
三題噺ショートショートvol.68_隣
落語家もすなる三題噺といふものを、コジも、してみむとてするなり。
企画もの、大の苦手なのである。
どんな親しい人の企画ものでも、なかなか素直には乗れない。
私は、「ルール」とか「決まり事」とか「期限」とか「締め切り」とかという制限事項が世の中で一番嫌いなのだ。
いくつになろうが、聞かん坊の悪ガキ。それが、私、kojuroだからである。
え?落語?三題噺?ヤスシさん?

今週の三題
1.怪談話
2.4月始まりの手帳
3.日傘
心の中の、リトルkojuroが、ボソリと、呟いた。
コジ、別名、天の邪鬼志朗だろ。「もし書けなかったとしても、それはそれでOK。でも、やってみなきゃ、もったいない!」なんてこと言われたら、逆に書きたくなるんじゃないの?
なんのはなしですか。

わかったよ、書くよ。書く書く。書けば良いんでしょ、リトル。それで、いいんだろ?
ブラックホールよりも重い重い重い腰を上げて、半ば自暴自棄に筆を執る。
さて。では、三題噺ショートショート「隣」まいりましょうか。

あれは入学してすぐのことだった。最初に参加した合コンでの出来事だ。
春季、皇子山でのリーグ戦。
新入りの俺はスタンドでファールボールの回収で走り回っていた。
その日の応援は疏らだったが。ひとり、日傘をさして静かに観戦する女性がいた。
すごく気になった。
試合後、河原町に繰り出して席につくと、隣はなんと彼女だった。
中締めの後、彼女は早めに帰ると言ってひとり店を出た。
席には、真新しい4月始まりの手帳が残されていた。
彼女のだ!
咄嗟に彼女を追いかけたが結局見つからず。手帳は俺が持っておくしかなかった。
一月後。また同じメンバーで合コンが企画された。
手帳を返せる。そう期待して参加したのだが。彼女の姿は、無かった。
同席の女子メンバーにしつこく聞くと、渋々教えてくれた。
突然、失踪したのだという。
手帳には、4月1日に一言だけ、書かれていた。
「翼が欲しい」
怪談話のような不思議な出来事だが。
手帳は今も、俺の机の引き出しの奥に、しまってある。

そんなこんなを家内と語らおうとしてソファーに目をやると、家内が脚を指さしてニッコリと笑っていた。
「コジくん、マッサー(注1)してね。もう、合コンには参加しないよね?さすがに」
「…」
マッサージをすると、家内は、上機嫌である。
家内が上機嫌だと、我が家は平和である。
だから。
これで、いいのだ。

(注1)マッサーとは、マッサージのことである。家内のさっちゃんがそうやって、略して言うのである。さっちゃんへのマッサーは私の最重要の日課である。
今日の投稿を入れて、68作。俺にしちゃあ、三題噺もけっこう書くには書いたが。これ、どこまで続くの?
いつまで書くの?
初回から一年を超え、まだまだお題を発してくれるヤスシさんとの根競べだ。
