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元銀行員日記②

    『銀行員初日、トイレは勝手に行って下さい』


    前回、テーマが重かったので、今回は僕の社会人初日、銀行員初日の軽いお話をします。軽いとはいえ、僕の脳に強力に刻まれてる出来事です。

    銀行は15時に閉まります。20年前はそうでした。今もそうなんでしょうか。

    初日は、一階フロアの三列目で、事務をしてました。最後方に支店長がいて、僕はそのすぐ前でガチガチに緊張して座ってました。誰も新入行員には仕事を頼みません。ほぼ、ただ座ってるだけです。

    僕、お昼休憩でトイレに行きそびれて、15時までずっと我慢してたんです。

    僕、この時、こう思ってたんです。

    「お客さんから見えるのに、持ち場を離れてトイレには行ってはいけない」

    初々しい真面目な新人でしょ?

    そしてシャッターが閉まりました。

    僕は立ち上がって、回れ右をして、支店長の前に歩み寄りました。

    大きな声で、

    「トイレに行ってきていいでしょうか?」

    支店長は、一瞬、間をあけて、

    「トイレは勝手に行って下さい」


    この時、背後でどっと笑い声が聞こえたのですが…自分が笑われてると思っていませんでした。

    僕がトイレに行っている間、支店長は笑いながらこう言ってたそうです。

    「俺にも、こんな時期あったんだぞ」

    席に戻ったら、周りの行員たちがクスクス笑っていました。

    僕だけが、何が起きたのかわかってなかったんです。

    でもその日から、僕は少しだけ可愛がられるようになりました。

    銀行で最初に教わったのは、

    融資の仕組みじゃなくて、

    トイレは勝手に行けという自由だった。

    社会人とは、仕事を覚えることではなく

    “トイレに行っていい”を学ぶことだった。

    ☆ ☆ ☆

    ついでなのでトイレ関連で、警備員の話も少し。

    初勤務日は暑い夏でした。その日現場が同じだった先輩に聞いたんです。

    「持ち場を勝手に離れられないなら、トイレ我慢できなくなったら、どうするんですか?」

    すると、

    その先輩は、

    真顔で、

    驚くことを言いました。





    「少しずつ出す」



    「あー!なるほど。夏はすぐに乾きますもんね!」

    とは言ってませんからね。

    冗談だったと信じたい。

    ☆ ☆ ☆

    今でも思うんですが…トイレに関しては、研修で教えるべきです。

    マジで。

    おしまい。



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