
③選択的別姓婚をしてた私が思い描く 内からも外からもCOOL JAPANな未来予想図/反対一問一答
「選択的夫婦別姓婚」を考える第3回め。
今回は反対する人たちの意見に賛成の立場から一つ一つ「ツッコミ」を言わせてもらう回。
前記事を読んでいなくても大丈夫だけど時々その内容に言及するので、後からでも読んでくれると嬉しい。過去2回の内容を要約するとこんな感じ。
第一回 マクロ視点=いろいろな国際ランキングで下がり続ける日本。世界の空気、読めてないよヤバいよ!
第二回 ミクロ視点=私の名前へのこだわりと実際に国際結婚で別姓婚をした経験談。(多分一番軽いのでここからがオススメ)
それでは、さっそくVámonos!(全4100字)
5. ここがヘンだよ反対派の意見
特定の人の意見を引用して炎上することは避けたいので、AIに「反対派の上げる理由は何?」と聞いて出てきた意見を使っていく。
うちのAIリズによると次の5つだそうな。
1) 伝統・文化への影響
AI: 夫婦同姓は長い歴史と伝統を持つ日本の文化であり、それを変えることは日本のアイデンティティを損なう。
よく聞く鉄板ロジックだ。さっそくツッコミを始めよう。
まず「長い歴史と伝統」というなら千年くらいは続いていて欲しいけど実際はどうか。色々調べていたら面白い資料を発見した。
法務省、まさに法律の総元締めの資料だ。
これによると、
明治になって全ての日本人に氏(姓)の使用が認められ、また義務化された。
明治9年(1876年)の政府司令ではなんと夫婦別姓だった!
夫婦同姓になったのは明治31年(1898年)から。
つまり新体制になって30年も経ってから。
時代的には日清戦争に勝利して軍国主義が本格的になる時期。この特殊な時期に始まった、たった100年ちょっとの歴史のものを「長い歴史と伝統を持つ日本の文化」というのはかなり無理がある。
さらに別の法務省のページによると、江戸時代の氏を許されていた武家の女性は実家の氏を名乗っていたらしい。つまりこちらも夫婦別姓。
あらら。てことは。
夫婦別姓こそ歴史ある日本の伝統なのでは?
それを無視して「日本の」と主語のデカい「アイデンティティー」にしてしまうのは、言っちゃえば普段温厚な人が酔っ払って上司に暴言を吐いただけで「あの人は野蛮な人」って決めつけるようなもの。違うでしょ。お酒でキャラ変してるのを一般化しちゃ。逆に酒の席での出来事なんて「なかったこと」にするのが大人のマナーというものである。
2) 夫婦の結束の弱体化
AI: 夫婦同姓は夫婦の結束や一体感を象徴しており、別姓はそれを弱める恐れがある。
悲報です。
同姓であっても夫婦の結束や一体感などもはや幻想です。
年々増大する「熟年離婚」に「死後離婚」。
上の記事によると「夫」が嫌、と言うよりは見知らぬ土地で知らない親戚と入るのが嫌だったり夫の両親と死んでまで一緒にいたくないなど、反対派さんたちが大事にしたい「家制度」(法律的には戦後廃止されているが形は依然残っている)に正面切ってNOを突きつけている。
そもそも先日レビューした橘玲著(日本人)によると「日本人は超個人主義」なのだから、当然と言えば当然だ。こうした日本人の気質が「形」や「枠」をいかに整えたところでそこに収まるはずもない。逆に抑えられた分反発が大きくなるだけだ。
現在の同姓婚では女性が男性の姓に変えるのが95%だ。「嫁」という字が象徴しているように「女を家に縛りつけ、奴隷(こちらも女へん)のように奉仕させたい」という男性中心的な価値観が見え隠れする。専業主婦を美化する風潮は、女性の社会進出を阻む要因となり、結果として経済成長の潜在力も阻害している。
日本の国際社会におけるガラパゴス化、そしてアトランティス化(註:第一回で言及)を止めるためにも、女を家から解放しなくてはいけない。
3) 親子関係の曖昧化
AI: 子供の姓が両親と異なることは、親子関係の認識や社会的なつながりを弱める可能性がある。
これは別姓が認められている国際結婚の夫婦とその子供、そして別姓を選択している全ての国を敵に回したいのだろうか、とツッコまずにはいられない。
前述の橘玲氏の著書レビューで述べたように完全夫婦別姓のメキシコは、日本では考えれないほど家族が仲良しだ。
勤務先の学校の近くの映画館で「日本映画特集」が組まれたので、バスをチャーターして全生徒で見に行った時のこと。題名は忘れたが娘や妻に「濡れ落ち葉」扱いされる可哀想なお父さんが登場していた。日本では残念ながらよく見聞きする「当たり前」の状況だが、こちらではあり得ないので逆に生徒たちは「面白がって」いたのが印象的だった(この問題の解決案は第4回で述べたい)。
「別姓」が「当たり前」ならそこに「友人から親と姓が違うことで何か言われて子どもが嫌な思いをするのではないか」と言うような心配もいらない。「当たり前」になるよう親や学校、社会が全力をあげてそうした雰囲気を作り上げる必要はあるだろうが。
私は逆に別姓になると子どもにとっていい効果があると思う場面が一つ浮かぶ。
それは親の離婚時だ。
私の近しい「知人」の話。彼女の子どもは一年のうちに2回姓が変わった。
一度めは離婚した「母親」の旧姓に。
二度めは再婚した「新しい父親」の姓に。
両親の離婚や再婚でただでさえ不安定になっている時に自分の姓が変わる。自分のアイデンティティーさえも揺らぎその子は何も悪くないのに辛い思いをするかもしれない。引っ越しがなければ友人たちからも何か心ない言葉を投げつけられることもあるだろう。
でも別姓が認められるなら離婚や再婚でいちいち姓を変えなくてもいいことになる。2026年から施行される共同親権の制度とともに明るい話題だと思うのだがどうだろう。
もちろん離婚しないで親子みんなが仲がいいのが一番理想的なのだが。
4) 社会的な混乱
AI: 別姓導入は、社会全体に混乱や不平等を生み出す可能性がある。
混乱は、まあ納得はしないが理解はできる。
どんなことでも「改革」の最初はいろいろ混乱もあるだろう。しかしそれを恐れていては「進歩」はあり得ない。この変化を嫌い、多少の不便はあっても建前上は今ある制度に自分を合わせ裏では不満を募らせる日本人の気質こそガラパゴス化の一番の原因だと私は思う。本質を見誤ってはいけない。
またこれによる「不平等」?
