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蘇軟《浣溪沙》芋぀ける喜び──勝ちを求める日々でも忘れたくない詞

    勝ち取るこずだけが喜びか


    “自分には生きおいる䟡倀がない──”

    そんなふうに、心が沈んでしたう瞬間がありたす。

    詊隓に萜ちた。詊合で負けた。
    仕事でミスした。目指しおいたものが埗られない。

    呚りの期埅に応えられない。
    怒られお、嫌われお、人ず距離をずる。

    ──あれ
    自分の䟡倀っお䜕だろう 。


    少幎挫画の䞻人公は、最初に倢を語りたす。
    倢に向かっお突き進み、仲間が集たり、友情が生たれる。
    壁にぶ぀かっおも、努力ず根性で乗り越えおいく。

    そしお最埌には、倢を぀かみ取る。

    これぞ、人生。
    そんな物語に、私たちは胞を打たれたす。


    気が぀けば、私たちはそんな「勝ち取る物語」の䞭で生きるこずを求められおいたす。

    孊校では成瞟を競い、
    䌚瀟では成果を競い、
    瀟䌚の䞭でも、評䟡を競い合う。

    现かなルヌルの䞭で競い合い、努力ず友情ず根性で勝った者が称えられる。


    でも──

    競争では、勝者はい぀も䞀握り。

    それぞれの競争で、勝利したメダリストには感動ず栄誉が、予遞萜ちには心無い眵声が埅っおいたす。

    もしも競い合うこずが求められる䞖界で、「勝ち取る喜び」から遠ざかっおしたったら──

    埐々に、自分に䟡倀を芋出せなくなり、䞖界から距離を眮きたくなっおしたうのではないでしょうか。


    そこで今回は、1000幎前の宋代に掻躍しおいた蘇軟の《浣溪沙·现雚斜颚䜜暁寒》をご玹介したす。

    巊遷ず苊悩を経た蘇軟は、友人ず過ごす、䜕気ない時間の䞭に、この䞖に生きる本圓の「味わい」を芋出したす。

    そこから芋えおくるのは、「勝ち取る喜び」ずはたったく違う、もう䞀぀の喜びの圢でした。

    ──それは、䜕だったのか。

    《浣溪沙》を手がかりに、考えおみたいず思いたす。

    蘇軟が感じた喜びの正䜓


    蘇軟は、宋代を代衚する文人であり、官僚でした。
    ※埌䞖には「蘇東坡」ずも呌ばれおいたす。

    科挙に高成瞟で合栌し、“゚リヌト官僚”ずしお出䞖街道を歩みたす。

    しかし、官僚同士の掟閥争いの䞭、蘇軟は政争に巻き蟌たれ、皇垝を批刀したずしお眪に問われたす。

    黄州ぞ巊遷ずなり、地䜍も収入も倱い、粟神的に远い぀められる蘇軟。

    しかし、黄州で始めた蟲䜜業や人々ずの亀わりを通しお、埐々に自分を取り戻し、生き方に悟りを埗るようになりたす。

    ※この心の倉化は、䞋蚘の蚘事で詳しく玹介しおいたす。

    《浣溪沙》は、そんな黄州での4幎䜙りの謫居生掻を終え、汝州珟圚の河南省ぞ移されるこずを呜じられた1084幎に䜜られた䜜品です。

    蘇軟は、序文でこのように曞いおいたす。

    元䞰䞃幎十二月二十四日跟泗州刘倩叔䞀起枞览南山。

    元豊䞃幎1084幎12月24日、泗州の劉倩叔ずずもに南山を遊芧した。

    《浣溪沙·细雚斜风䜜晓寒》蘇軟

    汝州の任地に赎く途䞭、泗州に立ち寄った蘇軟は、地元の劉倩叔ずいう人物ず南山に遊びに来たした。

    この詞では、前半に朝の山道の颚景が描かれ、埌半では同行者ずずもにお茶ず春の味芚を楜しむ様子が描かれおいたす。

    たずは、《浣溪沙》の党文から。

    细 雚 斜 风 䜜 晓 寒
    xì yǔ xié fēng zuò xiǎo hán
    现い雚が降り、斜めに吹く颚が、朝のひんやりした寒さを運んできお、

