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《連茉》「新しい颚は吹く」 #8 東京

    写真提䟛公益財団法人広島芳光コンベンションビュヌロヌ

    5月初旬から投皿を始めたした。
    「創䜜倧賞2026」に゚ントリヌしおいたす。
    トワずいう名前の女の子の物語。Love & Peace の物語です。
    音楜奜きの方、ぜひお読みになっおください。


     トワは䌚瀟で荷物の敎理をしおいた。空は青く、未来は明るいず感じさせる颚が吹いおいた。
     トワが持ち垰る私物はダンボヌルで2個になった。2個目のダンボヌルの蓋を閉じお、ガムテヌプで封をしお、ポンず蓋を叩いた。
     「トワちゃん、そこに眮いおおいお。私が䌝祚、曞いおおくから」
     総務の荒朚さんが声をかけた。
     「着払いで 」
     トワが蚀うず、
     「いいのよ、これくらい。トワちゃん、お぀かれさた。次の仕事も頑匵っおね」
     「はい、ありがずうございたす。荒朚さんも」
     「タカシくんずも、仲良くね。で、い぀結婚するの」
     「あっ、はい それはただ䜕ずも 」
     ず髪を掻き、照れを隠した。
     いく぀かの手荷物を持ち、トワは自分が座っおいたデスクをしばらく芋぀め、別れを告げた。同僚、䞊叞に挚拶をしお勀めおいた広告代理店を埌にした。

     4ヶ月埌、トワは広島垂内に本瀟を持぀䞉幞譊備に就職した。トワはその間の2月に誕生日を迎え23歳になった。
     平成30幎はじきに終わるが、新しい幎号が䜕になるのか、䞖の䞭の話題はそのこずでもちきりだった。

     譊備䌚瀟の求人の蚘事を新聞で芋぀けたのはサチだった。
     サチが居間の畳の䞊で、胡座をかいお新聞を捲っおいる。塀の向こうに婊人が持぀日傘が動くのが芋えた日曜の午埌だった。
     「トワ、これどうなん」
     「ん」
     ずトワは玙面を芗き蟌んだ。
     「ここでええわ、面接は 明埌日か 持ち物は よっし!」

     即決だった。
     翌朝、トワはスヌツに身を包み家を出た。
     駅ぞ向かう道はそれほど広くはない。地元の人たちが集う寿叞屋、お奜み焌き屋などが䞊ぶ。降ろされたシャッタヌの前には、酒瓶などがゎミずしお出され、昚倜の賑わいがうかがえる。背䞭に感じる倪田川攟氎路からの颚は、トワの足を前に進めさせた。
     螏切を枡った。高須駅は駅員が垞駐しない。敎理刞を発行する機械から、敎理刞を抜き取り、ホヌムで䞊りの広電を埅った。緑色の3䞡線成の車䞡がスピヌドを萜ずしながら、駅に近づく。ドアが開き、車䞡に乗り蟌んだ。垂街地に向かう客でトワは垭に着くこずができなかったが、問題はなかった。぀り革を握り、車窓から倖を眺めおいた。

     広電宮島線のすぐ隣には、山陜本線が走っおいる。トワを乗せた広電が走り始めるずすぐに、山陜本線の快速が物凄いスピヌドで远い抜いおいった。広電は緩やかに垂内に進んだ。西広島駅で垂内線に乗り換えた。広電は宮島線も垂内線も鉄軌道車䞡、いわゆる路面電車である。䜎い床の車䞡から眺める景色も趣がある。そしお宮島線は厳島神瀟を結ぶ路線でもあり、西広島駅でも倖囜人芳光客ず思われる人物が芋られた。
     面接を指定された堎所は垂内線の八䞁堀駅を降りおすぐの堎所だった。トワは垂内線に乗り換え、電車に揺られた。広島デルタを悠々ず流れる倪田川や倩満川、本川など暪切り広電は進んだ。広電が盞生橋に差し掛かった。ここで旧倪田川は本川ず元安川に分かれる。モヌタヌはうねりを䞊げお、車内の客が揺れた。橋を枡り切るず、右手に原爆ドヌムが芋えた。トワはその姿に䞀瀌をした。
     八䞁堀駅を降りるず面接の堎所はすぐに芋぀かった。茶色い5階建おのビルだった。ビルの゚ントランスに「䞉幞譊備・」ず看板が掲げられおいた。゚レベヌタヌに乗るず蒞し暑く、トワは少し汗をかいた。

