メインコンテンツへスキップ
見出し画像
Photo byclean_roses987

三題噺ショートショート_幻

    落語家もすなる三題噺といふものを、コジも、してみむとてするなり。

    企画もの、大の苦手なのである。

    どんな親しい人の企画ものでも、なかなか素直には乗れない。

    私は、「ルール」とか「決まり事」とか「期限」とか「締め切り」とかという制限事項が世の中で一番嫌いなのだ。

    いくつになろうが、聞かん坊の悪ガキ。それが、私、kojuroだからである。


    え?落語?三題噺?ヤスシさん?

    画像
    犯人て……ムズいっ



    心の中の、リトルkojuroが、ボソリと、呟つぶやいた。

    コジ、別名、天の邪鬼志朗あまのじゃくしろうだろ。「もし書けなかったとしても、それはそれでOK。でも、やってみなきゃ、もったいない!」なんてこと言われたら、逆に書きたくなるんじゃないの?


    なんのはなしですか。

    画像
    書くの? 書かないの? どっちなんだいっ!



    わかったよ、書くよ。書く書く。書けば良いんでしょ、リトル。それで、いいんだろ?


    ブラックホールよりも重い重い重い腰を上げて、半ば自暴自棄に筆を執る。

    さて。では、三題噺ショートショート「幻」まいりましょうか。


    画像

    匠たくみは、動物占いで「虎」と判定された。虎は信頼と誠実の象徴だという。

    成績優秀、エースで四番のキャプテンと来れば、誰ひとりその見立てに抗あらがうものはいなかった。




    高三の夏、我が部は五回戦まで進み。あとひとつで決勝進出だった。

    匠はプロスカウトが見に来るくらいの逸材だったから、誰もが本気で夢を見た。




    ところが。



    準決勝のマウンドには、匠の姿は無く。まさかのコールド負けを喫したのである。


    匠はその朝、歯磨きのときにぎっくり腰となり。雪の降る季節までリハビリを余儀なくされた。




    それまでの匠の積み上げもあり、誰もが口をつぐんでいたのだが。ある年OB会で同期が集まったとき、とうとう晴男が事を起こした。

    晴男は控え投手で。あの日緊張の余り制球が定まらず、火達磨ひだるまになった男である。


    晴男は匠の襟首を両手で掴んで言い放ったのだ。

    「犯人は、あなたです!」



    一瞬の間の後あと。二人は抱き合って号泣し。やがて泣き崩れた。





    つくづく。




    思い出はほろ苦く。そして、美しい。

    画像



    そんなこんなを家内に語ろうとして後ろを振り向くと、空のソファーが、静かに笑っていた。

    先日から家内は、あるプロジェクトで、ローカルのホテルに泊まり込んでいる。

    シーンとした部屋の空気に、なんだか、心が追いつかない。



    昼間のやりとりからすると、家内は、元気なようである。

    マッサー(注1)は無いが、家内が元気だと、我が家は、明るくて平和である。





    だから。





    これで、いいのだ。

    画像
    三題噺なぁ……ムズいわなぁ……


    (注1)マッサーとは、マッサージのことである。家内のさっちゃんがそうやって、略して言うのである。さっちゃんへのマッサーは私の最重要の日課である。




    俺にしちゃあ、三題噺も、けっこう書いたは書いたが。ムズい。ムズすぎる。笑


    画像
    俺の三題噺なんてなぁ……つまらないよなぁ


    この記事が参加している募集

     
     
     

    kojuro

     
     
    なぜかキナリ杯をきっかけに、noteを書くようになった。気ままに、気長に、書きたいときに、書きたいことを書きたいだけ書く。

    あなたへのおすすめ