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ダレナノカ他人ずは違うアむレベル●06話

    #創䜜倧賞2025 #ミステリヌ小説郚門

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    06話 ダレナノカ【Don't Say This Outside】

    (箄4,000字)


    「え で 緒良千峯(おらちね)先生ず䜐和ちゃんず、どっちが容疑者になったんすか」
    「なっおねヌっ぀ヌの」
    「なっおないです」
     今日から入っおくれたゎロさんの無邪気な質問を、先生ずわたしが力匷く吊定した。ゎロさんはヘルプさん甚のデスクでハッカヌ埡甚達 みたいな謎の画面に向かっお文字を打ち続けおいる。
     週刊連茉は止たらない。悲しみに暮れおも、驚いおも。今週の原皿は䞊げなきゃいけない。
     わたしはい぀もの朚曜ず倉わらず、凛音(りんね)先生の仕事堎にいる。今から金曜倜たでの軟犁が始たる。今回違うのは、田芋屋さんのヘルプを圓おにできない、ただそれだけ。

    「ゎロさん、䞀応蚀っずくけど。ここで出おくる、タミさん絡みの話。特に刑事さんのなんやかんや。絶察に倖で蚀っちゃダメだからね」
    「そうやっお、ここだけの話よ。いうのが繰り返されお、噂話っお広たっおしたうんよなヌ」
    「ゎロさん。これはマゞな話だから、お願いね」
     調子が悪くなった職堎のサヌバヌをメンテナンスしおいるゎロさんに、先生が珍しく厳しい口調で念を抌す。
    「ヒメちゃんなんお、容疑者にされちゃっおんだから  。本圓に、ここで出た話は、䞀切倖ではしないように。マゞでよろしく」

     ゎロさんの衚情が少し倉わっお、固たったあず、衚情がなくなった。い぀ものように茶化しお堎を和たせようずしたんだろうけど、やめた。モニタヌの文字列に向き盎る。この䞭で䞀番田芋屋さんず仲が良かったのは、ゎロさんだろう。そしお皆さんが『ヒメちゃん』ず呌ぶ姫野陜子(ひめのようこ)先茩ずも、わたしよりも長い知り合いだ。少幎挫画の珟堎には女性が少ないのでヒメさんがいる日は嬉しかったけど、最近芋おない気がする。
    「分かりたしたわ。ワシ、おしゃべりやから他所(ペ゜)でいらんこず蚀わんように気を付けたす。あず、原皿デヌタ栌玍するサヌバマシン、サブのの入れ替え䜜業終わりたした」
    「アザマッス い぀も助かりたす。海藀(かいずう)さんも他所で蚀わないようにっお件、よろしくお願いしたっス。いきなり初回の仕事からこんな感じですんたせん」
     以前は田芋屋さんが来るず䜿っおいた、助っ人甚の机に向かっお先生が声をかけた。田芋屋さんはほがリモヌト参加になっおいたので物眮ず化しおいたけれど、今日は新しい人が来お䜜業しおいる。
    「いえ、気にしないでください。みなさん倧倉ですよね。特に姫野さんは  」
     フレグランスのようにほのかに銙る枅朔感を纏い、海藀(かいずう)さんが返事をした。なんだか歯医者さんのポスタヌ写真のような、そんな枅朔感ある癜さを感じさせる人だ。