     面接は10分ほどだった。酒井ずいう人物が面接官だった。
     酒井は、女なのに譊備の仕事やるなんお、ずいうような蚝しい目で、履歎曞を䞀瞥しおからトワの顔を芋お、志望動機はず尋ねた。
     トワは高らかに、
    「父が経隓がした仕事を経隓したいんです。父芪の仕事を継ぎたいんです」
     ず蚀った。
     酒井は頷いおいた。

     譊備䌚瀟の仕事は始たるたで、少しの䌑みがあった。トワは䞀人で良雄に花を手向けに蚀った。垂内の西の高台にある墓地は広島のデルタを芋䞋ろすこずができた。曇倩の昌䞋がり、トワは右手に仏花、巊手に桶を持ち、良雄や祖先が眠るの墓前ぞず歩いた。苑内の突き圓たりは、広島デルタを芋䞋ろせる堎所だ。柵があり、雚氎に濡れた柵にトワは手をかけ、遠くに目をやった。広島の川々、原爆ドヌム、瀬戞内海が目に入った。雲の隙間から倪陜の光が差し蟌み、広島に薄いベヌルをかけおいるようだった。
    「やっぱ、ここやな」
     ず振り返りざたに、そう呟いた。
     仏花の茎を切りを䟛え、墓石をおいねいに拭き、線銙に火を぀けた。
     そしお、い぀もより長く手を合わせた。
     癜いカヌネヌションだけが颚に揺れおいた。

       ○  ○ ○

     タカシくんが䌑みをずった。トワず旅行に行くためだ。ふたりにずっお念願の東京。
     3月の春の日曜日の朝、広島駅の新幹線ホヌムにいた。
     「飲み物、買っおくる」
     トワが蚀う。新幹線が埀来するホヌムの人々は笑顔に溢れおいた。新幹線が発着する14番線ホヌムでは青いラむンのシャヌプな流線圢の車茌が、数分おきにホヌムに滑り蟌んでは人々を吐き出す。その加速床はホヌムの人々を驚かせおいた。
     颚圧が、若い女の髪を巻き䞊げ、老人の䜓を揺らした。老人が持った土産物が入った玙袋がコンリヌトに擊れた。劻であろう老婊人が、倫を小突いた。
    「猶コヌヒ、ブラックのや぀、お願い」
     ずタカシくんが蚀った。
     トワたちが切笊をずった9時1分発のぞみ十号は、陜を济びお車䜓を茝かせおホヌムの滑り蟌んだ。
     トワたちの心は匟む。トワは小走りに売店に向かった。ニットの癜いセヌタヌが遠ざかった。その埌ろ姿は、ステップを螏んでいるようであった。タカシくんはトワの埌ろ姿を眺め自然ず錻歌が出そうだった。
     適圓に奏でたメロディが、明るい雰囲気であったのは確かだ。売店に向かう途䞭、䜕床か振り返った。それは、トワの嬉しさの衚れなのか。トワは売店の角をくるりず曲がり、タカシくんの芖野から消えた。猶コヌヒヌやら、自分の飲み物を物色しおいるのだろう。
     トワがレゞ袋を提げお戻っおきた。
     5号車がトワたちが指定垭をずった車䞡だ。ふたりは自然ず手を繋ぎ、その車䞡に向かった。
     車䞡に乗り蟌み、座垭を探した。すぐに芋぀け、頭䞊の荷物棚にキャリヌバッグを入れた。タカシくんがちょっず背䌞びをしおトワのキャリヌバッグも入れた。
     座垭に腰を䞋ろすず、ホヌムで発車メロディが鳎るのが聞こえた。どこかで聞いたこずのあるメロディヌだった。新幹線から出されたモヌタヌの音、亀差するアナりンスの音、乗客の声。車䞡の䞭はそれらの喧隒から離れお、静かに出発を埅っおいた。
     車䞡が東に埐々に滑り出した。念願だったタカシくんずの旅行。ホヌムを離れお、スピヌドが安定したころ、トワは隣に座るタカシくんのシャツに錻を぀け、タカシくんの匂いを嗅いだ。ふたりの旅が始たった感じがした。
     サンドむッチを食べ、コヌヒヌを飲んだ。トワはハムサンド。タカシくんはカツサンド。

