合成関数については、中学でも分かる➅「ネイピア数 e」でもやりましたが、重要なテーマなので、改めてここで1つの記事にしました。ここでは
・合成関数
・合成関数の微分法
と話を進めていきます。
中学でも分かる➅「ネイピア数 e」でやった内容とほぼ同じですが、より詳しく解説しています。
また、本シリーズの過去の内容も多く出てくるので、その都度戻るか、最初から本シリーズを読んでおくことをお勧めします。前回までの記事が次の記事で出てくるような構成になっています。
まずは、前回の中学でも分かる➅「ネイピア数 e」でやった、対数関数と指数関数の微分公式の復習です。
対数関数の微分公式(復習)
1.2.3.4.5.amp;amp;amp;amp;amp;amp;(logax)′amp;(logex)′amp;(loge∣x∣)′amp;(logef(x))′amp;(loge∣f(x)∣)′amp;=xlogea1amp;=x1amp;=x1amp;=f(x)f′(x)amp;=f(x)f′(x)
なお、数学では下記のように logex を logx と、底 e 省略して表記することが多いです。今後、底 e は省略されることが多くなります。
1.2.3.4.5.amp;amp;amp;amp;amp;amp;(logax)′amp;(logx)′amp;(log∣x∣)′amp;(logf(x))′amp;(log∣f(x)∣)′amp;=xloga1amp;=x1amp;=x1amp;=f(x)f′(x)amp;=f(x)f′(x)
指数関数の微分公式(復習)
1.2.nbsp;nbsp;nbsp;nbsp;nbsp;(ax)′nbsp;(ex)′amp;=axlogeaamp;=ex
底 e を省略して 1. は次のように表せます。
1.nbsp;nbsp;nbsp;(ax)′=axloga
合成関数について
y=(2x+3)3 という関数を考えます。この関数は、y=u3 と u=2x+3 を合成した関数と考えることができます。
y=(2x+3)3nbsp;⟺nbsp;{y=u3 ⋯(∗1)u=2x+3 ⋯(∗2)

つまり、(∗1) に (∗2) を代入(合成)すれば y=(2x+3)3 という関数が得られます。このような関数を合成関数といいます。
x が決まれば u が決まり、u が決まれば y が決まります。

改めて合成関数の定義を与えます。
<合成関数の定義>
y が u の関数
y=f(u)
で、u が x の関数
u=g(x)
であるとき、これら2つの関数から、x に y を対応させる関数
y=f(g(x))
がつくられる。この関数を y=f(u) と u=g(x) の合成関数という。
y=f(g(x))nbsp;⟺nbsp;{y=f(u)u=g(x)

***
つまり、x が決まれば u が決まり、u が決まれば y が決まります。

先ほどの関数 y=(2x+3)3 は、y=f(u)u3 と u=g(x)2x+3 の合成関数と考えることができます。
y=f(g(x))(2x+3)3nbsp;⟺nbsp;⎩⎨⎧y=f(u)u3 ⋯(∗1)u=g(x)2x+3 ⋯(∗2)

(例1)
y=(−3x+2)5 は、y=u5 と u=−3x+2 の合成関数と考えることができます。

(例2)
y=3x−5 は、y=u と u=3x−5 の合成関数と考えることができます。

(例3)
y=ex2−4 は、y=eu と u=x2−4 の合成関数と考えることができます。

(例4)
y=log(−x) は、y=logu と u=−x の合成関数と考えることができます。

(例5)
y=(x3+1)41 は、y=u41 と u=x3+1 の合成関数と考えることができます。

三角関数の合成関数
三角関数についても合成関数を考えることができます。高校で習う三角関数は次の3つがあります。三角関数については、前回の中学でも分かる⑧「三角関数」もご覧ください。
yyyamp;=sinxamp;=cosxamp;=tanx
三角関数について合成関数の例を上げましょう。
(例6)
y=sin(4x−3) は、y=sinu と u=4x−3 の合成関数と考えることができます。

