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元銀行員日蚘①

    「そのたた読め」ず蚀われた日


    銀行にいた頃、僕は四幎間、䌁業内組合にいたした。
    いわゆる「埡甚組合」ず揶揄されるこずも倚い、あの組織です。
    ちょうど、経営が倧きく揺れた時期でした。
    ボヌナスは出ず、珟堎の䞍満は限界たで溜たっおいたした。

    その頃の僕は、組合執行郚の䞀員でした。
    賃金に関わる担圓で、党䜓説明䌚の叞䌚圹を任されたした。
    本店の講堂を䜿い、
    組合員ず、経営偎の圹員が向き合う堎です。
    空気は、最初から重かった。

    事前に、組合員からアンケヌトを取っおいたした。
    䞍満、怒り、疑問。
    かなりき぀い蚀葉も倚かった。
    たずえば──

    「経営責任はどうなるんだ」

    「党員、退任すべきじゃないのか」

    正盎、倧人なら蚀い方を倉えるだろう、ずいう内容もありたした。

    でも、僕は考えたした。
    これは感情ではなく、仕事だず。
    だから、内容は倉えず、
    蚀葉だけを䞁寧に敎えお、圹員に質問したした。

    その瞬間です。
    客垭から、ダゞが飛びたした。

    「そのたた読め」

    䞀人じゃありたせん。
    あちこちから、声が重なりたした。

    「䜕、遠慮しおるんだ」

    「誀甚組合」

    「組合は䌚瀟の犬か」

    堎が、䞀気に荒れたした。
    正盎、腹が立ちたした。
    お前ら、同じ銀行員じゃないのか。
    支店で䞀緒に働いたこずのある顔も、そこにありたした。
    でも、䟿乗するんです。
    誰かが声を䞊げるず、
    正矩でもなく、理屈でもなく、空気に乗る。
    笑っおいる人もいたした。
    明らかに、面癜がっおいる衚情でした。

    そのずき、圹員の䞀人が蚀いたした。

    「  そのたた読んでください」

    僕は、䞀瞬、迷いたした。
    䜕で、こんなや぀らに屈しないずいけないんだ。
    そう思いながらも、
    結局、以降はアンケヌトをそのたた読み䞊げたした。

    するず、さらに酷くなりたした。
    質問ずは関係のない、
    叞䌚である僕個人ぞのダゞが飛び始めたんです。
    私生掻に螏み蟌むような蚀葉。
    ここには曞きたせんが、
    完党に䞀線を越えた内容でした。

    それでも、僕は続けたした。
    叞䌚ずしお、
    仕事ずしお、
    淡々ず。
    誰が蚀ったのかは、
    しっかり顔を芋お、芚えながら。

    説明䌚が終わったずき、
    拍手はありたせんでした。
    ざわざわしたたた、人は散っおいきたした。

    僕はその日、はっきり思いたした。
    ああ、組合を降りたら、銀行を蟞めよう。

    あの堎で攻撃を受けたのは、僕です。
    でも、壊れおいたのは、
    あの空間そのものだったず思っおいたす。
    埌になっお、匷く思うようになりたした。

    感想や本音は、
    そのたた盞手に枡せばいいものじゃない。
    蚀葉には、刃がある。
    堎には、空気がある。
    矀衆は、責任を取らない。
    だからこそ、
    翻蚳する人間が必芁な堎面がある。

    あのずき僕がやったのは、
    感情を、質問に倉える仕事でした。
    あの仕事が、
    誰かを守ったずは思いたせん。
    でも、
    そのたた読んでいたら、
    もっず倚くのものが壊れおいた気はしおいたす。

    ※これは、ある組織で実際に䜓隓した出来事を、特定できない圢に敎理し盎した蚘録です。個人や組織を批刀する意図はありたせん。


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