     のぞみ10号は、猛スピヌドで前ぞ前ぞず走る。その車䜓に倪陜の光を燊燊ず济び、自らを茝かせお走る。颚を切り、囂々ず音を立おお進んでいる。それずは裏腹に車内は快適な空調、萜ち着いた照明、シックなむンテリアで時間旅行だ。

     窓偎に座ったトワが景色を芋た。
     田園地垯を通過しおいるようだ。
     四角い圢をした田畑が次から次ぞず目の前を通り、遠ざかる。トワはそれをがんやり眺めお、次の街は京郜だな、なんおがんやり考えおいた。
     い぀の間にか、どちらからずもなく眠りに぀いたふたりは、自然ず肩を寄せ合っおいた。
      少しの眪悪感ず安心ず期埅が入り混じる耇雑な感情の安定を保぀のはお互いの手の枩もりだった。
     それでものぞみ10号はふたりの垌望を運んでいった。
     午埌1時前に東京駅に入線し、その圹目を終えた。乗客たちはそれぞれ荷物棚に手を䌞ばし、荷物を取り出し、足早にホヌムに向かった。トワたちもキャリヌバッグを匕いおホヌムに向かった。ホヌムでは枅掃員が速やかに車茌に入っお手際よく車内の枅掃を枈たせる準備をしおいる。
     ホヌムに足を぀けるず、颚がほんのわずか䞀瞬、トワの頬をなでた。それが新幹線の車䜓から発せられた颚なのか、自然の颚なのかトワには分からなかった。
     トワは䞭孊3幎以来の東京、タカシくんは高校3幎以来の東京。ふたりずも修孊旅行だった。
     トワはあたりにも乱立するビルに怯みそうになった。連絡通路は人でごった返しおいた。タカシくんは頭䞊の案内板を䞊手に芋分け、地䞋鉄の乗り換え口を探した。トワは逞れおしたわないように、タカシくんの埌をしっかり远った。
     
     ふたりは新橋駅近くのシティホテルに宿を取った。
     今回の旅は浅草ず暪浜に行くこずが目的だった。浅草はトワが行きたかったずころ。暪浜はタカシくんが行きたかったずころだ。
     
     シティホテルにチェックむンした。
     荷物を眮いお、コヌヒヌを淹れた。
     ベッドに腰を䞋ろし、窓の倖を芋た。
     正方圢の小さめの窓からは、銖郜高に車が走るのが芋えた。赀、黒、癜。バス、トラック、自家甚車。無数の車が止めどなく行き来しおいる。血管に流れる血のようであるず思った。
    「ねぇ、タカシくん、私たちが生きおいるのは、䜓の䞭に血が流れおいるからだよね」
     トワはタカシくんに身をあずけた。


    今回も読んでいただきありがずうございたす。
    次回もぜひお読みください。
    よろしくお願いいたしたす。


     
     
    tatsukiず申したす。趣味は音楜です。ラむブに行ったり、ギタヌやベヌスを匟いたりしおいたす。 曞き溜めおいた小説を少しず぀発衚しおいきたす。音楜に぀いおの描写を小説に曞き入れるこずが奜きです。 https://www.instagram.com/tatsuki.pics/

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