(例7)
y=tan(2x3−3x+2) は、y=tanu と u=2x3−3x+2 の合成関数と考えることができます。

ここから合成関数を微分することを解説していきます。合成関数の微分は、次の<合成関数の微分法>を用います。
合成関数の微分法
y=f(u), u=g(x) が微分可能であるとき
dxdy=dudy⋅dxdu ⋯(∗3)
***
「y を x で微分した導関数」は、「y を u で微分した導関数」と「u を x で微分した導関数」の積と等しくなる、ということです。
間に du がはさまれていることに注意してください。この du で形式的に約分することで、この等式が成り立つことはイメージできます。
dxdy=dudy⋅dxdu
このような関係を連鎖律(チェインルール)とよぶことがあります(証明は高校の教科書にもあるので、ここでは割愛します)。
では合成関数の微分法 (∗3) を用いて y=(2x+3)3 を微分しましょう。まず
u=2x+3 とおくと y=u3
ここで
y=u3 は「u の関数」
u=2x+3 は「x の関数」
とみて、それぞれを微分します。
y=u3 を u で微分すると
dudy=(u3)′=3u3−1=3u2 ⋯(∗4)
また、u=2x+3 を x で微分すると
dxdu=(2x+3)′=2 ⋯(∗5)
合成関数の微分法 (∗3) に (∗4)、(∗5) を代入して
dxdyamp;=dudy⋅dxdu=3u2⋅2=6u2
u=2x+3 だったので
dxdyamp;=6(2x+3)2 (答)
となります。
合成関数の微分の例
ここで、先ほどの関数(例1)~(例7)を微分しましょう。すべて合成関数なので<合成関数の微分法>を用います。
<合成関数の微分法>(再掲)
y=f(u), u=g(x) が微分可能であるとき
dxdy=dudy⋅dxdu
***
(例1)
y=(−3x+2)5 を x で微分しなさい。
u=−3x+2 とおくと y=u5
すると
dudydxduamp;=(u5)′=5u5−1=5u4amp;=(−3x+2)′=−3
合成関数の微分法より
dxdyamp;=dudy⋅dxduamp;=5u4⋅(−3)amp;=−15u4amp;=−15(−3x+2)4 (答)
なお、慣れて来たら
dxdy=外の微分dudy⋅中の微分dxdu
と考えて、次のように置き換えないで微分することが可能です。
dxdyamp;=外の微分5(−3x+2)5−1⋅中の微分(−3x+2)′amp;=5(−3x+2)4⋅(−3)amp;=−15(−3x+2)4 (答)
−3x+2 をカタマリで考えて(つまり頭の中で u に置き換えて)微分をし(外の微分)、それにカタマリにした −3x+2 の微分(中の微分)をかけます。つまり
(外の微分)×(中の微分)
の要領です。このコツを押さえれば、かなり複雑な式も機械的に微分できます。
(例2)
y=3x−5 を x で微分しなさい。
u=3x−5 とおくと y=u=u21
すると
dudydxduamp;=(u21)′=21u21−1=21u−21=21⋅u211=2u1amp;=(3x−5)′=3
合成関数の微分法より
dxdyamp;=dudy⋅dxduamp;=2u1⋅3amp;=2u3amp;=23x−53 (答)
置き換えないで微分すると
dxdyamp;=外の微分21(3x−5)21−1⋅中の微分(3x−5)′amp;=21(3x−5)−21⋅3amp;=2(3x−5)211⋅3amp;=23x−53 (答)
(例3)
y=ex2−4 を x で微分しなさい。
u=x2−4 とおくと y=eu
すると、指数関数の微分公式 2. より
dudydxduamp;=(eu)′=euamp;=(x2−4)′=2x
合成関数の微分法より
dxdyamp;=dudy⋅dxduamp;=eu⋅2xamp;=2xeuamp;=2xex2−4 (答)
置き換えないで微分すると
dxdyamp;=外の微分ex2−4⋅中の微分(x2−4)′amp;=ex2−4⋅2xamp;=2xex2−4 (答)
eu を u で微分しても変化しないので、「外の微分」は変化しないことに注意。
(例4)
y=log(−x) を微分しなさい。
u=−x とおくと y=logu
すると、対数関数の微分公式 2. より
dudydxduamp;=(logu)′=u1amp;=(−x)′=−1
合成関数の微分法より
dxdyamp;=dudy⋅dxduamp;=u1⋅(−1)amp;=−u1amp;=−−x1amp;=x1 (答)
置き換えないで微分すると
dxdyamp;=外の微分−x1⋅中の微分(−x)′amp;=−x1⋅(−1)amp;=x1 (答)
(例5)
y=(x3+1)41 を微分しなさい。
u=x3+1 とおくと y=u41=u−4
すると
dudydxduamp;=(u−4)′=−4u−4−1=−4u−5=−u54amp;=(x3+1)′=3x2
合成関数の微分法より
dxdyamp;=dudy⋅dxduamp;=−u54⋅3x2amp;=−u512x2amp;=−(x3+1)512x2 (答)
置き換えないで微分すると
dxdyamp;=外の微分−4(x3+1)−4−1⋅中の微分(x3+1)′amp;=−4(x3+1)−5⋅3x2amp;=−(x3+1)54⋅3x2amp;=−(x2+1)512x2 (答)
三角関数の合成関数の微分
三角関数の合成関数(例6)、(例7)も微分しましょう。まずは三角関数の微分について、次の公式を用います。
<三角関数の微分公式>
amp;1.amp;2.amp;3.nbsp;nbsp;nbsp;nbsp;nbsp;nbsp;nbsp;(sinx)′=cosxnbsp;(cosx)′=−sinxnbsp;(tanx)′=cos2x1
***
(例6)
sin(4x−3) を微分しなさい。
u=4x−3 とおくと y=sinu
すると、三角関数の微分公式 1. より
dudydxduamp;=(sinu)′=cosuamp;=(4x−3)′=4
合成関数の微分法より
dxdyamp;=dudy⋅dxduamp;=cosu⋅4amp;=4cosuamp;=4cos(4x−3) (答)
置き換えないで微分すると
dxdyamp;=外の微分cos(4x−3)⋅中の微分(4x−3)′amp;=cos(4x−3)⋅4amp;=4cos(4x−3) (答)
(例7)
tan(2x3−3x+2) を微分しなさい。
u=2x3−3x+2 とおくと y=tanu
すると、三角関数の微分公式 3. より
dudydxduamp;=(tanu)′=cos2u1amp;=(2x3−3x+2)′=2⋅3x2−3=6x2−3
合成関数の微分法より
dxdyamp;=dudy⋅dxduamp;=cos2u1⋅(6x2−3)amp;=cos2u6x2−3amp;=cos2(2x3−3x+2)6x2−3 (答)
置き換えないで微分すると
dxdyamp;=外の微分cos2(2x3−3x+2)1⋅中の微分(2x3−3x+2)′amp;=cos2(2x3−3x+2)1⋅(6x2−3)amp;=cos2(2x3−3x+2)6x2−3 (答)
3つの関数の合成関数
3つの関数の合成関数を考えることもできます。次のように定義されます。
<合成関数の定義(3つの関数)>
y が u の関数
y=f(u)
で、u が v の関数
u=g(v)
で、v が x の関数
v=h(x)
であるとき、これら2つの関数から、x に y を対応させる関数
y=f(g(h(x)))
がつくられる。この関数を y=f(u) と u=g(v) と v=h(x) の合成関数という。
y=f(g(h(x)))nbsp;⟺nbsp;⎩⎨⎧y=f(u)u=g(v)v=h(x)

