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創䜜倧賞2025参加  神の噚 特別線「幻燈の通」【第話】「旧梚朚邞連続殺人事件」

    桜子

    創䜜倧賞2025、ミステリヌ小説郚門にお応募。


    【あらすじ】

    「堎所に刻たれる過去そのものを再生する」幻燈珟象が起こる、ゞョヌゞアン様匏の事故物件掋通・旧梚朚邞。

    遺䜓発芋、通信䞍胜、車䞡通行䞍胜、封鎖工䜜の痕跡発芋。オカルト案件の調査に蚪れた探偵たちは、成り行きでミステリ事件の解決を目指すこずになる。
    救助も通報も望めないたた倜を迎え、翌朝、第の遺䜓を発芋する。積み䞊げられる状況蚌拠ず綻び。
    犯人は幎前、梚朚邞で起きた『檜森町什嬢殺人事件』による被害者遺族だった。

    「探偵諞君。殺すしかない、そこに至るたでを問え」

    幻燈が瀺す最期の真実。超垞珟象×密宀掚理、過去ず珟圚が亀錯する珟代本栌ミステリ。

    【前眮き】
    ・オカルト芁玠は舞台装眮であり、掚理には関䞎したせん。
    ・悪意を持っお明確な噓を぀く登堎人物はいたせん。
    ・連茉『神の噚』シリヌズに属する物語ではありたすが、本線ずは独立した構成になっおおり、本䜜単䜓で完結した本栌ミステリずしおお楜しみいただけたす。シリヌズ未読の方もご安心ください。


    【登堎人物䞀芧】

    間宮 真たみや たこず
    32歳倩城調査事務所 探偵調査員

    硬掟な職業探偵。3幎前たで譊芖庁刑事郚捜査第䞀課匷行犯係に所属。過去のトラりマによりオカルト党般を嫌い、異胜にも懐疑的。春䞀たちに調査を䟝頌し、同行する。

    神䟝 兞圊かみより のりひこ
    25歳東京電燈パワヌ゚ナゞヌ株匏䌚瀟 䌚瀟員

    奇数話の語り手。兄の春䞀に関わらない事柄であれば、理知的であり、良識ず論理を重んじる。春䞀の庇護者を自認し、春䞀を守るこずに匷い䜿呜感を抱いおいる。

    神䟝 春䞀かみより はるいち
    26歳喫茶店Café Serein アルバむト

    偶数話の語り手。静やかな雰囲気、神々しい矎貌ず異胜を持぀青幎。過去の経隓から諊芳が埗意。博芧匷蚘だがコミュニケヌションには難がある。  




    【第䞀話】旧梚朚邞連続殺人事件兞圊芖点

    「調査ずは、他人の地獄を芗き蟌むこずだ。」


    黒衣の䟝頌人


    俺たちは、この翌日、泊日の地獄のミステリヌツアヌに参加するこずになる。それは埌に『旧梚朚邞連続殺人事件』ず呌ばれる悲劇だった。
    このずきは、誰もそれを知らなかった。


    ◆


    雚䞊がりの午埌、喫茶店Café Sereinの窓ガラスにはただ现かな氎滎が残っおいた。

    客足は萜ち着き、店内にはカップから立ちのがる湯気ず、ゞャズピアノのゆるやかな旋埋だけが静かに満ちおいる。

    「あず分で䞊がり、だろ」
    カりンタヌの奥、゚スプレッ゜マシンの操䜜に集䞭しおいた春䞀に、俺は声をかけた。盞倉わらず、矎術通の奥に食られおいそうな矎貌をしおいる。

    「うん  もう少しで終わる」
    控えめに埮笑みながら応える春䞀の手元は、い぀もながら正確だ。手の動きに無駄がない、流れるような所䜜。

    マシンの操䜜を終えるず、春䞀はカりンタヌの端に歩を移した。蒞気に癜くけむるカップをおいねいに拭き取り、ミルクピッチャヌを掗い終えるず、圌はカりンタヌの隅に立っお静かに息を぀いた。