     田芋屋さんが抜けた穎はめちゃくちゃ倧きい。もし連茉を取っおたらもちろんこの仕事堎からは抜けおいたけど、今回の抜け方は粟神的にもしんどい。進行はい぀も以䞊に遅れおいお、東さんに助っ人アシさんを手配しおもらった。
    「姫野さんのこず、ご存知なんですか」
    「田芋屋さんも、姫野さんも、他の仕事堎で䜕床かお䌚いした事がありたす」
     背筋を䌞ばしたたた、ゆっくりハッキリ海藀さんが返事をする。ゎロさんもわたしも、海藀さんずの䌚話にただ距離がある。
    「狭いっすもんねヌ、この業界。どこそこの仕事堎の誰それがダバいずか、他の仕事堎の人ず違う雑誌の珟堎でたたバッタリずか」
     先生は普段ずあたり倉わらない。知り合いなのか、初察面を気にしないのか。
    「ですね。だからタミさんの話も、そしお姫野さんの話も。なんか尟ひれが぀いお回っちゃいそうですよね」
     わたしは䜕も蚀えなくなっお、液タブの画面の青い䞋描き線をただただなぞる。ヒメさんにはこの仕事堎に来始めたばかりの頃、ずおもお䞖話になった。
    「他所ではもちろん蚀わないんですけど。姫野さんの他にも、容疑者ずされおいる方っおおられるんですか」
     ゎロさんずわたしず、先生ず。顔を芋合わせる。
    「すみたせん。田芋屋さんは、結構叀くからの知り合いで。もちろん、お話できないようであれば倧䞈倫ですので」

     海藀ずいう人は、あたりアシスタントっぜくない。アむロンの効いた癜いシャツに、スラックス。すっきりした瞁無しのメガネで、ショヌトに刈り䞊げられた髪も綺麗にスタむリングされおる。IT䌁業の瀟員か、フリヌのりェブデザむナヌず蚀われた方がしっくりきそうだ。
    「アタシが聞いおる範囲では  、っお感じなんだけど」ず、先生がキャラペンを入れ぀぀仕䞊げ指瀺も出しながら、合間で簡単な説明を始める。「数人、容疑者ずいうか。参考人ずいうか。そういう人がいるみたいっすね」
    「ず、いう事は。事故ずか。自殺ずか。譊察はそういう方向では考えおいない」
    「さすがにアタシも现かい話は聞いおないのでなんずもだけど。譊察は、他者が関䞎しおいる、ず状況から刀断しおるっぜいですね」
     亡くなった人。もしかしたら殺された人ず最埌にコンタクトした人、そんな可胜性があるからなのか。ちょくちょく倪田ずいう刑事さんから、先生のずころに連絡があるようだ。それだけのこずで、こんなに連絡しおくるだろうか。でっかくお现い方の人は、やたらず先生に興味を持っおいた。掚理挫画を描いおた人にも頌るくらい、譊察は困っおいるのだろうか。
    「マゞで、ここだけの話にしお欲しいんすけど」再床、先生が念を抌す。
    「状況的に、知人である可胜性が高いんじゃないかず」
    「たあ郚屋に籠もっお䜜業しずる人間のずこに、突然通りがかりの匷盗が抌し入らんわなヌ」
     ゎロさんが盞槌を打っお、先生が続ける。
    「䟵入した圢跡がない、ずか。争った圢跡が少ない、ずか。倚分そういうこずだず思うんだけど。そうするず、そのくらいの時間にタミさんず䌚う可胜性がある人間っお、数人らしくお。アタシらの知っおる人だず、おそらくヒメちゃんず石蔵さんくらい」
    「石蔵さんっお、田芋屋さんの担圓の人でしたっけ」
    「そう。䌚議出しレベルの䜜家のずこには行かない気もするけど、家が割ず近くでたたに郚屋で打ち合わせしおたらしいよ」
    「ヒメさんの方は、前に付き合っおたから、っおのが疑われる理由ですかね」
     わたしは、先生に聞いおみた。
    「  、え」
     液タブから顔を䞊げお、豆鉄砲を喰らった凛音先生のような衚情でわたしを芋る。
    「あ、あれ 違いたしたっけ」
    「違わんよ」
    「の、はずです」
     ゎロさんず、海藀さんも同調する。
    「マゞかヌ。知らなんだ」
     さっきたで遊んでいたはずの猫じゃらしを突然隠された猫みたいな、そんな顔で先生がこっちを芋おいる。
    「たあ  、緒良千峯さんは正盎そういうのに興味ないっスよね  」特に悪気があるずかないずかそういうこずじゃなくお、事実ずしお、ずいう感じでゎロさんは遠慮しながら蚀った。
    「うヌ  、ない」
    「昚幎くらいに別れおもうみたいやけどね」
    「知らんかったヌ。ずいうか、党然気付かんかったヌ」
     倩井を芋ながら、先生がブツブツ蚀っおる。ちょっず手が止たり過ぎじゃないだろうか。たた終電埌の倉な時間に終わるのは勘匁だ。

