
論文賞入選、そして初めての単独発表。—査読への挑戦⑦
この1週間は、私の研究者としての歩みにおいて、間違いなく忘れることのできない時間になりました。
自己紹介
1. 初めての査読付き論文が、学会誌として届いた
始まりは、一冊の学術誌が手元に届いたことでした。
修士時代からお世話になっている指導教員の先生との共著論文が、厳しい査読プロセスを経て、学会誌に掲載されたのです。
自分の名前が、査読付き論文として活字になっている。
その紙面を手にしたとき、うれしさ以上に、ずしりとした重みを感じました。
実務の経験を、研究として鍛え直す。
その第一歩が、ようやく形になったのだと思いました。
2. 論文賞の表彰式で感じた、身の引き締まる思い
そしてこの週末、もう一つの大きな節目を迎えました。
ある論文賞において、私の執筆した論文が、奨励作に選出されたのです。
一生に何度もあることではないと思い、厳粛な気持ちで表彰式に出席しました。
賞状を手にした瞬間、身の引き締まる思いが込み上げました。
25年にわたる実務の現場。
大学院でのロジック構築の日々。
査読コメントに向き合いながら、自分の経験を研究として鍛え直そうとしてきた時間。
それらが、少しだけ報われたような感覚がありました。
本当に、参加してよかったと心から思います。
3. 初めて一人で立った、学会発表の教壇
しかし、そこで終わりではありませんでした。
翌日、私はそのまま、ある学会の研究発表大会に向かいました。
今度は、先生の背中に隠れる共著ではありません。
一人の研究者として挑む、初めての単独での口頭発表です。
前日の表彰式で得た重みを背負いながら、同時に、厳しい問いにも耐えられるよう、発表原稿とスライドを最後まで磨き込みました。
理論説明は足りているか。
先行研究との関係は明確か。
概念は観察可能な形で示せているか。
事例の比較分析は、言い過ぎていないか。
この数週間、何度も自分に問い直してきた論点です。
そして、あの教壇に立ちました。
発表が始まる直前、少しだけ不思議な感覚がありました。
表彰式の余韻が残っている一方で、目の前にあるのは、まったく別の緊張感でした。
賞をいただいたことは、大きな励みです。
しかし、学会発表の場では、それだけで評価されるわけではありません。
問われるのは、研究としての問いが明確か。
先行研究との関係が整理されているか。
事例から言えることと言えないことを、きちんと区別できているか。
そして、実務家としての経験を、単なる経験談ではなく、どこまで学術的な分析へと鍛え直せているか。
そのことを、教壇に立った瞬間、改めて強く感じました。
発表後には、想像していた以上に温かく、また刺激的なフィードバックをいただきました。
フロアの先生方からは、私がこれまで実務の現場で蓄積してきた一次データの厚みや、現場に深く入り込んでいるからこそ見える解像度について、評価をいただきました。
また、質疑応答では、理論的枠組みの発展可能性や、今後さらに深めるべき論点について、いくつもの貴重なコメントをいただきました。
それは、単なる称賛ではありませんでした。
次の研究に進むための宿題でもありました。
教壇を降りたとき、胸にあったのは、深い安堵と、言葉にしきれない嬉しさでした。
同時に、ここがゴールではないことも、はっきりと感じていました。
4. ここから、次の研究へ
査読付き論文の掲載。
論文賞での奨励作。
そして、学会での初めての単独発表。
この3つが重なった1週間は、私にとって大きな節目でした。
けれど、研究者としては、まだ始まったばかりです。
実務家として積み重ねてきた経験を、どこまで学術の言葉に鍛え直せるのか。
現場で見てきた経験を、どこまで経営学の理論として説明できるのか。
そして、博士後期課程への挑戦に向けて、どこまで自分の研究を磨き込めるのか。
その問いは、これからも続いていきます。
この1週間で得た経験を、次の研究へとつなげていきます。
(つづく)
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