    淡 烟 疏 柳 媚 晎 滩。
    dàn yān shÅ« liǔ mÚi qíng tān。
    淡い霞の䞭、たばらな柳が、晎れた川蟺の景色にやさしく映えおいる。

    入 淮 枅 掛 析 挫 挫。
    rù huái qīng luò jiàn màn màn
    柄んだ掛氎が淮氎に流れ蟌み、川の流れは次第に広々ず広がっおいく。

    雪 沫 乳 花 浮 午 盏
    xuě mò rǔ huā fú wǔ zhǎn
    雪のように癜い泡が、昌に飲む茶碗の茶の䞊にふんわり浮かび、

    蓌 茞 蒿 笋 试 春 盘。
    liǎo róng hāo sǔn shì chūn pán。
    蓌やペモギ、筍など、春の野菜を皿に盛り、季節の味を楜しむ。

    人 闎 有 味 是 枅 欢。
    rén jiān yǒu wÚi shì qÄ«ng huān。
    人の䞖で本圓に味わい深いものは、こうした枅らかな喜びなのだ。

    《浣溪沙·细雚斜风䜜晓寒》蘇軟

    少しず぀、詳しく芋おいきたす。

    现 雚 斜 颚 䜜 暁 寒
    现い雚が降り、斜めに吹く颚が、朝のひんやりした寒さを運んできお、

    淡 煙 疏 柳 媚 晎 灘。
    淡い霞の䞭、たばらな柳が、晎れた川蟺の景色にやさしく映えおいる。

    ここでは、南山の朝から昌に向かう情景を描写しおいたす。

    旧暊の1084幎12月24日は、新暊になおすず1085幎1月22日頃。
    1月䞋旬の冬山の早朝は、かなりの寒さだず想像されたす。

    小雚が降り、冷たい颚が吹いおいる朝の様子を描写した第䞀句。
    雚が止んだ霞の䞭で、川面に映る柳を描写した第二句。

    雚の倉化に、句のあいだを流れる時間が感じられたす。

    たた、「媚」ずいう字に、かすかな春の気配がにじみたす。

    入 淮 枅 掛 挞 挫 挫。
    柄んだ掛氎が淮氎に流れ蟌み、川の流れは次第に広々ず広がっおいく。

    蘇軟は、目の前に流れる淮氎を芋ながら、遠く䞊流の掛氎に぀いおも思いを銳せたす。

    この䞀句で、芖点は柳から倧河ぞず䞀気に広がりたす。

    雪 沫 乳 花 浮 午 盞
    雪のように癜い泡が、昌に飲む茶碗の茶の䞊にふんわり浮かび、

    蓌 茞 蒿 筍 詊 春 盀。
    蓌やペモギ、筍など、春の野菜を皿に盛り、季節の味を楜しむ。

    そしお、䞀旊広がった芖点が、次の句でふっず茶碗の䞭ぞ戻りたす。

    圓時のお茶は、今の䞭囜茶ず異なり、抹茶のように粉末状にしたものを煎じお飲んでいたした。
    圓時は、煎じた際に立぀泡が長く消えないこずが良いお茶の蚌ずされおいたした。

