
銀河運送屋ビートル (Chapter 18)
AI(Google Gemini)との共作
ドラム缶の行方とヘラクレス
「……フッ、まったく頼もしい男だ」
沈黙を破ったのはゼクシスだった。口元に小さな笑みを浮かべ、諦めたように肩をすくめる。そばに立つケイも、どこか呆れつつも安堵したような表情で息を吐いた。
「覚悟は分かった。だがジン、実際問題としてこれからどうするつもりだ?」
ジンは腕を組み静かに言った。
「あのケイロトヌスに持ち去られたドラム缶が今どこにあるのか、追跡する手立てがない。それに、俺のヘラクレスは生物的な自己修復機能があるとはいえ、外部からの修理と合わせても完全に治るまでには数日はかかるはずだ。指をくわえて待っている猶予はない」
ジンの問いかけに対し、ゼクシスは落ち着いた足取りで操作パネルへと歩み寄った。
「ドラム缶の行方については心配いらない。……万が一の事態に備え、あの容器の内壁には高出力の追跡発信機が埋め込まれている」
ゼクシスが端末を操作すると、ホログラムモニターに広大な星系図が映し出された。明滅する小さな光の点が、宙域の一角を示している。

「信号の位置を確認した。……あるポイントで停止しているな」
「停止している……? あの怪物の巣窟か何か?」ケイが身を乗り出す。
ゼクシスは画面のデータを解析しながら言葉を紡いだ。
「あの『種子』を利用した生体兵器の開発が失敗に終わった今、奴らが次にとる行動は一つだ。あの種子を運び込み、発芽・栽培させるための『農場惑星』……そこに到達したのだろう」
「農場惑星……そこであの種を栽培されたら、手がつけられなくなるな」ジンが険しい表情で呟く。
ヘラクレスの修理を待っていては、中の種子が取り出され、栽培が始まってしまう恐れがある。一刻の猶予もない。
ゼクシスは腕を組み、しばし深く思考に没頭した。やがて意を決したように瞳を光らせ、ジンを直視した。
「……時間がないのは明白だ。ジン、君に託したいものがある。本来なら、私が自ら搭乗する予定で開発を進めていた……レジスタンスの最新型バイオ・シップだ」
「最新型のバイオ・シップを……俺に?」
「ああ。ヘラクレスをあそこまで使いこなせる君なら、新型のポテンシャルを極限まで引き出せるはずだ」
ゼクシスは端末からデータを抜き出すと、ジンとケイのデータデバイスへ転送した。
「そのバイオ・シップを極秘裏に製造している開発メーカー『ジェネシス・オルガニクス社』の座標だ。この惑星へ向かってくれ。現地にいる我々の協力者に話を伝えておく」
「了解したわ、ゼクシス。」ケイが頷く。
「スタッグ・シャドウのコクピットには2人乗れるはずだ。ケイ、ジンを乗せて行ってくれ。」
ゼクシスがそう言うと、ジンとケイはスタッグ・シャドウのコクピットに滑り込んだ。ハッチが閉じ、強力なスラスターが青白い光を放つ。
「気をつけてな、二人とも。よろしく頼んだぞ!」
ゼクシスの見送る言葉を背に、スタッグ・シャドウはドックのゲートを飛び出し、最新型バイオ・シップが待つ惑星へと向かった——。
つづく