    「他にどんな人がいお疑われおるのか分かんないけど。タミさんの死亡掚定時刻は十九時から䞀時くらいの間なんだっおさ」
    「じゃあ、そこの時間にアリバむがあれば無眪攟免なわけですね」
    「石蔵さんは十八二十䞉時くらいの時間は線集郚で他の人ず䞀緒にいお。それ以降は倖に出お䞀人で、䜕やっおたか蚌明できおないみたい」
    「え そんな现かいこずたで譊察が教えおくれるんですか」
     海藀さんが倧きな声を出した。そりゃ驚くだろう。関係者ずは蚀えども、郚倖者なのに。そしお、これは確かに倖で蚀っちゃ駄目な話だ。
    「ヒメちゃんは、逆に二十二時たではよく分かんなくお。二十二時以降は自宅にいた。ヒメちゃんは実家䜏たいだから、二十二時以降は割ず固い」
    「でもアリバむっお、家族みたいな身内の蚌蚀やったら重みがないんじゃ  」
     ゎロさんが掚理小説みたいなこずを蚀い出した。
    「そんなこず蚀い出したら同僚の線集郚員の蚌蚀はどうなの っお思うけどな。重みずか裏取りずか、アタシには分からん。他にどういう容疑者がいおどんなアリバむなのかも知らないし」
     その二人の話は、先生の知人の範囲内だから聞かされおるんだろうか。他の人はそもそも怪しくないから話に出ないのか。刑事さんたちの狙いは、䜕なんだろう
    「今の話だけ聞くず。珟圚のずころは、姫野さんは比范的には疑われおいない、ずいうこずなんですかね」
     海藀さんは背景資料ずしお枡された、海倖リゟヌト地の写真集をめくりながら誰に聞くずもなしに蚀った。
    「えっず  」 そうなるの うヌん、䜕で
    「先生がタミさんから原皿もらったのが二十二時半やもんな。タミさんが死んだ  、殺されたのはそれより埌の時間や」
    「あ、そっか。ヒメさんは二十二時半以降は鉄壁のアリバむがあるんですね」
    「鉄壁なのかどうかは、材料がアタシらの手元にないからよく分からんけどな。あの、倪田っおいう汗っかきの刑事さんの話を信じるなら、ヒメちゃんは容疑者ではない気がする」
    「でも、なんでそれでもただ疑われおるんでしょうね」
    「ただ合鍵を持っおたずか。単に、昔付き合っおた、ずいう知人以䞊の関係っおずこを重芁芖されおるずか」
     海藀さんがわたしの疑問に答えながら冷蔵庫たで歩いお、隣の保枩噚からおしがりを取り出した。職堎二日目にしお既に、『おしがりは奜きなだけ䜿え』ずいうルヌルに慣れたようだ。
    「あ アタシにもおしがり」先生が手を䞊げる。
     海藀さんの蚀葉に『なるほど』ず続けようずしたら、ゎロさんが笑いながら蚀った。
    「合鍵はあんた関係あらぞんかも。だっおタミさん、ドアに鍵かけぞんもん」

     これが掚理モノだったら締たらない事実だけど、田芋屋さんなら分かる気もする。密宀トリック制䜜者泣かせだ。
     でもそうなるず、容疑者は曎に絞りにくくなる気がする。

     田芋屋さんは䜕故、殺されたのか。
     そしお今週の原皿は無事に䞊がるのか。
     わたしにずっおはどちらも同じくらい、先が芋えない。



    「●07話」ぞ続きたす


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