
銀河運送屋ビートル (Chapter 15)
AI(Google Gemini)との共作
巨影現る――災厄の名は『ケイロトヌス』
ゴオン…………。
通信機器を介さず、バイオ・シップの生体組織を通じて直接響いてくるような、不気味で重厚な振動が宙域を包んだ。
それは、ケイがこれまで聞いたどの戦艦の駆動音とも違う、圧迫感に満ちた「うなり」だった。
「な……に、あれは……!?」
ケイは思わず息をのんだ。
そこに現れたのは、これまでの政府軍機体とは一線を画す、禍々しくも美しい巨大なバイオ・シップだった。

全幅はジンのヘラクレス・マークIVの倍以上。堅牢な装甲で覆われた巨体から異様に長く伸びているのは、この機体の特徴とも言えるふたつの「前脚」だ。その先端は、すれ違うデブリを易々と両断する巨大な鎌(シックル・ブレード)と化している。
ヘラクレスのコックピットで、ジンはその機体を見た瞬間、心臓が凍りつくのを感じた。
その悪魔的なシルエット、そして放たれる威圧感。忘れるはずがない。
「まさか……あの機体は……!」
コックピットから、全周波数の通信が入る。重々しく、冷徹な男の声が二人の脳内に直接響いた。
『――ここまでだ、レジスタンスの鼠。そして……久しいな、ジン・ストライカー』
その声を聞いた瞬間、ジンの脳裏に、かつて銀河政府軍に所属していた頃の記憶が蘇った。
冷酷無比な軍事戦略で第三銀河を恐怖に陥れる男。かつての上官であり、今の銀河政府軍の頂点。

「……ヴァルカン」
ジンが憎しみを込めてその名を呟く。
『貴公が軍を去り、しがない運送屋に身をやつしているとは聞いていたが。まさか、この種子のために命を懸けているとはな。』
ヴァルカンは冷笑を含んだ声で続ける。
『そのドラム缶……我が手に渡してもらおうか。この超大型バイオ・シップ、『ケイロトヌス』の鎌にかけられたくなければな』
ケイロトヌスが凶悪な長い鎌を静かに持ち上げる。
「ジン、あれは……私たちだけでどうにかなる相手じゃないわ!」
「……分かってる。だが、逃げ道はねえぞ」
ジンの目は、ケイロトヌスとその主、ヴァルカンをまっすぐに見据えていた。かつての因縁が、今、銀河の中心で再び交錯しようとしていた。
つづく