    䜕気ない仕草がい぀だっお儀匏のように敎っおいる。

    春䞀は今日も癜のシャツに黒のベストずいうシンプルな制服を着こなしおいた。腕時蚈を確認し、「あず分」ず小さく呟く。その声は、颚が草を撫でる音のように柔らかい。

    「特に甚事なければ、このあず家で  」
    蚀いかけた蚀葉は、扉に取り付けられたベルの音で途切れた。

    入っおきた男は、䞀目で只者ではないずわかる雰囲気をたずっおいた。身長は俺よりやや䜎いが、がっしりずした䜓栌。無造䜜に芋えおよく敎った黒い短髪ず鋭い现い目が、冷静で蚈算高い印象を䞎える。

    服装は黒いスヌツに、着叀した黒のトレンチコヌト。その裟を揺らしながら、スヌツのポケットに手を入れる仕草は劙に自然だった。

    春䞀が埮かに衚情を匕き締めたのを芋お、俺は垭を立った。

    「間宮ず蚀いたす。倩城調査事務所の者です」
    䜎く抌し殺した声。名乗られた瞬間、すみれの顔が頭に浮かんだ。春䞀も、同じこずを考えたらしい。

    だが、春䞀の口から出た問いは䞍穏だった。
    「  すみれさんは、無事ですか」

    それを受けた間宮ず名乗った男は、少し眉を寄せる。
    そしお最䜎の報せを淡々ず持ち蟌んだ。

    「昚日、退院した。先日、異胜案件の調査䞭、衝撃を受けお意識を倱った」
    その蚀葉に、空気が䞀瞬で重くなったように感じた。春䞀は黙っお目を䌏せおいる。

    春䞀の長いた぀毛がゆっくりず動く。その県差しは、深淵の静謐を湛えおいた。
    「  重症ですか」

    「肉䜓的にはおそらく軜い。ただ粟神的には、しばらく埩垰は無理だろう。理屈は分からんが、所長の指瀺で、今は事務所でひたすら寝おいる。  入院䞭は鎮静剀の静脈泚射が必芁だった」

    最埌の䞀蚀を聞いた春䞀の衚情が、凍り぀くのがわかった。

    間宮の語調に感情はなかったが、それは圌が冷淡だからではなく、すでに䜕床もこうした報せを䌝えおきたからだろうず思われる。
    仕事のために感情を殺した人間の話し方だず感じた。

    「それで、俺たちに䜕を」
    俺が問いかけるず、間宮は芖線を春䞀に向けたたた答える。

    「檜森町、東京郜内の山裟にある叀い掋通の調査だ。結構な曰く぀きらしい。非公匏だが譊察の䟝頌でな。䞍法䟵入しお隒ぐ連䞭がいるずかで、うちの事務所で、そこのオカルト事象の調査を請け負った。そこに着いた途端、代厎は倒れたらしい」

    思わぬ知らせに、春䞀を芋る。䞀瞬、芖線を亀わしただけで、思考の深局にたで螏み蟌たれるような錯芚を芚える。

    その瞳に映るのは、遥か昔から続く蚘憶のようなもの。
    時を越えた存圚だけが持぀茝き。

    俺はその思考の先にある芋えない䜕かを探すように、間宮の蚀葉の意味をかみ砕く。
    「  ぀たり、担圓の代厎が倒れた。で、代わりに俺たちに、その調査をしろず」

    「正匏な䟝頌ではない。あくたで、非公匏だ。だが、あの女は随分お前らを信頌しおいるらしい。特に、」
    そこで蚀葉が止たった。

    春䞀が、わずかに衚情を倉えたからだ。圌の瞳は、どこか遠くの䞖界を芋おいるかのように幜玄でありながら、芋る者に無蚀の圧力を䞎える。
    「  行くよ」
    「春䞀」
    「すみれさんは  俺たちを䜕床も助けおくれた」
    蚀葉を切り、春䞀は僅かに芖線を萜ずす。

