
三題噺ショートショートvol.65_天職
落語家もすなる三題噺といふものを、コジも、してみむとてするなり。
企画もの、大の苦手なのである。
どんな親しい人の企画ものでも、なかなか素直には乗れない。
私は、「ルール」とか「決まり事」とか「期限」とか「締め切り」とかという制限事項が世の中で一番嫌いなのだ。
いくつになろうが、聞かん坊の悪ガキ。それが、私、kojuroだからである。
え?落語?三題噺?ヤスシさん?

今週の三題
1.映画のエンドロール
2.マクドナルドのハッピーセット
3.よくわからないネジ
心の中の、リトルkojuroが、ボソリと、呟いた。
コジ、別名、天の邪鬼志朗だろ。「もし書けなかったとしても、それはそれでOK。でも、やってみなきゃ、もったいない!」なんてこと言われたら、逆に書きたくなるんじゃないの?
なんのはなしですか。

わかったよ、書くよ。書く書く。書けば良いんでしょ、リトル。それで、いいんだろ?
ブラックホールよりも重い重い重い腰を上げて、半ば自暴自棄に筆を執る。
さて。では、三題噺ショートショート「天職」まいりましょうか。

聡は車が好きだった。幼少の頃から、四六時中車を触るような仕事をしたいと思っていた。
特にスポーツカーが好きで。何時ぞやのマクドナルドのハッピーセットの限定スーパーカーシリーズを全て手に入れたくて、マネージャーの母に無理を頼んだ。
母は特技を持っていた。袋の中身を手触りだけで百発百中で当てる。
勿論、コンプリートして手渡してくれた。
高3になったとき。メカニックになると告げたら、父が猛反対した。稀有な野球の才能があるのだからとプロへのチャレンジを強く勧めたのだ。
ある日のこと。
廃車を全部バラして組み立て直そうとしたとき。大量の部品の中から、よくわからないネジ1本を一瞬で見極めて弾いた。
父は彼の目利きに感服し、折れた。
夏の大会後、数多の誘いには目もくれず。彼はキッパリ引退した。
あれから時が流れた。
最近、映画のエンドロールに技術監修と銘打たれた彼の名を見つけた。
彼は今、世界を飛び回る、あのフェラーリF1のチーフメカニックだ。

そんなこんなを家内と語らおうとしてソファーに目をやると、家内が脚を指さしてニッコリと笑っていた。
「コジくん、マッサー(注1)って、身体の整備するわけだから、メカニックみたいなもんだね」
「…」
マッサージをすると、家内は、上機嫌である。
家内が上機嫌だと、我が家は平和である。
だから。
これで、いいのだ。

(注1)マッサーとは、マッサージのことである。家内のさっちゃんがそうやって、略して言うのである。さっちゃんへのマッサーは私の最重要の日課である。
今日の投稿を入れて、65作。俺にしちゃあ、三題噺もけっこう書くには書いたが。これ、どこまで続くの?
いつまで書くの?
初回から一年を超え、まだまだお題を発してくれるヤスシさんとの根競べだ。