これは私は予想もつかない。もし反対派の方でその例を挙げられる方がいたら是非コメント欄で教えてほしい。
逆に別姓を導入しないことで社会に混乱や不平等が生まれている面なら指摘できる。それがこちら。
事実婚を現状では選ぶしかない58,7万の人たちが法のもと平等に権利を獲得できる日が1日も早く来ることを願うばかりである。
5) 戸籍制度の混乱
AI: 別姓導入は戸籍制度の複雑化や混乱を招き、行政手続きや社会生活に支障をきたす。
これはそもそも論で、煩雑なペーパーワークを必要とするもの(完璧なブルシット・ジョブ)など廃止してしまえ!と私などは思うのだが、戸籍制度(これも世界的にはどんどん廃止されている旧制度)を守りたい支持者が一定数いるようだ。「家制度」大好き派閥と思われる。
しかし2) で述べたように、もはや家制度の中身は瀕死状態なのに「カタチ」だけ守っても、それこそ無駄な仕事を維持するだけな気がしてならない。
それに戸籍には私は深〜い恨みがある。
第一回で世界デジタル競争ランキングで日本は32位であることに触れたが、これも関係していることだ。
私は数年前、自分のパスポートが切れてしまっていることに気づいた。その時世界はパンデミックの終わりがようやく見え始めた時期。パンデミックさえなかったら旅行を頻繁にしていて気づいただろうに、すっかり出番を無くしていて箪笥の奥底に眠ってしまっていて気づかなかったのだ。
すぐさま日本大使館に連絡した。この特殊事情を考慮してなんとか延長手続きでお願いできないか頼んだのだが、切れているなら新規申請の手続きになる、と電話口の女性職員さんは杓子定規の回答をほんの少し申し訳なさそうに繰り返すばかりだった。
新規申請だと「戸籍」がいるのだ。この受け取りは日本からの「郵送」のみ。
この令和の時代に!!(※2025年からやっと電子で受け取れるようになった)
メキシコの郵便事情は……ヒトコトで言うならバクチだ。日本に絵葉書を出して無事届いたのは2、30%と言うようなイイカゲンシステムに、そんな大事なものを託さなくてはならない。戸籍さえなければ……と私が思うのも無理はないだろう。
古銭や旧壱円札などと一緒に龜に入っていた「士族」と書かれた我が家の戦前の戸籍を子供のとき目にしたことがある。
そう。かつてはそうした「身分」までも記載されていた。これは戦後廃止になったが、今でも婚姻や家族関係、転出入など様々な記録が記載され、プライバシーの保護上の問題も時々起こっている。
メキシコのacta de nacimiento. 出生証明書。
書いてあるのは両親の名前とそれぞれの両親(本人にとって祖父母)の名前のみ。
このくらいシンプルでイイんじゃないかな。大事なのは「過去」でも「家」でもなく「今」の「自分」だと私は思う。

次回予告
ようやくこのシリーズのゴールが見えてきた。
次回は某アニメや本のタイトル風に言えば
「私たちはいかに生きるか」
そんなことをこの選択的夫婦別姓婚制度をベースに語れたらと思う。
本シリーズ・インデックス
第1回
1. 私は別姓婚に積極的に賛成だ
2. 別姓婚反対派の方へ
1) 現在の日本の世界におけるポジション
2) 日本が今できる失地回復・起死回生案
第2回
3.たかが名前? されど名前!
1) こだわり① 姓名の並び順
2) こだわり② 裁判での名前変更
4. 実録・夫婦別姓が選ばれるとき
第3回(今回)
5. ここがヘンだよ反対派の意見
1) 伝統・文化への影響
2) 夫婦の結束の弱体化
3) 親子関係の曖昧化
4) 社会的な混乱
5) 戸籍制度の混乱
第4回
6.ウチにCOOL JAPAN
1)今は国民に対してCOOL(冷たい)!
2)家の中もCOOL(冷えきっている)?
3)未来へCOOLに(落ち着いて)行動!
第5回
3')賛成派も反対派もLet's COOL down (落ち着こう)!
7.ソトにCOOL JAPAN
1)今は世界情勢にCOOL(無関心)
2)真のCOOL(イケてる)JAPANへ!
8.YES, we can!
お読みくださりありがとうございました。
Hasta pronto! またお会いできますように
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