    「だから今床は、俺の番。すみれさんの珟状を改善するには珟地に行かないず無理だず思う」
    その蚀葉に、俺は䜕も蚀えなかった。

    春䞀がそう蚀うなら、俺は぀いお行くしかない。
    この兄が自分から動くのは、必芁な理由があるずきだけ。代厎すみれは、春䞀にずっお、掛け替えのない理解者だ。攟っおおけない。

    「なら俺も行く。䞀人では行かせられない」
    俺がそう蚀うず、間宮はわずかに頷いた。

    「わかった。明日午埌時から、集たりがあるらしくそれに合流するこずでオヌナヌず話が぀いおいる。出発は明日の時。俺がここに車で迎えに来る。必芁なものを甚意しおおいおくれ」
    そう蚀っお圌は名刺を䞀枚だけ残し、喫茶店を出おいった。

    ドアが閉たるず、再び小さなゞャズが静かに戻っおきた。



    調査前倜


    その倜、慣れた手぀きで甚意された春䞀の料理は、どれも䞁寧で、自然ず心が和んだ。

    その穏やかな䜙韻の䞭で、俺たちは䟋の掋通の情報を探し始めた。

    「  檜森町、ここか  山裟っお蚀っおも、かなりの奥地だな」
    画面をなぞる指が止たる。

    「最寄り駅から車で分。土砂灜害でも起こったら孀立しそうだ。霊感の匷い人間が軒䞊み〝ここに䜕かいる〟っお隒いだっお、掲瀺板に残っおる。どうも有名な事故物件らしいが詳しくは茉っおないな」

    俺はスマホで地図を確認しながら、小さな違和感を芚えおいた。

    「なあ春䞀。䜕か起きる気がしないか」

    「  うん。そうだね。俺も〝なにか〟起こるず思うよ」
    春䞀は、受け取った俺のスマホの小さな画面を眺めながら、静かに蚀った。そのタンザナむトの瞳は、月光にも䌌た茝きを宿しおいた。

    その答えを聞いたずき、俺はもう芚悟を決めおいた。

    春䞀が行くず決めたなら行くしかない。
    代厎は調査䞭に昏睡状態になった。しかも、間宮曰く入院䞭に鎮静剀の静脈泚射を受けおいた。

    垰宅しおから、䜕のこずかず調べおみれば、激しく錯乱し、暎れ、自傷や他害のおそれがある堎合にのみ行われる凊眮らしい。
    胆力も気抂も人䞀倍の、あの代厎が、だ。

    俺には、春䞀や代厎のような異胜はない。
    だが、それでも俺は、春䞀を護らなければならない。絶察に。

    曰く぀きの掋通で、奇劙な集たり。誰が、䜕のために
    間宮にもっず情報を求めるべきだった。今曎ながら埌悔が頭をよぎる。

    「あのね、兞圊。日くらい前かな、断片的にだけど、ちょっず芖えたんだ」

    「なにが」
    思わず過敏に反応しおしたった。春䞀が驚いおいる。

    「倧䞈倫だよ、兞圊。䞀緒にいおくれるんでしょうだったら絶察倧䞈倫」
    䞍思議そうに俺を眺めおから、なにやら玍埗したらしく、俺を宥めるように春䞀が蚀ったその蚀葉は、匷く胞に突き刺さった。

    「結局よくわからなかったんだけど。でも印象的だったのはね、深海を人で散歩するんだ。誰も出られず、誰も入れない海の底で」

    それは、随分ず奇劙な予蚀だった。



    だが、春䞀はそれ以䞊䜕も蚀わず、ただ埮笑んだ。








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    桜子

     
     
    珟圚は無理せずノンビリ投皿。小説「間宮真の機胜的ロココ探偵事務所」を連茉䞭。昚幎投皿した「神の噚 幻燈の通」を倧幅加筆修正した新䜜旧䜜「倜に灯る〜幻燈の通〜」を投皿。北郚九州圚䜏。小説を曞き始めお早幎カ月。

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