***
つまり、x が決まれば v が決まり、v が決まれば u が決まり、u が決まれば y が決まります。

(例8)
関数 y=e(2x−3)6 は、y=eu と u=v6 と v=2x−3 の合成関数と考えることができます。
y=f(g(h(x)))e(2x−3)6nbsp;⟺nbsp;⎩⎨⎧y=f(u)euu=g(v)v6v=h(x)2x−3

3つの関数の合成関数の微分は、次の微分法を使います
<合成関数の微分法(3つの関数)>
y=f(u), u=g(v), v=h(x) が微分可能であるとき
dxdy=dudy⋅dvdu⋅dxdv ⋯(∗6)
***
文字が多く一見複雑に見えますが、連鎖率(チェインルール)に従っています。間に du と dv がはさまれていることに注意してください。この du と dv で形式的に約分することによって、この等式が成り立つことはイメージできます。
dxdy=dudy⋅dvdu⋅dxdv
では先ほどの(例8)を微分しましょう。
(例)
関数 y=e(2x−3)6 を x で微分しなさい。
u=(2x−3)6 とおくと y=eu
v=2x−3 とおくと u=v6

すると、指数関数の微分公式 2. より
dudydvdudxdvamp;=(eu)′=euamp;=(v6)′=6v6−1=6v5amp;=(2x−3)′=2
合成関数の微分法より
dxdyamp;=dudy⋅dvdu⋅dxdvamp;=eu⋅6v5⋅2amp;=12euv5amp;=12e(2x−3)6(2x−3)5 (答)
慣れてきたら
dxdy=外の微分dudy⋅外の微分dvdu⋅外の微分dxdv
と考えて、次のように置き換えないで微分しましょう。外の微分が2回入ります。
dxdydxdyamp;=外の微分e(2x−3)6⋅外の微分6(2x−3)6−1⋅中の微分(2x−3)′amp;=e(2x−3)6⋅6(2x−3)5⋅2amp;=12e(2x−3)6(2x−3)5 (答)
eu は u で微分しても変化しないので、最初の「外の微分」は変化しないことに注意。
連鎖率(チェインルール)を用いることによって4つの関数、5つの関数・・・と容易に拡張できます。どんなに複雑な合成関数でも、いくつかの関数に分割することによって微分することが可能です。
関数記号の歴史(おまけ)
関数は英語で function といいますが、この function は機能や作用、働きという意味を表します。ドイツの数学者、ゴットフリート・ヴィルヘルム・ライプニッツが、初めて数学の言葉としてこの function を用いました。
Gottfried Wilhelm Leibniz(1646-1716) スイスの数学者、レオンハルト・オイラーは、変数 x といくつかの定数とからできる式を「関数」と定義し、f(x) という記号で表しました。現代では一般的な y=f(x) という表現は、オイラーが初めてとなります(Wikipedia より)。
Leonhard Euler(1707年-1783年)(了)