
銀河運送屋ビートル (Chapter 10)
AI(Google Gemini)との共作
「沈黙の宙域」の微弱な声
ラスト・リゾートを後にし、銀河の中心へと針路を取ったヘラクレスとスタッグ・シャドウ。星々の光が引き伸ばされる超空間跳躍を終え、二機が通常空間へと滑り出したその時だった。
ビーーー、ビーーー……。
コックピットのノイズ混じりのコンソールに、不規則な警告灯が明滅した。
通常の電磁波通信が遮断されるはずの「沈黙の宙域」の境界線――その近くにある、氷と岩石に覆われた名もなき死の惑星から、古い規格のSOS信号(遭難信号)が発信されていた。
「ジン、受信した? 救難信号よ。でもおかしいわ……この宙域には、政府の登録された航路も入植惑星もないはずなのに」
ケイの声に警戒の色が混じる。
「ああ、だがこの暗号コードには見覚えがある。……昔、俺がいた銀河政府軍の『特務部隊』が使っていた旧式の遭難信号だ」
ジンの表情が険しくなる。軍を捨てたはずの自分を、過去が追いかけてくるような奇妙な胸騒ぎがした。
「罠かもしれないわよ? 先を急いだ方が……」
「いや、発信源を見てみろ。エクリプス・コアへのルート上だ。放っておいて後ろから撃たれるのも御免だ。それに……もし本当に軍の残骸なら、政府の『農場惑星』に関する情報が眠っているかもしれない」
政府が独占する食料の秘密。ゼクシスが語った言葉がジンの頭をよぎる。
「……わかったわ。スタッグのステルスを維持したまま先行する。カブトムシ、はぐれないでよ」
二機は速度を落とし、白い吹雪が吹き荒れる極寒の惑星へと降下していった。

つづく