    そんな良質のお茶を味わっおいるず、運ばれおくる旬の野菜たち。

    そんな颚に、蘇軟ず友人の午埌のお茶の時間は、䜕気なく過ぎおいきたす。

    人 間 有 味 是 枅 歓。
    人の䞖で本圓に味わい深いものは、こうした枅らかな喜びなのだ。

    冬の山、冷たい颚、川面に映る柳、春の兆し、流れゆく倧河、玠晎らしいお茶、旬の野菜たち、友人ず過ごす䜕気ない時間──。

    「あぁ 」ず蘇軟は感じるのです。

    䞖の䞭で、本圓に倧事なのは、こんな玠朎な時間にある喜びなんだろう。


    芖点を䞀床マクロレベルに匕き䞊げたこずで、「友人ず過ごすお茶の時間」ずいうミクロな玠朎さがより際立っおいたす。

    「さぁ、䞖の䞭を芋枡しおごらんよ、こんなありふれた喜びに勝るものなんお他にある」

    ず、そんな問いを蘇軟は静かに投げかけおいるようです。

    芋぀ける「喜び」


    これが、蘇軟の《浣溪沙·现雚斜颚䜜暁寒》になりたす。

    冬が終わりに近づき、春の蚪れに心が躍る──。

    䞀芋するず、ただ、それだけを詠んだ詩に芋えたす。

    しかし、そこに、その時の蘇軟の半生や境遇を重ねるず、もう少し味わいが増したす。

    巊遷されるたでの蘇軟は、蚀わば「勝ち組」でした。
    競争を勝ち䞊がったこずで埗られる栄光の䞭で生きおきたした。

    しかし、眪を埗お巊遷されたこずにより、その栄光の党おを倱い、どん底の生掻ぞず突き萜ずされたす。

    競争瀟䌚で萜䌍者ずなった蘇軟は、おそらく悩んだこずでしょう。

    生きる目的、人生の意味、自分の䟡倀──。


    そんな蘇軟が、《浣溪沙》でたどり着いたのが、この䞀句。

    人 間 有 味 是 枅 歓。
    人の䞖で本圓に味わい深いものは、こうした枅らかな喜びなのだ。

    蘇軟が倱った喜びを「勝ち取る喜び」だずするのなら、
    蘇軟が《浣溪沙》で衚珟したのは、差し詰め「芋぀ける喜び」ず蚀えたす。

    時間が流れ、季節が巡るこずで、少しず぀倉化しおいく䞇物。
    その倉化を五感で受けずめながら、自分で発芋し、心を動かされた䜕かに出䌚う喜び。

    それは、誰かに決められ、䞎えられたものではありたせん。
    䞖界にアンテナを匵っおいるからこそ、出䌚えた喜びです。


    どうでしょう

    そう思ったら、䞖界に喜びを芋出す自分ずいう存圚に、䟡倀を感じないでしょうか

    「芋぀ける喜び」は、山の綺麗な景色がなくおも倧䞈倫です。

    むダホンを倖しお、人混みを歩いおみる。
    地元の人、地方から来た人、倖囜から来た人。
    買い物の話、友人の噂話、仕事の愚痎、子䟛を叱る声 、
    様々な声の断片に、たくさんの発芋がありたす。

    い぀も通る道も、ゆっくりず颚景に目を凝らしながら歩いおみたす。
    叀くなった看板の文字、店の奥で笑う新人バむトの子、街路暹の葉、濁った川底で泳ぐ魚たち 、
    日々色んな倉化があるこずに気づけたす。


    それを感じた喜びは、自分がいるからこそ出䌚えた喜びです。
    そこには、確かに䟡倀がある。


    「人間、味あるは是れ枅歓なり。」


    䞎えられた競争で䞀喜䞀憂するこずに疲れお自分を芋倱っおいたら、どうぞ自分から䞖界の偎ぞ出かけおいっおみおください。

    そこで芋぀けたあなただけの喜び、
    それこそあなただけの「味がある」人生。

    そう、蘇軟は教えおくれおいるような気がしたす。




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    犏岡圚䜏䞭囜滞圚歎10幎䞭囜党省・自治区・盎蜄垂・特別行政区を螏砎。 『犏岡人、䞭囜をゆく』運営。 䞭囜、犏岡、東アゞアの街を歩きながら、歎史・挢詩・文化・食・人々の営みを綎っおいたす。 䞭囜ず犏岡、その぀ながりの䞭にある物語を探しおいたす。

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