy′=3
の一般解は
y=3log∣x∣+C
<変数分離形>
(例題4)
dxdy=2xy
の一般解は
y=Cex2
(例題5)
dxdy=(ex−2)y2
の一般解は
y=−ex+2x+C1 または y=0
(例題6)
dxdy=y
の一般解は
y=Cex
<2階微分方程式>
(例題7)
dx2d2y=3x2+2
の一般解は
y=41x4+x2+C1x+C2
***
直接積分形は、文字通り直接積分します。
変数分離形は、両辺を y の式で割ってから積分します。
2階微分方程式は、2回積分します。
ここであげた微分方程式は、最も簡単な微分方程式の一例です。さらに難しい微分方程式はいくらでもありますが、その式を満たす関数 y=f(x) を求めるという精神は同じになります。
決まった形、決まった解法がそれぞれにあるので、興味があれば、各自専門書などで勉強してみてください。
小説編